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小説『Endless story』プロローグと挨拶

 

 

 とどのつまり私は「死にたい」のではなく「殺されたい」と常々思っている。出来れば痛みを感じる暇もなく、あっけなくあっという間に。

  

 

 ハッとして、不意に声をかけてきた彼女の方を向く。その瞳は真紅で、まっすぐに私を見据えていた。

  

「オラクル、アークス、ダーカー……これらはあなたたち地球人の、空想の産物ではない。紛れもない現実よ。そして、あなたはその中に紛れ込んで来てしまった。――少しは現状を整理できたかしら、地球人さん?」

 

 

「ようこそオラクルへ。そして、世界群歩行者達へ!」

 

 

「今回はフンドシもあるにゃん」

「バカな! マイショップでも軒並み高値で取引されていて入手が困難な、ぶっちゃけて言えばだいたいの男性用のコスチュームよりズバ抜けて高いフンドシまで!」

  

 ねえちょっと待ってツッコみが追い付かない。どうなっていやがるオラクル。

 

 

 キャストの中には、戦闘時にのみ機械的な形態をとる者が多いらしい。彼はただひとつ深く息を吐くと、眼前の敵を見据えた。それから腕を胸の前で交差する。 

 青いガラスが砕け散るようなエフェクトと、フォトンが感応する音。そこに立っている彼は、先ほどまでの姿ではなく――黒いボディに青いハイライトが映える、侍みたいなシルエットのキャストだった。 

 背に背負った青いリングとビット状のパーツが姿を変え、二挺の機銃『ミストールオービット』となり両手に携わる。 

 そして、彼はあくまでも静かに宣言した。

 

「オービットシステム起動・展開。ハイド、これより任務を遂行する」

 

 

「それは、構わないけれど……単なる地球人を随分と気にかけるわね」

 

 少しの間、受話器越しに静寂が続いた。何かを言うべきかどうか逡巡しているようだが、やがて彼は「ふむ」ともらすと、ようやく言葉を継ぐ。そして、わたしはその内容に少しだけ眉をひそめた。

 

 

 ある者は剣を、ある者は銃を、ある者は杖を構える。

 臆することなく目の前を見据える仲間たちに、不思議と私も手の震えは止まっていた。

 団長が一歩前に進み出て、高らかに言う。

 

「さあ――蹂躙、開始ッ!」

 

 

 大鎌は勢いよく振り下ろされた。切っ先が、私の胴体を袈裟に抉る。私の身体のかなり深い部分まで刃が通り抜けた感覚を、確かに味わった。死ぬほど痛いっていう表現は流石に安っぽいけれど、なるほど、これは他に言い表しようがない。痛さのあまりに、世界がチカチカときらめいてメリーゴーランドのように何度も反転した。

 死ぬ瞬間はやっぱり断末魔を上げたほうがいいのかなと考えたけれど、面倒くさくて、やっぱりやめて、私は意識を手放して――。

 

 

 ――これは、死にたがりの私が「まだ生きていたいな」と思うまでの、ある幻創の物語。

 

 

 

 

今回の更新を担当するViridisです。

 

このたびは明日2016/3/30()から、このブログでPSO2のうちの子を主軸に、せかほメンバーの皆さんを交えた小説を1話2000文字程度で連載させていただくことになりました。

上のものはその前座ということで、これから掲載する予定である本文からいくらかの場面を抜粋したものになります。

また、連載は可能な限り週1回・毎週水曜の更新を予定していますが……私の都合により不定期の連載へと移行する場合も考えられます。ご了承ください。

 

早速でっかい風呂敷をバーッと撒いちゃった感じがして、今これを書いているこの瞬間も実のところはなんだか冷や汗が止まらない有様です。というかとうとうロクなプロットを固めないで始めちゃったよ、大丈夫かオイ。

ただ、執筆する私自身も楽しみ、皆さんにとっても水曜のメンテのちょっとした楽しみになれればいいなと考えつつ、細く長くあまり気負わず続けられればいいなと考えています。

それでは明日以降の本編にご期待ください。

 

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