カテゴリー[そのいち] 小説を書き始める前に

 人間(もちろん人間以外でも)、いきなり小説を書くことはできない。何はともあれ、自分が生きてないと話にならない。小説を書けるだけの健康は保ちましょう。
 次に最低限、文章が書ける環境が必要です。つまりは紙とペン、もしくはワープロ、もしくはパソコンとワードプロセッサ・アプリケーションソフト(メモ帳、Simple Text でも構わない:注1)の準備が必要です。
 さて、書くことは出来るようになりました!
 けれども、ちょっと待ってください。
 まず、文章の書き方、技術は心得ておられるでしょうか? そんなのは必要ない! と言う方はここで行なう説明のほとんどは必要なくなりますので、さっそく書いてみて下さい。お暇でしたらまたここをお読み下さい。
 では説明を始めましょう。

注1:メモ帳は Windows の基本テキストアプリケーション、Simple Text は Macintosh の基本テキストアプリケーションです。Simple Text は一つのファイルに一定の分量しか保存できないという欠点がある。懐かしいです……。



◆まずは作文だ!

 小学校で書かされるあれのこと。僕は作文を書くのは嫌いだったな〜。だって、一言二言では真っ白な作文用紙を黒くすることは出来ないんだもの。大して書くことがある訳でもないのに、何で無理やりにでも書かせようとするかね先生共は……。
 それはさておき、我々が必要とするのはその書き方です。その中で小説に必要なものを知っておきましょう。
 まあ、ほとんどのことは必須ですけれど(笑) 作文が書けるならば小説も書ける、と言う事ですね。


1.段落の初めは、一マス空白が必要

 作文を書く段に当たり、初めに先生たちから教えられる基本事項。これはほとんどの文章の基本となっており、小説もしかりです。
 効果は読み易くなります。文の頭が全部詰まっていると、読んでいるうちに頭が痛くなってきます。次の例文をどうぞ。

◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A[文の頭が詰まっている(段落の目印がない)場合]

『まだ寝てるのぉ〜? しょうがないな〜(パパパパン)、ド○え』
そこで目覚ましを止めた。小学校のころから使ってる某漫画の猫型ロボットキャラを使ったこの目覚まし、ここ一、二年は今聞いた部分の続きを聞いた事がない。確か、この続きは『もんベル〜』でジリリリリリリリとけたたましくベルが鳴るものだったはずだ。
この目覚まし、一時期は隣の部屋で寝ている妹と両親すらもさっきの科白(せりふ)部分のみで一挙に叩き起こしていたという、見かけによらないかなりの古強者である。六本ある髭のうちの一本が根元から千切れて無くなっていたり、音量調節つまみが大になったまま根元から折れていて音量を下げることが出来ないなどといったこと以外はいたって正常。他の新しい目覚ましに換えるに換えれないまま、今だに僕を起こし続けている。


♭例文B[文の初めに一マス入れた(段落の目印がある)場合]

『まだ寝てるのぉ〜? しょうがないな〜(パパパパン)、ド○え』
 そこで目覚ましを止めた。小学校のころから使ってる某漫画の猫型ロボットキャラを使ったこの目覚まし、ここ一、二年は今聞いた部分の続きを聞いた事がない。確か、この続きは『もんベル〜』でジリリリリリリリとけたたましくベルが鳴るというものだったはずだ。
 この目覚まし、一時期は隣の部屋で寝ている妹と両親すらもさっきの科白(せりふ)部分のみで一挙に叩き起こしていたという、見かけによらないかなりの古強者である。六本ある髭のうちの一本が根元から千切れて無くなっていたり、音量調節つまみが大になったまま根元から折れていて音量を下げることが出来ないなどといったこと以外はいたって正常。他の新しい目覚ましに換えるに換えれないまま、今だに僕を起こし続けている。


 さあ、どちらのほうがすらすら、もしくは疲れずに読めましたか? 一応、文の頭に一マス入れるというのは段落の目印ですから、一マスあった方が読み易いはずです。
 また初めに一マス入れない場合、空行(からぎょう 空白の行)を入れて補うという方法がありますがお勧めできません。詳しくは後述の「カテゴリー[そのご] 1.空行(からぎょう)について」で述べます。


