11.「世界」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、創ることもある。
僕は世界を創りたい。
誰にも邪魔をされない
僕の世界を創りたい。
だからこそ、僕はペンを取り、
紙を集めて文字を書く。
僕は世界を創ってる。
僕を受け入れてくれる
広く暖かく優しい世界を。
狭く冷たく厳しい世界を。
僕の内なる世界を表現し、
それを他の人に見てもらう。
僕は認めて欲しいのだ。
僕という、世界があることを。
僕は理解して欲しいのだ。
僕という、人間がいることを。
だからこそ、僕は創っていくのです。
世界を。
12.「カバー」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、疑うこともある。
現実とはなんだろうか。
目に見える
手で触れる
耳で聞こえる
その全てが現実なのだろうか。
僕は疑うのだ。
僕が感じる現実は
実はカバーに覆われているのではないか、と。
僕達は、カバーに覆われた現実を見せられ
それを現実だと思わされているだけではないのか。
僕は、そのカバーの下を見たいと思った。
そこにある、嘘のない現実を。
だけれども、誰も見たがらないのだ、現実を。
だけれども、誰も見せたくないのだ、真実を。
嘘でもいい、感じることが全てであると。
僕は思うのだ。
もしかしたら、
カバーなんてないのかもしれないと。
疑っても、違うこともある、わからないこともある。
けれども、一つ言えることがある。
自分の内から出てきたものは
嘘もない、紛れもない、
真実なのだと。
13.「同等」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、怒ることもある。
科学者が言うところによれば
その機械は猿でも動かすことが出来るらしい。
僕は、どうしようもない呆れを感じた。
あなたは、人間と猿を同等にするのですか?
いくら便利であろうとも
いくら簡単であろうとも
人間は猿と同じではない。
必要以上に便利である必要はない。
必要以上に簡単である必要はない。
僕達は
人間なのだから。
14.「見つけた」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、助けることもある。
僕は、熱くなった道路の上を
必死で進む毛虫を見つけた。
僕は一度は通り過ぎようとしたけれど
結局戻って手に取り手に乗せ
その存在を緑の葉の上に乗せた。
僕はその存在が、より長く存在できるように
目を閉じ帽子を脱いで祈ったのです。
ああ、お前も立派に存在しているのだね。
15.「悪く暗くなる」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、見上げることがある。
僕は青空が好きなんです。
雲一つない、
澄みきった青空が好きなんです。
だからこそ、
僕は暗く湿った
大雨の日が好きなんです。
雨が降り、気分は悪く暗くなる。
だからこそ僕は、
青空の素晴しさを
知ることが出来るのです。
16.「二つ」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、怒られることもある。
争いが止まらぬと
大勢の人々が嘆いてる。
平和が実現して欲しいと
大勢の人々が願ってる。
だけれども、僕はついつい思うのです。
争いがなかったならば
平和は実現できぬのだと。
争いがあってこそ
平和は実現されるのだと。
平和と争いは光と影
二つが存在できてこそ
二つは存在できるのです。
17.「謝ろう」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、振り返ることもある。
君に一言謝ろう。
あの時僕は若かった。
君に一言謝ろう。
あの時僕は拒絶した。
君に一言謝ろう。
君の好意を無駄にした。
そして、僕は一言伝えよう。
ありがとう。
18.「押し付けられる」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、嫌いなものもある。
僕は嫌なのです。
感動を与えられるのが。
僕は嫌なのです。
感動を押し付けられるのが。
夜桜が、光で美しく照らされていたとしても
ほろりとさせる、涙の映画を見たとしても
それは
僕の求める感動ではないのです。
僕は感動するのです。
青空に映える緑の木々に。
僕は感動するのです。
風が駆け抜ける誰もいない屋上に。
僕は感動するのです。
歌を歌う、僕自身に。
本当の感動は
自分の内から出てくるものなのです。
それこそが
僕の求める感動なのです。
19.「思い出す」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、笑うこともある。
僕は友に連れられて
小高い坂を登ったのです。
街の見える小高い丘は
僕を満足させるには
とてもとても十分でした。
僕は友と別れ、一人で坂を
眺めてました。
そして
僕は足を踏み出し
小高い坂を
駆け降りたのです。
風を受けて、走り廻った
あの日のことを思い出す。
僕は忘れていたのです。
楽しかった、あの日々を。
20.「比べること」
僕はひねくれた人間です。
だからこそ、感じることがある。
僕は、世界が明るく暖かい
昼が好き。
世界の全てが明るくはっきり
見えるのです。
そして、夜を感じさせるのです。
僕は、世界が暗く冷たい
夜が好き。
世界の全てが暗くおぼろげ
よく見えない。
そして、昼を感じさせるのです。
僕は
これらを比べることは出来ません。
これらは僕らにとって、
大切なものなのだから。
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