闘病生活
〜Block Element、肺穴あき事件〜


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日記案内所に行く
入院生活後半の話を読む




六月三〇日、水曜日の話  検査および入院確定および異物挿入

 いや〜!! 素肌をさらすだけでも恥ずかしいのに撫で回された上に骨まで見られたら、お婿にいけない〜〜〜!!(笑)

■ 臨・戦・態・勢・! ■

 朝。ちょっと左側の肺に負担を感じます。息苦しいと言う感じではないのですが、ちょっと肺活量が減ったような……(それを世間では息苦しいと言うのかもしれません)。お母さんが受付をしに病院に行っている間に僕はパソコンを立ち上げてメールを送ったり、入院生活時のためにフラッシュムービーをパソコンに落としたりしていました。自分ながらにかなりの余裕っぷりを見せつけてくれます(笑)
 病院に行って読書(電撃hp vol.30)をしながら検査されるのを待ち、レントゲンを撮ってもらってもらいました。その結果、昨晩は気合を入れていたにもかかわらず全く変わり栄えなし。まあ、良くもなっていないが悪くもなっていない、ということで、一応気合を入れた効果はあったのかもしれません(笑)
 「入院ですね」と先生の言葉と共に病室へ案内されました。「本当はもう昨日の夜に入院されるものだと思っていたんですが、案外と帰ってしまわれまして。また駆け込んでくるんじゃないかと病院で待ってたんですよ〜」という先生の言葉には多少呆れが感じられたようななかったような。本来ならばもっと痛がって息もできないという事態に見舞われるはずらしいんですが。全然痛くなかった僕は……ふっ、人間を超越している存在、とでも言いましょうか(爆笑) 昨日の晩のうちに病院にいた先生方には僕のことが知れ渡っていたらしく、他の先生も臨戦態勢でおられたようです。僕は家で寝ていましたけれど(笑)
 そして……「あなたは運がいいんですよ。外科の先生もおられますし」と先生にベッドに寝るように言われました。肺って内科なんだと知り、ふ〜んと思っていたところに外科の先生が出現です。

■ 看護婦さんは脅かし好き? ■

 ベッドに寝かされてまずは一発、何かの注射を腕に打たれ、採血されました。血を一度中くらいの大きさの注射に取り、そこから小型試験管三本に振り分けます。注射針の先が試験管のふたのゴムを貫いたとき、噴水みたいにばびゅーと血が試験管の中に飛び出すのはある意味見物。ちょっとうっとなりましたけれど、これもいい経験です。しっかり見ておかなくては。
 次に看護婦さんが二本の抗生物質アレルギー検査用注射を打つ、と言いました。「さっきの注射よりも痛いかもよ〜」って、あなた余裕ですな! こんないたいけな患者を脅かして楽しいか!? 「脅し好きですか?」「あっはっはっ〜」。看護婦さんはこれぐらいじゃないとやっていけないっていう気はしますが。このあとには脇に穴開けるんですが……。まあ、最初に脅しといたほうがいざやるときには楽になるのかな?
 そして、看護婦さんが新たに二人来て、いろいろな道具が運ばれてきて、服を着替えさせられ、手術用の布が僕の脇へとかけられたわけです……。