2.改行を行なうタイミング

 基本的には内容の区切りで改行します。
 ただし、内容の区切りがどこに来るかなんていうのは人それぞれであり、また全体量の問題に左右されてしまったりする場合もあります。プロの作家さんの文章を見ていると、全体量が多すぎる場合は改行を減らして枠内に入れようとする作家さんもいますし、全体量が少ない場合はやたらと改行してなんとか持たせようとしている作家さんもいます。
 偏見かもしれませんが、たった一文で改行してしまうのはちょっと苦しいかと。僕もそこまでとはいきませんが、かなり多用するほうでした。
 そんな僕に雷(いかずち)を落したのが、とあるネット掲示板に書かれた一つの書き込みでした。

「改行ばっかしてページの下のほうスカスカ。落書きでも書けって言うのかこの作家は」

 ……きましたね。莫大なる自然の力が大地をゆるがす衝撃音が聞こえましたね。
 その時から、僕は改行をするタイミングを変えました。どちらかと言うと描写や言葉を深く書き出して、全体の見た感じとしてスカスカにならないようにすることのほうが多いですけれども。
 しかし、どこで改行するかは著者の感性によるところが大きいし、人によって改行をするべきタイミングは違うので、一概に「どこどこで改行するのが正しい」とは言えません。あしからず(笑)

◆◆◆例文◆◆◆
※僕の場合の改行部分を示しますが、参考程度にとどめておいてください。

♭例文A[改行なし]

「な〜かなかおもしれ〜事やってやがるじゃん。見直したぜ」
 世界のどこかで、一人の男が笑っていた。随分と若い男。いや、驚くべきことに彼は少年だった。しかし、彼はその年にはふさわしくない、自信に溢れた顔を持っていた。彼の前には自作で作られたと思われるスマートなタワー型パソコンがあった。しかし、コンピューター技術の最先端を行く者ならば、そのコンピューターが怪物であることに気が付くはずだ。彼はその化け物をまるで手足のごとく使役し、猛然とコマンドを入力、実行して情報を引き出していた。今覗いているタンスの持ち主はウィグコ(WEGCO、世界統合機構)のδ(デルタ)支部。今や世界の中核を成し、その全てを牛耳る機構のフォースポイント(第四支部)。主に軍事技術開発やそれに類するスピンオフ(一般への技術の提供)、情報統制を行なっている。彼はそこにクラッキングを仕掛けて、一般にはまだ公開されていない技術情報を見ていた。一般人には意味の解らない公式、専門用語が羅列され、何に使うのかさえもよく解らない計画、技術が山積みにされている。彼はさまざまな木箱を開けて中を読み、ほくそ笑んでいた。


♭例文B[改行あり]

「な〜かなかおもしれ〜事やってやがるじゃん。見直したぜ」
 世界のどこかで、一人の男が笑っていた。
 随分と若い男。いや、驚くべきことに彼は少年だった。しかし、彼はその年にはふさわしくない、自信に溢れた顔を持っていた。
 彼の前には自作で作られたと思われるスマートなタワー型パソコンがあった。しかし、コンピューター技術の最先端を行く者ならば、そのコンピューターが怪物であることに気が付くはずだ。
 彼はその化け物をまるで手足のごとく使役し、猛然とコマンドを入力、実行して情報を引き出していた。
 今覗いているタンスの持ち主はウィグコ(WEGCO、世界統合機構)のδ(デルタ)支部。今や世界の中核を成し、その全てを牛耳る機構のフォースポイント(第四支部)。主に軍事技術開発やそれに類するスピンオフ(一般への技術の提供)、情報統制を行なっている。
 彼はそこにクラッキングを仕掛けて、一般にはまだ公開されていない技術情報を見ていた。一般人には意味の解らない公式、専門用語が羅列され、何に使うのかさえもよく解らない計画、技術が山積みにされている。
 彼はさまざまな木箱を開けて中を読み、ほくそ笑んでいた。



3.会話文は鍵括弧(かぎかっこ)「」で括る(くくる)

 これはもう言わずと知れた基本事項! のはずです。登場人物たちの会話は、特殊な場合を除いて鍵括弧で括ります。「」の変則として()で括るというものがありますが、説明は後述しますね。
 厳守事項として、特殊効果を狙わない限りは改行してから使います。頭に一マス空ける必要はありません。また、括弧内の文章の一番最後には句点「。」は必要ありません。

