1.「鳥」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、考えることもある。
世の中には、鳥になりたいと言う人がいる。
自由の青空を、
気持ちのいい風の吹く青空を、
自由に飛べる、
鳥になりたいと言う人がいる。
だけれども
だからこそ、僕は人間でいたい。
鳥にとっては自由の青空を飛んでいることこそが普通であり、
鳥にとっては気持ちのいい風の吹く青空を飛んでいることこそが普通であり、
それは、人間が大地に立って歩いていることと何ら変わりはない。
だからこそ、僕は人間でいたい。
鳥が自由の青空を、
気持ちのいい風の吹く青空を飛んでいると思えるのは、
人間だけだから。
2.「敵」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、思いつくこともある。
だますこと、裏切ること、見捨てること――
そんな事が平気で行われているのを見て、僕は思ったのです。
人の最大の敵は、人であると。
そして、だからこそ思うのです。
人と人が手を組めば、どんなことでも乗り越えることが出来る、と。
結局のところ、信じあうことが人間にとって
大切なことなんですよ。
3.「光スペクトル」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、たしなめることもある。
僕は緑が好き。
緑に見える、植物が好き。
だけれども、
光スペクトルの話は嫌い。
赤や青の色は吸収されて、緑は反射されるから緑に見える?
やめてくれ、そんなつまらないことを言うのは。
やめてくれ、そんな理屈をこねるのは。
植物は緑に見える。
それで、いいじゃないか。
僕は空が好き。
青く見える、赤く見える空が好き。
だけれども、
光スペクトルの話は嫌い。
オゾンを通過する距離が、短いから青く見え、長いから赤く見える?
やめなよ、つまらないじゃないか。
やめなよ、夢がないじゃないか。
空は青く、赤く見える。
それだけで、いいじゃないか。
4.「全てに言えること」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、気付くこともある。
まずは認めることです。
自分が存在することを。
まずは認めることです。
自分が生きていることを。
まずは認めることです。
自分がいつか、死ぬことを。
まずは認めることです。
あなたは、何かを残すことが出来ることを。
これだけに留まらず
全てに言えることですが、
まずは、認めることです。
5.「すごいもの」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、教えることもある。
あなたは音楽を聞きますか?
心に響く音楽を、いつもいつも聞いていますか?
僕はいつも聞いています。
音楽っていいものですね。
僕の心をいつもいつも
暖かく優しく
時には辛く苦しく
揺り動かしてくれます。
音楽ってすごいもの。
苦しくても荒んでも、
いつも僕を助けてくれます。
あなたも聞いてみて下さい。
音楽っていいものですよ。
6.「言うのだ」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、信じるものがある。
僕は考える。
人の話を耳に入れずに
僕は考え続けている。
人は言うのだ
“ここを聞かねばよい大学には行けぬ”、と。
僕は言うのだ
“ここで考えねば僕はこの先存在できぬ”、と。
どちらも正しく、どちらも誤りかもしれない。
それでも僕は考える。
自分の信じるもののために。
7.「わかるでしょう?」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、わかった事がある。
再生を知らぬ者は、破壊者である資格はない。
滅びをもたらしても、破壊を続けても
再生を知らぬ者は、破壊者である資格はない。
滅びが美しいと知っているのは、再生の醜さを知っているから。
破壊が楽しいとわかるのは、再建の辛さをわかっているから。
再生を知らずに滅びと破壊をもたらすものは
何も知らずに駄々をこねる子供と同じ。
もう、わかるでしょう?
再生を知らぬ者には、破壊者であるべき資格はない。
8.「どうでもいいこと」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、見つけた事もある。
星の見える夜空を見上げて
僕は嬉しさで胸がいっぱいになる。
星が瞬く夜空を見上げて
僕は思わず歓声を上げる。
恒星の光を反射して輝いているように見え、
大気が揺らいでいるから瞬いて見えるなんて事は、
本当に、どうでもいいことなんだ。
僕は星の見える夜空を見上げて、星の瞬く夜空を見上げて、
まぶたを閉じて眠りにつこう。
胸に、あふれるほどの感動をしまって。
9.「猿」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、問うこともある。
ある日、友は言った。
「私は車を運転したい。私はもう、あまり歩きたくないのだ」
その時、僕は言った。
「君は、人間であることをやめるのかい?」
歩くことをやめたいなんて
人間の言うべきことではない。
いつかは身体は弱りて、動くことも出来なくなる。
見てご覧なさい、猿は四つ足でも動いている。
あなたは自身を、猿以下におとしめるのですか?
僕は嫌です。
だからこそ、歩くのです。
二本の足で、大地に立って――
10.「必要のない人間」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、胸を張ることもある。
ある時、僕はごみであると聞いた。
ある時、僕はいなくてもいいと聞いた。
ある時、僕はなぜここにいるのかと問われた。
僕はいらない人間なのか?
僕がいなくても、困ることは起こらないというのか?
違う。
僕は信じない。信じてはいけない。
僕は存在しているんだ。
僕は必要のない人間ではない。
だからこそ、僕は証明するのです。
僕は立派に生きる、人間であると。
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