|
| |
目次 / Prologue / 1 / 2 / 3 / Epilogue / あとがき / 履歴 |
ぼくらの思い出 |
エピローグ「――と、いうのが僕が考えた物語だよ。題名、決まってないけど」一人の高校生が机の上に、演劇名の書かれていない台本を置く。 「ふ〜ん。よく考えるなあ。俺にはメンドクてそんなの創ることなんてできないよ」 「でも今出されてる他の劇よりは面白いんじゃないかな」 他の二人の友達らしき高校生が手渡された台本を読みつつ答えた。 「じゃあさ、う〜ん、そうだな、あっそうだ、確か、誰かの台詞に僕らの思い出なんたら、っていうのがあっただろ。それを取って題名は【ぼくらの思い出】っていうのはどうだ? いい名前だろ?」 「そうだな……それでいくか」 台本の表紙に、演劇名が書き込まれる。【ぼくらの思い出】、と。 「完成だ! きっとみんな感動するぞ〜」 「それはうぬぼれと言うもの。大体、何か最後らへん変じゃねぇか? 何と言うか、リズムがものすごくずれてる様な気がするぞ。『自分って何?』とか唐突過ぎだろ、いくらなんでも」 「……確かに、そうだな。まあそこのところは、みんなと話し合って決めるという方向で」 「なんだよ、まだ未完成なのかこれは?」 「ああ。でも、みんなで創ることができたらそれ以上のものはないよ」 「じゃあ、LHRのときにみんなに話せよ」 「ああ、オーケーオーケー。自信をもって話せるよ。これは僕らの劇、“ぼくらの思い出”だから!」 こうしてまた、物語が始まる。彼らはこの先、いったい何を感じ、何を思うのだろう。 たとえ今、それが未完成のものでも、骨組みしかないぼろぼろの役立たずでも、みんなで創り上げればそれは宝石のように輝くことだろう。そんなものを目指したい。たとえ、それが誰からも見えないものであったとしても、それはみんなの宝物となるだろう。 それは、彼らだけが感じられること。観客には伝わらない、彼らの思い。 願わくば、それが楽しきものでありますように。 幕を降ろしたあとも、ずっと、いつまでも―― 完 |
▲このページのトップへ▲ | |
塊素第一情報区画 |
|