 鍵括弧は色々とあって、状況によって使い分けます。大体の役割を説明しますと……

「」(鍵括弧)
 人物の科白(せりふ)を表わすときに使う。
『』(二重鍵、または白鍵括弧)
 想像上、過去の会話、特殊な会話(たとえば電話とかテレパシーとか)などで使われることが多い。複数の人物から同時に同じ言葉が発せられたときにも使われる。
()(括弧、または丸括弧)
 ひそひそ話し、他人に聞こえないような小さい科白、思考の中の科白などに使われる。
“”(引用符)
 英文での直接話法のときに。日本語に対しては強調に使われる。

※ここでは会話文での使い方を説明しています。それ以外の使い方は[4.言葉を修飾、強調する“括弧”を使う]を参照してください。

 なお、一度この括弧はこう使う! と決めた場合はそれをずっと一貫して続けて下さい。途中で役割を変えてはいけません。誰かに読んでもらう場合、変な感じがしますし混乱しますから。
 また、特殊な効果を狙う場合においては括らない場合もあります。その場合は必ず、“これは会話文”と判別しやすいようにしましょう。

◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A[鍵括弧+丸括弧]

 どんどんとかごに放り込まれていく菓子パンを見て、僕はげんなりとした。
(おいおい、これ全部食べる気か? また太るぞ……)
「な〜んか言ったぁ?」
「いいえわたくしずっと無言でありました」
「ならよろしっ!」
 笑顔を振り撒いてお姉ちゃんはまた菓子パン選びの作業に戻った。どういう頭の構造をしていたらまだ選ぼうと思えるんだ? 僕なんか、この菓子パンの山を見ただけで気持ち悪くなってくるんだけど。大体からして姉ちゃんはこの前、ダイエット宣言したばっかじゃないか。


♭例文B[二重鍵] 使い勝手は鍵括弧とさほど変わらない。

 すり足の音が響いている。かっこ悪い事は解っているけれど、こんな自分の手も見えないような暗闇の中じゃ仕方ない。安全だよ? と油断させておいて一歩踏み出した瞬間、奈落の落し穴に落ちる、という事も考えられる。かっこいい、というのよりも命のほうが大事だ。安全を確保するためにはこうするしかない。
 もっと安全に行くなら、イグアナのような匍匐前進(ほふくぜんしん)が最も有効であろう。
 しかし、ここから出たあとのことを考えると、それをすることは憚られる(はばかられる)。汚れた全身を増岡先生に見せて、クラス全員の前でなんて言えばいいんだろう。
『稲田、何したんだ、おまえ?』
『いやちょっと、匍匐全身を敢行しまして』
『なんで?』
『……ちょっとやりたくなりまして』
 そんな会話をしてしまったら僕にはこの先、新しい友達は出来ないであろう。さすがに高校生二日目でそれはちょっと……。
 閑話休題(それはともかく)。
 自分の足音が反響してやたらと不気味だ。モンスターなんか出て来られたら、速攻で殺されるな、僕。


♭例文C[特殊な場合]

「……ねぇ、もう家に帰ろうよ」
 いや。
「夜になるまでここでふてくされてる気か?」
 だって、お母さんが悪いんだもん。
「確かにお母さんがアニメを録画したビデオ、他のTVを録画して消しちゃったのはお母さんが悪いと思うけど……」
 美佐代(みさよ)は波止場でしゃがんで、もう夕日が差し込む海を見つめていた。ややあって自分の足に頭をうずめる。
 見たいってちゃんと言ってたのに。このビデオだよってちゃんと言ってたのに。それなのに学校から帰って来たら、ビデオ消されてたんだもん。
 ……お母さんなんか嫌いだもんっ!
「……今度、レンタルビデオでアニメを借りてくるからさ、それでなんとかなんない?」
 なんない。
 吉樹(よしき)はため息を付いたあと、う〜んと唸った。
 ――僕にもこんな頃があったのかな?