■ 「いまから肺に管入れますよ」「はい」 ■

 ここからリアルタイム風にいきます。

 あ〜、あれが、「これがトロッカです。これで君の肺を膨らませて穴を防いで治療するんですよ」って、管太い! 太い太い太い! そんなの入れる気ですか!? なんかすっちゃいけないものまで吸いそうな大きさじゃないですか!
「麻酔をするから大丈夫です。ただ、皮膚と肋骨に当たったときには痛いよ」
 いや〜ん……って、「消毒するよ〜。はい、左側脱いで、手を頭のところに持っていって」。ああ、こんな格好恥ずかしい……まさしく、半裸で頭に手をやって、「来なさい、坊や」みたいな! 「私の美しさにひれ伏すが良い」みたいな! った、あゃひゃひゃひゃひゃ!! 撫で回さないで〜〜〜!!
「ごめんね〜、今どこに管入れるか決めてるから。どうですか××先生、このあたりに一〇号で(内科の先生)」「僕も賛成ですね(外科の先生)」
 ああ、天国と地獄! くすぐったいんだけれどもうすぐメスが入る〜〜〜!!!
「ちょっとマジックで印し付けさせてね……君感度いいね〜♪」「あひゃっ」「はい、消毒するね」「はひゃ、ひゃは、ひゃ」
 念入りに消毒液ついたガーゼで僕のわき腹を撫で回す先生。奥では外科の先生が超うすうすゴム手袋をぴっちりはめてます。緊張が高まります。高まるんだけど〜〜〜!! ひゃっはーーー!
「じゃ、麻酔しますね。痛かったら追加するんで、無理しないで言ってね。二度ほど痛いよ〜」
 一粒で二度痛い! うわ嬉しくない! ……あ、う………………キタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ━( ゚∀)ノ━( ゚)ノ━ヽ( )ノ━ヽ(゚ )━ヽ(∀゚ )ノ━ヽ(゚∀゚)ノ━━━!! …………マタキタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
 この痛み! 言うなれば「貴様の力の程、知れるな……」「く、そう……」という傷だらけな感じでばたっと倒れるとかそういう痛みではありません。一撃死タイプの鋭い一直線な痛みです。けれど……「あ、あ、僕の体の中になんかでてる……」と、持っていくとこ持っていけば一八禁になりそうな科白と共に痛みが消えていきます。これが麻酔の効果なんですね。
「これ感じますか?」と聞かれても何も感じません。なでられているのかな? 次に来た打撃には「振動を感じますけれど……」「まだ入れてませんよ、今から入れます」。そしてなんかごそごそっと。ふと見れば、ああ、僕の血のついたメス……本当に感じないものですね、麻酔バンザイ! で、なんか振動を感じて、「ちょっと控えめすぎたかな?(外科の先生)」「もう少し広げましょう(内科の先生)」。広げるのか……って、今ゴリって来たゴリって! いや、
肋骨ズレてるズレてるズレてるーーーー!!!!
 これ絶対ずれてるって!
「先生肋骨ずれてませんか!?」「大丈夫ですよ、穴開けましたから」
 切られてないけど穴開けられたーーー!!! けれども楽しんでいる自分が面白すぎぃ〜〜〜〜!!!!
「先生ちょっと痛いです!」「はい、じゃあもうちょっと使いますね」「……なんか体にかかってます」「かけてますから」。そして、「あ、入れられてる……ちょっと痛い……肩甲骨辺りが痛い!」「皆さんそう言いますよ〜。それは上向きに上手に入ったんですよ。管が」「はぁ……」

■ 管を入れられて ■

 そういうわけで管入れ終了。三〇分ほどだったと思います。頭の下に引かれていた左手は麻酔でも食らったかのように感触を失っていました。痺れと緊張で神経がしびれてしまったようです。
「うちの病院では内科と外科の先生が一緒にやったりするんですよ。仲がいいですから」。悪かったら誰も診てもらいに来ないだろう。「君は運がよかった。ちょうど外科の先生もおられて、また気にしておられましたしね」。まあ、それは運が良かったのだろうけれど、いつも一緒に診て廻ってるようなこと言ってなかったか? ……そういう突っ込みはしないでおこう。助けてもらったんだし。
 では様子を見ますね、ということで先生方は去っていかれました。外で様子を見ていたお母さんに大体のことを話し、先生に見せてもらったレントゲンの様子などを僕から説明し、とりあえずお母さんは寝巻きを取りに家へと帰りました。僕はと言えば肩甲骨辺りが静かに痛くてベッドから動けませんでした。トロッカというらしい僕の肺と胸膜の間から空気を抜いているらしい、面積はA5、奥行き一〇センチぐらいの箱を見ていました。箱の右側では青い液体が僕の肺の動きに連動して上下しており(肺活量を示しているらしい)、黄色い液体からぷくぷくと僕の肺から吸い出されたと思しき空気の泡が出ています。トロッカから伸びている一本の細い管は、[吸引]と書かれた壁に取り付けられた器具に伸びています。それで空気を吸っているらしいですね。そして、その箱から伸ばされたもう一本の太い管には僕の肺から出たと思しき薄く赤みのついた液体が流れ出ており、その太い管の先には細い管が接続されています。それが僕の肺と胸膜の間に入っているのです。
 そこに管が入っているため、息をするたびに痛いんです。先生は「管が入っていて、それが刺激するからですよ」と言っておられましたが……毎秒、ヒットポイントが五ずつ減り、けれども回復が六ずつあるみたいな感じです。痛いんだけどやばくない、という感じですね。

