▲▽▼BEが語る小説の書き方▼▽▲


カテゴリー[そのさん] 小説を書く


◆心構え

 小説を書き始めるにさしあたって、絶対に認識しておかなければならないことが一つあります。
 これから書く小説を、絶対に、絶対に面白いと思わさなくてはならない人は誰でしょう? 少し考えてください。

 さあ、思い当たったでしょうか? 絶対に面白いと思わさなくてはならない人。それは、小説を書いた人その人自身です。小説を書こうと思うあなた自身です。
 作者が面白いと思わなければ面白い小説なんて書けません。作者が面白くないと思っている小説の中に面白いと思われる小説が出てくることは、非常にまれです。多分、作者自身が書くのに嫌気が差して途中で放り出してしまうのではないでしょうか?
 作者自身が考える面白い世界を構築することができれば、おのずと人は集まってきます。
 面白い小説は、小説を面白く書くことから始まります。精一杯楽しみながら書きましょう♪



1.物語の軸を見出す(みいだす)ことが大切



 物語を書き出すに際し、ある程度の方向性を決めておきましょう。「三六〇度、どの方向に進んでもオッケー」では路頭に迷うしかなくなります。まあ、どんな物語を書きたいのかをしっかり把握していれば問題はないでしょう(笑)



2.テーマとは何ぞや?



テーマ
〈名〉 [(ドイツ)Thema]主題。「メイン―・―音楽」 [類]題材

 国語辞典からの引用です。これがテーマだ! なぁんて言っても納得してくれないですよね(笑)
 テーマとはその物語の柱のようなものです。その物語で何をやりたいのか、何を伝えたいのか、というものです。
 けれども、無理につくる必要はないでしょう。何をしたいのか、それをうまく表現できない場合もありますし、何よりもテーマが無くとも小説は書けます(笑) 小説が書けるならば、テーマは後から付いてきますよ。
 僕の小説を例に取りますと……


◆◆◆具体例◆◆◆

◇「私は電車に乗る」
●テーマ
 「時間ってさ、電車でも表現できるかも」「諦めなければ何とか出来る!(こっちがやや本命)」
●創作理由
 「気分転換に別の小説を書こうと思っていたとき、電車に乗っていたら急に思いついた。ストーリーが」

 テーマなんて書いているときには考えなかったですよ。というか、これ書いてる今作りました(笑)


◇「こちら《Block Element》管理所!」
●テーマ
 「この世界から《Block Element》が飛び出したら、その後にはどうなるんだろう……」
●創作理由
 「《Block Element》の話を公開したい〜〜ッ!!」

 こちらは疑問から作ることにしました。それがテーマとなった訳です。書いていけば、考えがまとまりますからね。



 別にテーマは哲学的でなくても真面目でもなくても、一個しかなくてもたくさんあってもいいです。難しいと思うなら、別に無くてもいいです。
 どうしても先にテーマを考えておきたい人は、これから書く物語はどういう物語なのかを思い浮かべながら、最もぴったりくる言葉を探しましょう。場合によっては先に資料を集めてそれから構築、連想するのもいいと思います。“入るときは形から”ですね♪



3.旗を立てておけばそう悩むことはない?



 行き当たりばったりに書いていたら、いつかは崖っプチに進んでしまって進めなくなるなんて事があります。これを極力回避するために存在するのが“プロット”、物語の簡単な骨組みです。

プロット
〈名〉 [plot] 小説・戯曲などの筋・しくみ。[類]筋書き・梗概(コウガイ)・構想

 またまた国語辞典からの引用です(笑) 参考までに。

 創造(想像)力に自信があったり慣れていると言うならば、本当に簡単なプロットだけでいいです。具体的には、「このキャラにあんな行動をさせたい!」、「こんな科白を言いたい!」、「こんなシチュエーションを実現したい!」だけでオッケー。目的がはっきりしているならば、あとはそこまでの道を作るだけです。も〜ガンガン!
 ちなみに、それらの具体例のことをフラグ(旗)と言い、物語が進むための条件のようなものです。その条件を踏む事を“フラグが立った”と言いますが、小説ではあまり意識されません。選択肢で進むゲームならばよく言われますけれども。
 頭の中にプロットが入っているならば、無理に書き出す必要はありません。“忘れない”という自信がない方はちょっとでも連想できるように書き出しておいたほうが、後のことを考えるとずいぶんと助かるでしょう。