4.言葉を修飾、強調する“括弧”を使う

 文章を書いていると時々、特殊な言葉、強調したい言葉が出てきます。そんな時に使うのが“括弧”で、強調したい言葉を括弧で包んで特殊であることを示したり、強調したりします。
 ただし、特別に区別を付けたい場合以外は括弧は多用しないほうがいいらしいです。読みにくくなるそうなので、括弧は初めの一回目ぐらいで止めておいたほうがいいでしょう。

()(括弧、または丸括弧)
 人名、難しい漢字の振り仮名、言葉の説明、言葉の言い替えなどに使われる。
“”(二重引用符)
 言葉の強調に使われる。一般的な言葉をちょっとだけ強調するときに。
‘’(引用符)
 言葉の強調に使われるが、全体的な使用頻度はかなり低い。二重引用符のほうが判りやすいからだろう。
[](四角括弧、または大括弧)
 項目の名称、ちょっとした一言コメントのときなどに。
【】(すみつき括弧)
 本や映画などのタイトルを差し示す場合に使われる。
《》(二重山括弧)
 何か特定の固有名詞、常套句(じょうとうく)に使われることが多い。
〈〉(山括弧)
 何か特定の固有名詞、常套句に使われることが多い。けれども、《》よりは強調の度合は低い。
{}(二重括弧、または中括弧)
 ()で括られた言葉を含んだ文章を括る場合に使われる。ただし、滅多なことでは使われない。計算式でよく使われる。
〔〕(きっこう括弧)
 意味合いとしては【】に近い物があるが、普通は他の括弧で事足りるためにほとんど使われることはない。使うか使わないかはお好みでどうぞ。

※蛇足ながら付け足しますと、パソコンの場合は“かっこ”と入力して変換すれば簡単に出す事ができます。

◆◆◆例文◆◆◆

♭例文

「僕は谷本茂(たにもと しげる)っていうんだ」
※人名の振り仮名の性と名の間には、一マス入れたほうが親切です。

 叩けよさらば開かれん(ただじっとしているのではなく、行動すれば物事は進展するよって事)

「まあまあ、“猿も木から落ちる”って言うし、失敗することは誰でもあるよ」

 《闇》は処分しなくてはならない。

《警告》 これより先、関係者以外の立ち入りを禁止する。

「音楽ですよ。【ヘルズガーディアン】の」

「〈世界〉は“美少女”みたいなもんさ。外見は綺麗に見えても、腹をかっ捌けば(かっさばけば)そこにはグロテスクなもんが詰まってるぜ」

※個人的な意見ですが、難しい漢字の振り仮名を示すときは、その漢字を含んだ単語全てをひらがなで書いたほうが綺麗だと思います。漢字“だけ”の読み方を書くよりは(笑)


5.「!」「?」について

 感嘆符、疑問符ですね。後ろにスペース開けるのがお約束。本を読んでいれば、感嘆符、疑問符の後ろには一マス空けられていることに気が付くはずです。スペースがないと読んでいるうちに目が痛くなったり、読むのが辛くなったりすることがあります。

◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A[「!」、「?」の後ろにスペースなし]

「――メール?」
「……う、うん」
 私は混乱と、言いようのない不安に駆られた。
 だってさっき見たとき、圏外だったじゃない!それなのに、どうしてメールが届くの!?
 誰?誰?誰?誰?
 外から?それとも、この電車の中から……?誰が、私の携帯にメールを送ったの?なんでメールなんか送るの?見ているんだったら、なんでここに来ないの……?
 私は震える手で、自分の携帯を鞄から引っぱりだした。
 メールが一通、来ていた。けれど、電波は相変わらず圏外だった。


♭例文B[「!」、「?」の後ろにスペースあり]

「――メール?」
「……う、うん」
 私は混乱と、言いようのない不安に駆られた。
 だってさっき見たとき、圏外だったじゃない! それなのに、どうしてメールが届くの!?
 誰? 誰? 誰? 誰?
 外から? それとも、この電車の中から……? 誰が、私の携帯にメールを送ったの? なんでメールなんか送るの? 見ているんだったら、なんでここに来ないの……?
 私は震える手で、自分の携帯を鞄から引っぱりだした。
 メールが一通、来ていた。けれど、電波は相変わらず圏外だった。



 読んでいると解りますが、「!」「?」の後ろにスペースがないと文の中に埋没してしまって、全ての文が繋がって(つながって)いるように見えませんか? これでは句読点のない文章とほとんど変わりません。スペースがないと読みにくくなるので、必ずスペースを入れましょう。