■ ゲームボーイアドバンスを取得 ■

 痛いけれども暇なので、とりあえず僕の部屋からゲームボーイアドバンストゲームソフトを持ってきてもらいました。ゲームは【超魔界村R】と【メトロイド・フュージョン(4)】、【風来のシレン2】でした。とりあえず、暇つぶしは手に入れたことになります。ただし、時計は持ってこられなかったので時間がわかりません。病院も病室に時計ぐらい置いてくれよ……。
 両親が帰って一人になったあと、メトロイドは一度クリアーしました。三時間七分か……。まあまあ面白かったかな?(笑)
 で、そのあとに抗生剤の点滴を受けました。これやってるときは動けないものだから、いざトイレに行きたくなったら尿瓶を使わなければならない。尿瓶、傍にありますけれど、実物見たのはこれが初めてだなぁ(笑)

■ ぶべらで済むかなぁ ■

 時計がなく、窓が見えないために時間の進み具合がよく解りませんけれど、とりあえず戻ってきたお母さんに夕食を食べるのを手伝ってもらい、おそらく九時半ごろに消灯、就寝。
 ……寝られません。左肺が痛いのもありますが、何よりも寝返りを打つ可能性が怖い。柵があるので落ちるということはなさそうですけれど、けれどもこのわき腹のパイプがどうなることか……「ぶべらっ!!」って済めばいいかもしれません。むしろ「アパーーーーーー!!!!!!」まで行きそうで怖いです。逝ってしまいます。
 さらにはベッドの中は暑く、汗をかくために寝崩れを起こしそうで辛い。さらには背骨が曲がっているせいか、仰向けで寝続けているのが非常に苦しい。見苦しかれど足で腰を浮かして耐える夜……。あとでベッドの頭部分を持ち上げれば何とかなることに気がつき、大体日が昇ろうかという頃に楽になりました。とりあえず、寝たという記憶はありません。僕と同じ部屋にいる透析を受けている患者さんが部屋の外へと歩いて行ったり、看護婦さんが見回りに三回来たことなどは覚えているのですが……辛かったなぁ!

七月一日、木曜日の話  〜入院二日目〜

 一睡も出来ず、肺の痛みは多少和らいだものの痛みは続く。

■ 結局、僕は人間か…… ■

 こうやってベッドに寝かせられていると、自分はなんとも弱い人間なんだな〜って痛感します。どれだけ想像を膨らませても、肺の裏側に管入れられて動けずにいるただの人間なんです。はあ……ものすごく悲しい。なんかこう、いきなり超回復して管が体の中からはじき出されるようなことでも起こらんものか。……まあ、無理でしょうなあ(笑)
 とりあえず体は辛いものの、頭のどこかでは暇を訴えているのでウェブ日記に載せるネタを考えていたりしました。考え付いたもののの、書き出すまでの間にかなりいいネタが藻屑に消えているようですが。まあ仕方ないでしょう。では、病院の一日を見て行きましょう。

■ 朝は七時から ■

 朝の七時一五分ごろの看護婦さんの巡回でほぼ一日の始まりとなり、体温、血圧、脈拍を調べられました。八時に朝食。ちょっと辛かったですが、これは一人で食べきることが出来ました。
 夜に寝ていなかったせいでちょっと眠くなってきました。周りに人の活気が出始めてくると体が緊張を解き、寝てもいいような感じになるようです。何かあってもすぐに助けてもらえるからか……。昼夜が完全に逆転しそうな勢いですな。
 とりあえず、トイレに行きます。トロッカは壁から伸びた吸引器の管に取り付けられていないと機能しないのですが、ちょっとぐらいなら止めてもいいらしい。ビニール製の管を専用の諌止(かんし)ではさんで空気の流れを止め、吸引機の管をはずして準備オッケー、ではトイレへ。うう、管の先が肩甲骨辺りに当たっていて痛い……。長時間ベッドからは離れられないか……。
 八時からパン、サラダ、果物のデザート(本日はスイカ)の朝食を食べ終わり、また休止状態に移行します。漫画もゲームも何もないので寝てるしかありません。痛いので暇という感覚は薄いですけれど。入院は一週間程度と聞いていましたが、痛み、なくなるんだろうか……。

