私のトモダチ達 4章 希望の種
麻衣、起きて……麻衣……
誰かに体を揺すられ、少しずつ目が覚めていく。
視界がはっきりしていくにつれ、私を揺する人物の顔も見えてくる。
「ララ、おはよう」
「ほら、起きて、もうアークスが来るよ」
「うん」
ララの一言で、記憶の一部が蘇る。
ララが過去に言っていた私の身をアークスに渡すという話。私が引き渡されることは、もう決まってはいるけれど、私の中には一抹の不安が残る。
「麻衣、まだ不安?」
「宇宙を守る組織でしょ?アークスは」
「うん」
「確かに耳当たりはいいけど……正確には誰から宇宙を守るのよ?」
言葉に詰まるララ。やっぱり言い出しにくいのかな。
「ダーカーよ、でも本当は色々な惑星で好き勝手やってる組織」
「なら……」
私と目を合わせるララ。予想外の出来事に私は後退りする。
目を合わせながら、胸の辺りに手を起き、また話を続ける。
「ごめんなさい。でも、悪い組織ではないの。大丈夫、麻衣の抱えている不安は分かる」
身支度を済ませ、玄関の前に立つ。
ララは背中に両剣を背負い、玄関のドアを開けた。
「オフスティア」それがこの両剣の名前らしい。輝かしい光を携えるその剣は、闇を転化し、鍛え上げられた、と昔ララが話していた。
「行こう、麻衣」
半ば強引に手を繋がれ、外へ連れだされてしまった。
惑星地球・東京エリア。
人口の建設物が立ち並ぶこのエリアは、ダーカーは目撃されず、代わりに幻創種と呼ばれる生物がいるという。
大体はアークスに討伐され、人前に出ることはない。
アークスへの引き渡しは何者にも邪魔されず、無事に終わると思われていた。
見通しの良い公園エリアへやってきた。
ここで待ち合わせらしい。
「ララ、あの赤い雲は?」
「そんなものないけれど…」
ララには見えていない赤い雲に不安が浮かびあがる。
瞬く間に雲が空を覆い、辺りが暗くなる。
「ララ!」
「なんで辺りが暗くなるの?空は青いじゃない」
ララは赤い雲は見えていないけれど、辺りは暗くなっているのは分かるらしい。
この差に疑問を感じている間にも、次の悪夢はもうすぐ側まで来ていた。