4.登場人物を考えることも重要



 うまいプロットを立てられる自信がないと言う方は、とりあえず足元から固めていきましょう。登場人物がどんな人なのかをじっくり練ってみることも必要です。
 これが結構おろそかにできない部分で、先に決めてしまうとあとから融通が利かないというような場面も出て来ることがあるかもしれませんが、ともかく設定上の矛盾は極力出ないようにできます。
 それから、何をしたいのかに沿ってその人物がするような行動をさせてください。特に事件が起こらなくても、面白くはないかもしれませんが小説は書けます。
 ただし、必ず初めに決めた設定通りにしなければならないという訳ではありません。
 人物はどんなことがあってもかならず成長、もしくは変化します。いつかは考え方を改めることもあるかもしれません。ある程度は柔軟に対応することをお勧めします。



5.小説はドラマを見るように、映画を見るように、ゲームをやるように書くべし



 大体のやりたいことが思い浮かんだら、あとは頭の中で物語の様子をドラマのように思い描いてみます。映画を見ているような感覚で思い浮かべましょう。それを行なって違和感がないと踏んだらあとは文章に直すだけです。
 人物の話すこと、街並の情景、アイスクリームの冷たさ、空には龍が飛び、暗殺者がナイフを闇の中に踊らせ、稲妻が大木を打ち倒す!
 映画だけではダメだったら、ゲームのように躍動的に進めてみてもいいかも。キャラが動き、仲間を集め、飛空艇に乗り込んだりスロットで財布のダイエットに成功させたり……など。
 ともかく、そこに広がる世界の情景を捉えることが大切です。それが出来たならば、小説に直すことも楽しくなるでしょう。



6.章と区切りを入れる



 小説は普通、いくつかの章に別れています。章を分けるに当たっては特に規則も法則もなく、適当な場所で分けてもらって結構です。でも大体は二章から三〇章の中に入ると思います。多すぎると読む分にはちょっと混乱しますしね。
 ただし、これは字数制限などといった制限がない場合のものです。何かしらの制限がある場合は、どういう章分けが行なわれるのかはその制限の内容に寄ります。

 区切りは空行を一行、または二行入れるか、区切りを差し示す記号やマークを入れます。



7.漢字ばかりじゃ疲れる?



 ……。僕にとっては痛い題目ですね(笑)
 漢字はその表意性により文章を理解させやすくするのに一役買っています。(「カテゴリー[そのに] 2.言葉の意味を考える」参照)
 けれども、漢字は文字として形が四角いのでずーっと見ていると疲れますし、全体的に評論か何かの固い文章のような印象を与えてしまうらしいです。
 ここで使うのがひらがなで、ひらがなは形として丸いので楽ですし、何よりも考えずとも理解できます。かの有名な作家である司馬遼太郎(しば りょうたろう)先生の作品もひらがなが多いそうです。
 初めの単語には漢字を使い、次からはひらがなで書くという手法もあるそうです。


◆◆◆例文◆◆◆

 夏服や ああなつふくや なつふくや〜

「しみる俳句だね〜」
「だろ〜」
『あっはっはっはっ』



 漢字多用について、ひらがな多用についてはやはり人によって感じるところが違うと思いますけれど……。



8.擬音語について



 爆弾が爆発した! ズガーン!
 雷が落ちた! ドッゴーン!

 こういう音を文字で表わしたものを擬音語といいます。
 擬音語を使う場合は、出来る限り文章による描写もつけたほうがいいでしょう。描写をつけない手法もありますが、多少漫画寄り、アニメチックになる感は否めません。ほどほどにしておきましょうね(笑)


◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A

 爆弾が爆発した! ズガーン!
 ↓
 爆弾が爆発した。かすかな揺れと共に、腹にひびくような重く、そして大きな音が響いた。


♭例文B

 雷が落ちた! ドッゴーン!
 ↓
 雷が落ちるのが見えた。一瞬、視界に強烈な光が広がり、続いて大木が倒れたかのようなドッゴーンという音が轟いた(とどろいた)。



 この様に表現することができます。色々なタイプを書いて研究してくださいね(笑)



9.伏線とは



 小説を書いていく上で気を付けなければならないのが“伏線”と呼ばれるものです。
 とは言え、それそのもの自体は大したことはありません。

「なんか空、曇ってるなぁ。雨、降らなきゃいいけど」(伏線)
 ↓
「やっべ、雨が降って来たよ〜」(出来事)

