僕の考えたこと


21.「一色しかない絵」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、叫ぶことがある。


他のみんなと僕が違うと判ったとたん、
他のみんなは僕を笑って馬鹿にする。

僕を笑って排除する。
排除、排除、排除する。

それがなんだと言うのだろう。

他のみんなが
僕を笑って無視しても
僕の存在を消すことまでは
絶対に出来やしないんだ。

それよりも、僕は声高に叫ぶんだ。

たった一色しかない絵なんて、
つまらない、意味がない、面白くない。

それならば、
僕は違う色となろう。

例え他が僕を認めなくとも
僕は僕の存在を、
自信をもって叫ぶんだ。

僕は存在することを
僕が存在してることを

どこまでもどこまでも
僕は高らかに叫ぶんだ。

僕は、存在しているのだと。



22.「もう一人の僕」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、尋ねられることがある。


なぜ、あなたは詩を書くのですか?
なぜ、あなたは物語を語るのですか?

あなたは理系の人間です。
文系の人間ではないでしょう。

それなのに
なぜ、あなたは世界を創るのですか?

そんなの答えは決まってる。
僕が書きたい語りたい創りたいと望むから。

文系にしか、それは出来ない訳ではない。

では、あなたはなぜ理系の人間となったのですか?
文系の人間のほうが、それをやるにはいいでしょう。

僕は笑って言うのです。
文系に進んだ僕のことは
いちいち考える必要はないのです。

僕は理系に進みました。
だからこそ、今の僕がいるのです。

もう一人の僕ならば、
そちらはそちらで
笑っているでしょう。

だからこそ、
僕は僕で
楽しみます。

もう一人の僕のことは
いちいち考えなくてもよいのです。



23.「変わっていない」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、ため息をつくこともある。


例えば、
音楽を聞いて感動したとしましょう。

僕は感動がもう一度欲しいので
もう一度その音楽を聞くのです。

だけれども、今度の感動は
初めて聞いた時よりも
いくらか小さくなっていました。

なぜでしょう。
音楽は
一秒たりとも変わっていない。
何が違うと言うのでしょう。

僕は、答えを知っていました。

変わったのは、
僕自身なのだと。



24.「弱いまま」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、望むこともある。


僕は弱い人間です。

力がなく
知識が足りなく
考え事が止まりません。

僕は強くなりたいのです。

力があって
知識が満たされ
何もかもが解ってる。

そんな人間になりたいのです。

だけれども
いつまでたっても弱いまま。

だけれども
僕はそれでいいのです。

自らを
強いと思った人間は
それ以上は強くなろうとしないもの。

だからこそ、僕は弱いままなのです。

僕は弱いと解っているからこそ、
僕はもっと、強くなれるのです。



25.「走って駆けて進む」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、ゆっくりしているのです。


皆の者よ、走りなさい。
皆の者よ、駆けなさい。

そうしなければ、
隣の者には勝てません。

勝って勝って勝ちなさい。
そうすれば、
あなたには将来が約束されるでしょう。

たしかにそうかも知れないが、
だからこそ、
僕は僕のペースで歩くのです。

あなたの言う将来は
僕の言う将来と
全く同じとは限りません。

僕の言う将来と
あまりにかけ離れているようならば
僕は絶対に、
幸せにはなれないのです。

僕の言う幸せと
他の人の言う幸せは、
ほとんどの場合は違うもの。

だからこそ、
僕は自分のペースで歩きます。

走って駆けて進むより
歩いたほうが、
遠くまで行けるものですよ。



26.「釣り」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、おびえる事もある。


僕は友に連れられて
楽しみ張り切り釣りをした。

だけれども、
僕はなかなか釣れません。

とうとう生き餌を使って釣りました。

そのうちに、針を深く飲み込んだ
青い魚を釣ったのです。

針は深く食い込んで、
なかなか外すことが出来ません。

青い体が、僕の手が、
どんどん赤く染まってゆく。

僕は怖くなりました。

一思いに
踏みつぶして殺そうか。

そう思うこともありました。

けれどもまだ生きてるそいつを見ると
そんなことは出来ません。

僕は必死に努力して、
針を外すことが出来ました。

そいつはもう、
長く生きられないかも知れません。

だけれども、
僕はそいつを、
そいつの生きて来た世界に帰しました。

手についた赤い血を見て思ったのです。

彼等も、生きているのだと。



27.「照れ臭いこと」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、自信をもってる事もある。


愛する恋する好きになる。

そんな照れ臭いことを言うんじゃない。

周りの人はみんな言う。

だけれども、
僕は臆することなく言えるのです。

僕は自信をもっている。

だからこそ、
照れることなく言えるです。

僕には言いたい事がある。

だからこそ、
僕は自信をもって言うのです。

あなたが好きです
あなたに恋をしています
あなたを愛しているのです

、と。




28.「何もしなかった」

僕はひねくれた人間です。
だからこそ、闘うこともある。


私達が、何をした?
私達が一体何をした?

なぜ、私達は死なねばならないのか?
なぜ、私達は置き去りにされるのか?

私達が、一体何をした?

おそらく僕は、
そんなことを言う人々を
きっと見下すことでしょう。

あなた達は一切何もしなかった。
だからこそ、
あなた達は破滅した。

何もせずに存在し続けようなんて
いくらなんでも虫がよすぎる。

あがきなさい。
あなた達には出来る事がある。

あがきなさい。
あなた達には残せるものがある。

足がもげ、手がしびれ、声が出せなくなろうとも、
あなた達は、自らの存在を証明出来るのです。

あきらめてはいけません。
あなた達は、闘うことが出来るのです。



29.「僕一人」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、踊ることもある。


雲が流れる青空の下で
風の駆け抜ける屋上で

さあ、今日も踊ろうじゃないか。

雲の間の光のカーテン
心地よい夏の風

さあ、今日も踊ろうじゃないか。

その場にいるのは僕一人。

だけれども、
だからこそ、
恥ずかしがることなく
自分を表現できるんだ。

自分を信じて踊ろうよ。
きっと楽しいはずだから。



30.「すりガラスの窓」


僕はひねくれた人間です。
だからこそ、見つめることもある。


誰もいないエレベーターホール
ふと振り向けば、
そこには光溢れる窓がある。

誰も来ないエレベーターホール
僕は窓に歩み寄って窓に触る。

すりガラスの窓だから
向こうの景色は見えないけれど

その先に、
世界があることが分かるんだ。

僕は光の中で立ち止まり、
何を思うでもなく光を見続ける。

世界は、
そこにあるのだね。