塊素の生きる現実(日記)

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ロストプラネット2
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2016年12月09日
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 十月二七日、水曜日の話

新しい事業が欲しいです

 上が、新しい事業を欲しがっているらしい。

[◆]アイディアを出せ!

 今日の午後三時に社内にてとある会議に出席しました。呼ばれた面子は部長が三人と部長じゃないけど実力がある人が一人、それと入社してまだ三ヶ月程度の若い人間が二人。若い人間のうちの一人が僕なわけで、ものすっごい格差があります。呼ばれた理由は「新しい事業を立ち上げるための会議に参加して欲しい」というもので、なぜ僕に白羽の矢が当たったのかはいまひとつ分かりません。どうも上の人の誰かが僕の名前を挙げたらしいのである。上の人に僕の名前を挙げる人がいるらしいって言うのは少し驚きですが、とりあえず話を聞くことにします。

 会議をするといっても、具体的なことは何も決まっていないらしい。上から「新しい数字が出せる事業が欲しいので若手からアイディアを募集しろ」という指令と予算だけが下りてきたようで、ある程度動ける部長クラスの人たちにしてみても少々手に余るようなのだ。

 とりあえず、アイディアを募集するに当たってのルールから作る必要がある、とのことで、応募者は誰か、審査員は誰か、運営母体はどこか、審査の手順と審査の基準などを考えました。さて、ここで問題になったのが「上が欲しがっている結果を一発で手に入れることができない」と言うところです。上は新しい事業を欲しがっています。それも、お金を確実に稼げるであろうと予測がつくような事業です。しかし、このような事業計画をいきなり募集しては、若手からアイディアを集めたいと言っても集まるわけがない。僕に当てはめてみると、そもそも何をすれば数字を出せるのか皆目見当がつきません。いや、顧客がお金を出してくれそうなことをやれば数字は出せるのでしょう。ただ、その顧客って誰だよ、と言う問題はどうしてもまとわりつきます。

 うちの会社は性格として、消費者個人を対象にするような仕事には向いてません。あくまで企業を相手にした仕事を取ってやりくりしているはずです。企業がどういうものを欲しがっているかに関しては営業の人たちが一番近しいところにいるわけで、そっちに話を聞くのがいいんじゃないかなぁ。今回の会議面子の中に営業の部長さんいますけどね。

 アイディアが集まらないかもしれない、と言う話はもちろんあるわけですが、それ以上にひどい話がありました。上の人の話に合わせて作成された予定表がすでに作成されていたのですが、アイディアを募集しようと言う立案があったらしいのが十月二二日、つまり先週の金曜日らしいのですが、予定表では十月の初めに募集開始、十一月頭に審査開始、十二月には役員会に提出できる形に仕上がっていて十二月中ごろの役員会に提出……。

 十月終わりかけてるけど、

 アイディア募集の話なんて誰も知らんぞ。

 予定表からしてすでに破綻しとるがな。これで進めろって言うのはどう考えても危険すぎます。こういうのは初回が大切で、初回からまごついて今後、うまく行くとは思えません。うまく行ったとしても、すべてがお遊びの域を出ない可能性すら示唆されています。

 初期の予定表どおりに話を進めるのはとても危ないので、一ヶ月、二ヶ月は話を伸ばして欲しい、と言う総意が出ました。で、そのうちにこういう話があることを全社員に浸透させる必要があります。その上で、アイディアを提出してもらうための用紙なども必要になるので作らないといけないし、とにかく準備が足りない。

 しっかし、上からしてみると何でこんなに苦労するのかなって思うかもしれないですねぇ。上が言っているのは単にアイディアを募集しろってだけでしょうから、単純に考えると必要なのは告知用のチラシと提案を書き込むための紙、それとそれを回収するための回収ボックス。あとはそれを審査する人とよいアイディアを事業計画まで練り上げる人か。そこに実際の組織がかかわるとなんかやたらと複雑化してしまうんだなぁ。

 さて、いろいろと振り回されることになりそうです。

 あと、実に個人的な意見ですが、新規事業部を立ち上げる前に組織内にすでに存在している事業部を再編したほうがいいんじゃないかなぁ。営業とか経営とか人事とかは目的がはっきりしてるけど、そのほかの事業部は目的がはっきりしないものが多い気がする。変に部が分かれているせいでそれぞれの部の交流もほとんどないし、何やってるかも分からない。あと、社員名簿を作って欲しいなぁ。あの部の部長って誰だろうってなもんです。何か理由でもあるのかな、作らない理由。セキュリティ的な問題があるなら仕方ないかもだけど……。

[◆]アイディアを夢想してみる

 さて、現実的な話はここまでとして、実際にアイディアを考えてみよう。

 まず、うちの会社は個人を顧客対象とはしていない会社である。おそらく、個人を対象にすると即座にがたが来る。個人を顧客対象にした場合、例えば SNS サイトを立ち上げた場合は数字を出せる領域までやろうとすると万単位を超えるために二十四時間、システムを監視し続ける必要がある。それに耐えられるような体制はうちの会社にはないだろう。さらに、常にシステムの進化を目指さなくてはならないために予想を超える人員が必要になる。おそらくは二〇〇人から三〇〇人が必要になるだろう。うちの会社には二〇〇人程度しかいないので、まず無理。大体、その二〇〇人って言うのも、他の仕事を全部捨ててこそ出せる数字で、実際に動ける暇な人員は一〇人もいないんじゃないか。

 となると対象は企業になる。企業が欲しがるようなシステムとは何か。もちろん、自分たちの業務が軽減されるようなシステムだろう。自分たちの仕事を肩代わりしてくれるシステムである。いうなれば、社員の数を削減できるようなシステムだ。鬼のシステムだな……。

 さて、このような企業の業務処理を軽減してくれるようなシステムっていうと、今作っているシステムといったいどのような違いがあると言うのだろうか……。

 では娯楽面はどうだろうか。これは個人客が対象となるが、パッケージとして作成し販売すればそれほど詰めなくてもいいはずである。ただ、受けるようなものを作ろうと思えばアイディアが必要になるし、ゲーム用のプログラムとゲーム用のプログラムは根本的に違うものであるから誰も経験者がいない。おそらく、まともに動くゲームを作成するだけで一年は費やすだろう。上が悠長に待ってくれればいいが。経験者を採用募集したほうがいいだろうな……。

 うーん、社員の底力が足りないので、現在の社内編成を再編して効率化を施し、若い人間を増やすことに徹したほうがいいです、としか思えないな……。

 何かうまい手があればいいんだけど、この業界ってそういうほかを出し抜くような手を考えるのが難しいんだよなー。公共的な事業の仕事を取れたらいいんだけど。