 というもの。物事が唐突にならないようにするための理由みたいなものです。
 伏線には強弱があり、強いものほど注目を浴び、弱いものほどそれが伏線だとは気付きにくくなります。
 強い伏線は後の登場人物の行動理由になったりすることが多いですね。
 難しいのは実は弱いほうのもので、これは物語の世界を支える事に使われることが多い。


◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A[強い伏線]

(食料の乏しい朽ち果てかけた世界。人々は荒れた大地に腐った水を撒き、そこからできる痩せ細った小さな植物を食料として暮らしている。一部の上級貴族を除いては……)

「ダメだって言ったらダメだ!」
「でも、うまいもんが食いたいんだよおぉぉ!」
「そんなのみんな同じだ! 確かにここには生きていくだけで精一杯のまずい食べ物しかない……けれども、おいしいものを食べたいからって軍用食料庫に盗みに行くなんて事は余りに無茶だ! 見つかるに決まってるだろ! 自殺しに行く様なものだぞ!」
「でも、でも!」
「でももなんでもないさ。死んじまったらおいしいものを食えたって意味がない……それに、今お前がいなくなったら、お母さんや妹に食べさせる食べ物をどうやって調達するんだよ!?」
「う……」
 トーマは拳を握り閉めた。確かに今自分がいなくなれば、お母さんと妹が十分食べれるだけの食料は手に入らなくなるかもしれない。畑だって手入れが行き届かなくなるだろう。泥棒だって来るに決まってる。
「……すまない。無理をさせて……」
 クレネノはそうつぶやいて、部屋から出ていった。
 トーマはただ一人、クレネノの煤けた(すすけた)背中を見つめていた。

 ↓

 ――ごめん。クレネノ兄貴。でも、やっぱり……。
 トーマは山の斜面に身を潜ませながら、闇夜の中で煌々と輝く建築物を見ていた。その眩しい光の中で、何か長ぼそい物を持った黒い服を来たやつらが歩いている。
 ここはケノマーバリ軍事基地の裏手、軍用食料庫――。

解説:伏線は解ると思いますが、クレネノの科白、“軍用食料庫に盗みに行くなんて〜”です。トーマが軍用食料庫に用があることが最もよく判りますね。


♭例文B[中ぐらいの伏線]

(タリル、ロドヌ、ヤグロ、ヌードロスの四人は、とある国の王様に会いに城へ来ていた。そして、待合室でちょっと待たされているのだった)

「う〜ん、なんかこの銅像、変な感じがする……」
 ロドヌはじろじろとここの王様であるらしい人物の銅像を視ていた。
「おい、そんなにじろじろ視るなって。失礼だろ」
 タリルがちょいちょいとロドヌの袖を引っぱる。

 ↓

「やっぱり!」
 ロドヌは嬉しそうに叫んだ。タリルとヤグロとヌードロスは怪訝顔をしている。
「何がどうなんだ?」
 ヌードロスの声にロドヌは答えず、銅像の横のすき間に入ってそのまま銅像を押した。
 すると、するっと銅像がスライドし、その下にあった隠し扉が顔を見せた。
「この銅像、中味は軽い木でできてるんだ。銅像の割りにはなんだか色が変だな〜と思ったんだけど、こ〜いう事だったんだね」
『……なるほど』
 三人は同時につぶやいた。

解説:ロドヌが銅像に疑問を抱いた事が伏線。こちらはずいぶん後になっても、ちゃんと回収すれば大丈夫です。


♭例文C[弱い伏線]

 今日は天気もいいし、とても暖かいので屋上でぼ〜としていた。空を飛行機が飛んでいく。電車の走る音が聞こえてくる。どこかで車のクラクションが鳴らされている。

 ↓

 隣町に呼び出されるとは。
 そう思いつつ、駅から隣町に行く電車へと乗り込んだ。


解説:……何が伏線? と聞かれそうですが、“電車の走る音が聞こえてくる”というのがここでは伏線になっています。電車の音が聞こえる → 近くに鉄道交通機関がある、という事ですね。弱い伏線とは、これぐらいのことを言います。
 弱い伏線は伏線と気付かれにくいため、ずっとほったらかしにしておいても平気です。そのまま忘れてしまってもOK。



 強い伏線の場合は、普通はすぐに回収されます。目立つ度合が高いので、その分長くほったらかしにしておくと興ざめしてしまうのですね。
 中ぐらいの伏線の場合、どちらかと言うと発動するときに注目が集まるタイプです。よく推理物で使われるタイプですね。
 弱い伏線の場合はとても気付かれにくいですが、物語を読んでもらう場合の違和感をなくすことができます。物語における“均し(ならし)”の役割を持っているのですね(笑)