※小説にはあんまり使わないけれど
 また「!」「?」以外にも、特殊な文末の場合はやはり一マス空けるほうがいいでしょう。「♪」「(笑)」など。

 「!」「?」は公的には「。」(句点)と同じ扱いとなります。
 けれども、一度にやたらと連打しない方がいいです。やり過ぎると読みにくくなってしまいます。食べ過ぎ、飲み過ぎは身体の毒! 特殊な場合を除いて、大体一度には二つ、最高でも三つまでにしましょう。
 「!」と「?」を併用する場合、「!?」と書いたほうが「?!」よりも見易いと思います。文は美しくしなければなりません。心がけましょう! [後述の「カテゴリー[そのに] 1.文は美しく、リズム良く!」を参照の事]



6.リーダー、「……」とダッシュ、「――」



 これらは二マス一組です。けれども、特殊な場合においてはこの限りではありません。その辺りの判断はそれぞれの著者の手にゆだねられます。
 また、そうしないと場の雰囲気を描き出すことができない場合以外は、多用は避けたほうがいいでしょう。

「……」(リーダー、もしくは三点リーダー)
 文章や科白の間に入れる。科白の末にも入れることができる。また、沈黙を表現するときや一、二秒の間を表現したいときに。
 ちなみに、リーダーとは点線のこと。

「――」(ダッシュ)
 科白の始まり、地文(じぶん:科白以外の描写などの部分のこと)での心の中の科白、言葉の意味の付け足しなどで使う。また、科白、説明などを省略したいときや“含み”を持たせるときにも使われます。
 さらに、声にならない声を上げた時などに。「――っ!」
※ダッシュにおいてのみ、とても長い伸ばしの代わりに使われることがある。ただし、レベルの高い、娯楽用ではない小説を目指している場合は、使用することはお勧めできない。


◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A

「――つまりだな、……俺が言いたいのはだな……」
 ――くそっ、何でこんなことを言わにゃならんのだ。
 彼女は俺が他の女とつきあって――浮気して――いると思ってるのだ。なんとかせねば。


♭例文B

(見知らぬ二人組みの喧嘩の仲裁に入った人が、警察の人に説明をしている)

「――ということで、どうも二人とも酔ってたみたいなんです」
「なるほど」
 警官が書類に何かを書き込んでいる。それはいいのだが――(←ここは“……”でもいいかもしれない)
「……あの、なんで私まで牢屋に入れられているんですか?」
「ああ、私らが現場に着いた時、“三人の人が喧嘩してます!”って聞いたもんでな。だから三人取り押さえたの。それと牢屋じゃなくて留置所ね」
「……」
 同じ事だろ! と叫びたかったが、ここは我慢だ。


♭例文C[ダッシュの特殊用法]

(元来仲の悪い女の子二人が今にも喧嘩を始めようとしている。それを仲裁しようとする女の子一人。ただし非力(笑))

「あんたにはさんざんいらついて来たのよ! あんたと同じエレベーターに乗った日にはいらいらしすぎて生理止まんのよ!!」
「あうう〜ケラーさん、女の子がそんな言葉使っちゃ……」
「はん! 残飯にたかってる糞ちび娘が、よくもまあ私と同じ空気を吸えたものね! ちびならちびらしく、幼稚園に入ってなさい!」
「あ、あの、ナホウさん、そ、その、」
 壮絶な殺気をまとって散らす貴女の火花の電圧は一〇〇万ボルト、他人が近寄れば感電するだけでは済まない、平和は粗大ゴミの日に捨てましたと言わんばかりのシャレにならない狂暴なエネルギーが牙をむく。
 もはや、どう転んでも事態はヒコーの対応できるレベルを遥かに超えていた。ヒコーが一〇人、いや一〇〇人いたところで、どうしようもできまい。
「やるか――――――――――――――――――――――!!!」
「かかってこいや――――――――――――――――――!!!」
「だ、誰か―――――!! 二人を止めてぇ――――――!!!」
 この二人の因縁の対決を止められる者はヒコーの叫びも虚しく、現われることはなかった。



 これが正しい使い方! ですが、他にもいろいろと使い方があります。色々と考えて、新しい使い方やバリエーションを作って下さい♪ もちろん、美しく!(笑)
 パソコン、ワープロの場合、初めから変換辞書に入っている訳ではないので、新しく登録しておくことをお勧めします。



7.「・(中点)」について



 初心者の人の中には「……」に「・・・」を使う人がいます。僕もそうでした(笑) けれども、「・(中点)」は項目を並べたり言葉を並列させたりするときに使うものであり、用法が違います。


◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A

【 非常の際には 】
・非常の際にはこの箱を開け、中の赤ボタンを押して乗務員に連絡をお取りください。
・中の取っ手を引けば手動でドアを開けることが出来ます。しかし、非常時でも無闇な降車は大変危険です。乗務員の指示にお従い下さい。
・地下線内では取っ手を引かぬよう御注意ください。


【〜突発脱線ちょっといい話〜】
 地下線内ではなぜドアを開く非常コックを引いてはいけないのか。これはひとえに、“地下線内には線路の床の脇に高圧電線がある”からです。何も知らない人が触ろうものなら一瞬でまっ黒焦げになってしまいます。ですので、地下線内で非常事態が起こった場合、乗務員の指示に従って“電車正面のドア、電車後面のドア(他の車両が連結されていた場合、連結部の通路につながるドア)”から脱出して線路の上を歩きます。これでまた一つ、あなたは危機から脱出する術を身に付けました。あわてず騒がず、優雅に脱出しましょう!(笑)


♭例文B

 喜び・悲しみ・楽しみ・苦しみ・怒り・恐れ



 また、やはりこちらにもこれ以外の使い方があり、どのように使うかはやっぱり著者の手にゆだねられます。例えば、次の例文のように一語一語を強調したり、言葉の“詰まり”を表現したりするときに使います。


◆◆◆例文◆◆◆

「い・い・か・げ・ん・に・し・ろっ!」
「すいません……」
「何回同じことを言わせれば気が済むんだ!? このド・アホッ!」
「すいませんすいませんすいません」
 もう平に謝るしかない。これで一二回目だもんな。





8.数字について



 日本の数字には算用数字(アラビア数字 1,2,3……)と漢数字(一、二、三……)があります。これはいいとして、文章上でどう使うかにおいては人によってかなり別れます。どんな書き方をしてもいいということですね。
 ただし、それだと困る! という方もいらっしゃるかもしれません。そういう訳で、僕の数字についての規則を紹介します。参考程度にしてください。

◆基本は漢数字
 物の数や人数などは漢数字で書きます。十、百、千は使わずに〇(ゼロ)を使いますが、万、億、兆、京は使います。
・一人
・四つ
・一〇個
・一五〇〇枚
・一〇〇万ドル
・五〇〇〇京四〇〇兆三〇億二万一

◆金銭の場合は十、百、千を使う
 お金の金額などでは十、百、千、万の単位を使います。
・百五十円
・三千九百八十円
・九千九百九十九兆八千八百八十八億七千七百七十七万六千六百六十六円……?

◆十二が最高であるもの(時間(午前、午後表記)、月)は十、十一、十二を使う
・午前十一時一七分
・二〇〇二年十二月二四日(火)[クリスマスイブだ! 僕には関係ないけどね]

【〜ちょっと豆知識〜】
 日本軍用の時間表記は例えば午後八時一五分だったら、二〇一五(ふたまるひとごー)と書く。軍は二四時間表記、二〇時一五分。

◆計算式、コンピューター関係、英文には算用数字を使う。ただし、全角を使ったら最後まで全角、半角を使ったら最後まで半角を使うこと。全体を統一すれば美しい。
・四五二行か……原稿用紙換算、452÷20=22,なんぼだから、二三枚か。
・1GB(ギガバイト)って言ったら1024MB(メガバイト)のことだよ。
・I began to write novel in 1998.(私が小説を書き始めたのは一九九八年です)
|´-`).。oO(と言っても、本格的に取り組み始めたのは高校三年の夏、二〇〇一年だけどね)



9.英文を使う!?



 物書きを続けていったら、いつかは小説に英文を導入するかもしれません。
 英文は当り前ですが英語です。基本的な書き方は英語を勉強して使って下さい! ですので、それ以外の細かいことを説明しますね。


三点リーダーやダッシュはどうするか?
 英語圏の三点リーダーはピリオドを三つ繋げたもの「. . . 」ですが、文字フォントによってはとても見にくくなる場合があるので“僕は”全角のものを使います。ただし、使う場合は必ず半角スペースを英文との間に置いてください。見やすくなります。
 どうしても半角ピリオドの三点リーダーを使う場合は、初めのピリオドの後ろに半角スペースを入れ、それからピリオド、半角スペース、ピリオド、半角スペースと交互に打ってください。