■ 抗生物質在中につき ■

 脇を切ったので、二次感染を防ぐために点滴で抗生物質を流し込みます。この抗生物質、打つと体温が少し上がります。三六度七分ぐらいのが三七度五分ぐらいに上がります。風邪を引いたとかそういうことではなく。
 そして赤裸々に言うと、尿にきつい臭いが付きます。腎臓ちゃんと働いてるね♪ と前向きに考えればいいんですが、ちょっと臭いっす。
 臭いと言えば、抗生物質とは関係ないですが汗も問題です。ベッドはやわらかいですが熱を逃がしにくく、汗をかきます。特にお尻。寝崩れの原因にもなりそうだし気持ち悪いし、臭いもちょっとあれだし。かぎ続けていれば軽くトリップ出来そうです。いや、ちゃんと体拭いて貰ってるし、服も着替えていますよ! 念のために申し添えておきます(笑)
 入院生活、という感じですね(笑)

■ レントゲンを撮りまーす ■

 朝にレントゲンを撮り、肺の様子を見ます。レントゲン室まで歩いてレントゲンを撮り、病室に戻って待機、主治医の先生から説明を受けました。トロッカを入れて左の肺が50%から95%以上に広がったようです。けれどもまだ隙間があり、これではまだ入院は続行されるであろうとのこと。まあ、仕方ないでしょう。早くに直るに越したことはないのですが……。
 それにしても、人間のからだって見てると面白いですね。肋骨の下は全部は肺なんだ……肺、結構大きい。レントゲンではその広い肺の空間の中に、肺の血管が映し出されています。昨日に撮ったレントゲンでは血管は右の肺は全面に広がっており、左の肺は右下に縮んでいました。最大出力75%ですか……。これはきつそうですなぁ。やはり100%で生きたいですものね、生きるんだったら。
 そういうわけで、入院続行です(笑)

■ 昼、連絡手段と時刻確認手段を取得 ■

 昼にお母さんから携帯を受け取り、友達や大学各方面に連絡することが出来るようになりました。もちろん、病院は携帯禁止です。ですから、隠れてこそこそっと(笑) とりあえず、僕の部屋には重病患者の人はいないので大丈夫でしょう。
 メールをセンターに問い合わせてみるとおそらくは今までで同時取得数の新記録、六通を取得しました。それから隠れて友達にメールを送り、大学にメールを送り、返信に返信し、腕が疲れて携帯が持てなくもなりました。一通り終わったら電源を切って引き出しの中に隠します。
 時計も手に入ったので時刻も判るようになりました。やはり何か動くものがそばにあると楽しいですね。
 痛みは多少あるものの、かなり楽になっており、隊上がることも起き上がることもできる状態になっています。よってパソコンの持参を申請、めでたく認可されました。まあ、痛みがなくなって来たらあとはひたすら暇ですからなぁ。その辺り理解のある親でよかった(笑)

■ トロッカってさー ■

 僕の肺と胸膜の間に入った空気を抜いているこのトロッカという物体。よく見てみればそれなりに楽しいものです。箱の中には五つの区切りがあり、左から黄色の液体、青の液体、空、空、ほんのり赤い液体が入っています。黄色の液体の中には僕の肺から抜けているらしいと思しき気体がぽこぽこと吹き出ております。吸引圧、と書かれていますね。青い液体は僕の呼吸と共に上下します。これはどうやら僕の肺活量を示しているらしく、だいたい今は1750ml辺りが最大のようです。[住友ベークライト]と書かれていますね。う〜む、【エヴァンゲリオン】に出てきた、赤い特殊ベークライトの遠い親戚かなぁ。
 で、最後の赤い液体。これは僕の肺に挿入された管から吸い出されたもので、ぶっちゃけ僕の体液です。赤いのは血かな? 溜まった液体は血が底に沈殿し、ほんのり赤い透明な液体がその上に溜まっています。リンパ液でしょうか? 白血球の死骸かもしれません。
 早く治りたいなぁ〜〜〜〜(笑)

■ コミュニケーション不全の患者さん ■

 ここで、僕のいる病室のほかの患者さんにスポットを当てますね。僕は四人部屋にいます。僕は廊下側のドア左にいます。僕の前、廊下側ドア右側には高齢のおじいさんが寝ています。内科にかかっているらしいですが、病症はよく判りません。僕の左、窓側ドア左には透析(腎臓に問題がある人が受ける、人工的な血液内のゴミ取り。病気そのものは治りにくく、透析は三〜四時間かかるというやっかいなもの)を受けているおじいさんが。僕の左斜め、窓側ドア右にはどうやら腸に問題があるらしい人が。今日一日は絶食らしく、下剤を処方されていました。
 この人、まともに言葉が話せないらしく(発音が出来ないのではなく、語彙が少ないと言うか)、看護婦さんがその人の要求を理解しようと三人ぐらいでうなっていました(テレビの音量を上げる、ということを「これを、まわす!」としか表現しなくて、何を回すのかが解らない。病院のテレビは音量は押しボタン式なので余計解らない。回す、というのは、その人の家のテレビの音量のやつのことなんだろうか……)。
 とりあえず、僕は大して周りの人とコミュニケーションを取ることなく、一日を過ごしていました。病院内探検とかしたいんだけど動けないし……。動いたら痛いし……。起き上がるのにも一苦労なんです、今のところ。