10.暗示は難しい



 伏線のグレードアップバージョンです。はっきり言うと使い勝手は悪いです。失敗すると作者側にダメージが来るので気を付けてください。成功させた場合には読者の興味をそそり、飽きさせないことでしょう。
 具体的には、物語の先の方のことを引っぱり出します。朝に、夕方に起こる事をほのめかすようなものです。
 ただし、本当にぼかした表現でほのめかすだけにしましょう。やり過ぎるとかなり深い部分まで読者側にばらしてしまう事があるので(いわゆるネタばれに近い)、いざその時になったときに盛り上がりに欠けてしまうことがあります。「こうなることなんか丸解りだったぜ」とかいう事になると……作者、激痛(苦笑)


◆◆◆例文◆◆◆

(ある特別な力を持った少年、俊樹にある組織から監視員が派遣されてきた。瑠華という名のその少女はとびっきりの美少女で彼女も俊樹と同じく不思議な力を使う事ができる。
 彼女はある日、俊樹の学校に転校してきた。俊樹を観察してデータを採取しなくてはならないらしく、いつも俊樹の傍にいるという姿勢を取っている。
 そして、俊樹と瑠華が接触した次の日の朝のこと)

「それにしてもさ、毎朝一緒に登校するつもりか?」
「もちろんよ。私はあなたの監視をしていることを忘れないで」
 う〜ん、彼女らしい率直な理由だなぁ〜。監視のためならどこまでもついて来る気じゃないだろうな……。
 先に言えばこの予感は今日中に当たることになる。ただし、俊樹は頭を抱えることになる。が、今の俊樹がその事を知るはずもない。

 ↓

(瑠華は美少女なので誰もがお近づきになりたいと思い、男共はお互いに牽制しあってる様な雰囲気が漂っている。そんな中、どうにも俊樹と瑠華との仲がいいのが気に入らない何も知らないクラス生徒諸君。
 そんなお昼休みの殺伐(さつばつ)とした雰囲気をぶち壊して、入部届けを俊樹に突きつけに来た林原という先輩。長い事続けて来た交渉が実ったのか、とうとう俊樹は入部に同意した。
 そこに瑠華までもが入部しますと言ったのだからさあ大変。緊張の高まる中、瑠華の入部届けに書かれた入部理由欄が読み上げられた――)

「ふむ。いいセンスをしている。これはなかなか趣(おもむき)のある――」
 次の林原の言葉に、俊樹は自分の耳を疑った。
「ラブレターだな」
 突然、教室のざわめきがTVの音声を消したかのように一瞬で消えた。会話を中断して、身を乗り出している者も何人かいる。
「入部理由――“俊樹が入るから”」
 〇.二秒で教室に氷河期が訪れたかのような絶対的な凍静が舞い降りた。全てのものが凍り付き、生命の営み(いとなみ)は止まるしかないこの極寒。――やがて氷山の一角が海へと崩れ落ちるように、お箸が床に落ちた音が響いた。
「簡素だが、効果的だな」
 林原が感心したように顎(あご)に手を当ててつぶやいた。この空間の中で動けるとは、その姿は神、いや、魔王の如し。
 俊樹は額を押さえつつなぜかと考える。なんで、こうなるのか。

 明るい太陽の輝く青空の下、一年七組の魂の大絶叫が校舎を揺るがしたのだった。
 合掌。チーン。





11.書き続ける上で怖いのが、“矛盾”



 小説が長編となるようでしたら、必ず設定などをメモっておきましょう。長く書いていく上で怖いのが「前の設定と違う!」という“設定の矛盾”です。番外編などを書くと、慣れていないとやってしまうので気を付けてください。
 一度やってしまうと最悪の場合、どつぼにはまります。気が付いたらすぐに修正してくださいね。僕もよくやりましたが、改訂が改訂を呼んで……修正しても修正しても……いったい、何回設定を変更すりゃいいんだ……あ〜、つらかったなぁ〜(遠い目)



12.物語は完結させるべし!



 物語はちゃんと最後までやって仕上げましょう。やりたいことをやって、やり足りないことが多い場合は途中で区切ったりしてみて、最後はちゃんと締めます。創り始めたからには、ちゃんとけじめをつけてくださいね♪



●さあ、小説を書くための説明はほとんど終わりました。
 あとは常日頃の活字とのおつきあいと、ともかく書くことです。

 あとは、アドバイスです。