 英語圏のダッシュは「―」です。日本と違って一マス分だけで、主に文の言い替えとか接続とかに使われます。やはり、ダッシュの前後に半角スペースを入れましょう。

 また、半角コンマやピリオドの後にも半角スペースを入れるとよいでしょう。


◆◆◆例文◆◆◆

♭例文A[三点リーダーに全角を使ったもの]

「Next mission …… In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」


♭例文B[三点リーダーに半角を使ったもの]

「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」

【〜実験・フォントの違い〜】
MS ゴシック
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
MS 明朝
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
MS Pゴシック
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
MS P明朝
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Century
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Times New Roman
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Batang
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Dotum
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Gungsuh
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Comic Sans MS
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Haettenschweiler
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Impact
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Monotype Corsiva
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
OCRB
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」
Sydnie
「Next mission. . . In Japan?(次の仕事……日本ですか?)」


♭例文C[短文、およびダッシュを使ったもの]

 Jim has two sons. One is ten, another is eight ― he is adopted child. He is child of Jim's close friend Henry who died five years ago. Jim's two sons are close, and help each other.

(ジョンには二人の息子がいます。一人は十歳、もう一人は八歳で――彼は養子でした。その子は五年前に死んだジョンの親友、ヘンリーの子供です。二人の子供はとても仲がよく、お互いに助け合っていました)

※この英文は僕の貧困な英語力を元にして作られたものですので、どこか間違っているかもしれません。間違いに気付かれた方はこちらまで知らせてください。あと、内容よりも文の形を見ておいてください。



「」の中での会話文の最後にピリオドは……?

 ……英語圏内には鍵括弧なんてない(注2)ために判断のむつかしいところですが、僕はピリオドを付けています。
 まあ、英語の参考書を見る限り、直接話法の“”の中にもピリオドを付けているから、ピリオドを付けるのでいいんだと思います。

注2:英語での会話には“”を付けた直接話法{He says, “I am hungry.”(「お腹減ったよ」と彼は言っている)}と間接話法{He says that he is hungry.(彼はお腹が減ったと言っている)}の二つのタイプがあります。


英文における改行について

 英文には今のところ、僕の持っている英文小説(注3)では会話文(直接話法)になっても改行は見当たりませんでした。必ず内容の区切りで改行されています。

注3:「INTRODUCTORY STORIES FOR REPROUCTION 2」(直訳:翻刻のための入門物語2 意訳:これは翻訳練習のための易しい入門書その二だよん♪)という薄い本。
 こちらでは会話文を示す括弧には‘’が使われているが、参考書と高校時代の英語の教科書のほうでは“”が使われているため、僕はこちらを使っています。どうも書いている人によって違うみたい……。


英語の日常語の確認方法として、ネット検索を使う方法がある。

 ネット環境があるならば検索サイト、「google」に行って確かめることができます。
 やり方はgoogleのページでオプションを開き、そこで“フレーズ検索”に設定して確かめたい英文を入力し、検索します。もちろん検索域は全世界に設定してください。
 これでそのフレーズがたくさん引っかかればそれはよく使われているということでオッケーです(注4)。

注4:フレーズ検索は一箇所違うだけでヒット(見つけ出す事)しなくなるので、その点を留意しておいてください。

 googleのページはこちら


最終兵器(あまり使わないでね):エキサイト、テキスト翻訳!

 あんまりお勧めしたくないんですが、英語訳、中国語訳、日本語訳をしてくれるサイトがあります。これは語学の勉強をしなくてもいいという点で便利ですが、個人の語学力を損ないかねないのであまりお勧めできません。僕個人としては、和訳するなら英和辞書、英訳するなら和英辞書から学んで翻訳をして欲しいです……。中国語に対しても同じく、です……。
 まあ堅い話はこのあたりにして。
 エキサイトの翻訳はコンピューターが辞書から意味を取ってきて翻訳しているわけです。ゆえに人間が翻訳をやっているわけではありません。それゆえに、へんな訳が出てくることがまま、あります。例えば、「shit!」の!を一つずつ増やしていくと……わざとやってんのかな?(食事中にはやらないで下さい:笑)
 他には「俺は海賊王になる」と入力して英訳、出てきた文章を和訳してみると……(笑)

 エキサイト翻訳ページはこちら


●さあ、文章を書く基本的な予備知識は説明しました。次は書くときの事を考えましょう!