■ とりあえず寝てました(笑) ■

 三時ごろぐらいに両親が来て、寝巻きを着替えたりしゃべったりしていました。でも大半は横になって半眠り状態でした。やはり人がいないと寝れなくなっているのかも知れません。あとはシスアドの本読んだり小説読んだりしていました。漫画はないです。予想では明後日あたりになべなべがげんしけん四巻を持ってくるはずだ! 頼んでないけれど! やつならば僕のこの念を受け取っているはずだ! 「げんしけん四巻持ってこいぃぃぃ〜〜〜〜!!」(笑)
 本日から窓側の人たちがベッドを仕切るカーテンを開けてくれたので窓の外が見えています。今日もいい天気ですね。もう梅雨明け宣言はされたのでしょうか。
 ……基本的にベッドの上にいるだけだからネタが尽きてきました。いつもよりは書いている量は多いですが、単にいつもよりも暇なだけです。いつものときでも書くことはいっぱいあるんですよ! 時間なし&忘れてたりすることが多々にあったりするだけで(笑)
 で、主治医の先生が来て僕の状態を説明してもらい、その後に両親が帰り、一人でゲームボーイで遊んでいました。そうして時間は流れ、日は沈み、トイレに行き、消灯時間となって寝ることに。消灯時間は九時です。ただし、必ずしも就寝時刻というわけではなく、起きてても構いません。僕の場合、ある程度は起きててもいいみたいです(大体十一時ぐらいまで。それ以上はなんとなく起きてる気になりません)。
 さて、今晩は寝れるでしょうか。でも、あ、なんか寒いな……。布団を被らなきゃ……。

七月二日、金曜日の話 〜入院三日目・意外な人物の登場〜

 入院すると、誰が訪ねてくるか判らないですね。

■ 午前中に従弟が来る ■

 パソコンで遊ぶ中、本日一番手に現れたのは従弟でした。まさしくあらびっくり……という感じでした。ここ一年は音信不通だったのですが……最後にあったのはおじいちゃんが死んだときか……あの時は僕は浪人生で十二月でしたから、まあ一年と半年になるのかな? その彼が突然会いに来るとは……面白いですね。
 彼は今大学一年生でバイクにはまる熱気盛んな人です。多少お金の使い方が荒い部分がありますがそれはともかく。今日もバイクでお見舞いに来てくれたそうです。僕がパソコンを使っているのを見て、ゲームとパソコンで録画したアニメ(ケロロ軍曹)をくれるとの事。オ〜。
 とりあえず、僕の無事を確認して彼は去っていきました。なにかスピードに呑まれている気があり、事故らないことを祈るばかりです。

■ その次に ■

 従弟が帰ったあと。なんと本日、僕の元英語家庭教師の先生が来てくれました。なんともお久しぶりです! 実質一年ぐらい会ってませんでしたけれど、まさか会いに来ていただけるとは! どうやら従兄弟が僕の入院を先生に知らせたらしいです。
 先生とはいろいろな話をしました。僕の大学生活、そして先生の院生生活。先生は大学院生です。今年で最後らしいですね。来年には英語の非常勤講師になるそうです。
 僕の無事を確認した先生はそういうことで、と去ってゆかれました。む〜、面白いですな、入院生活!
 あ、ちなみに痛みは今はかなり小さくなりまして、起き上がるのも結構楽になりました。まさしく元気になってました♪

■ CTスキャンを受ける ■

 よく医療関係テレビドラマに出てくるあれのことですが。ちょっくら輪切りにされてきました(笑)
 おおよその仕組みはレントゲンと変わりないようで、X線を当てて写真を撮るらしいです。けれどもどういう撮り方をしているのかはよく判りません。胴体から垂直にX線を当ててるはずなのですが、それで撮れるというのは……?
 とりあえず膨らませた肺を撮ってもらい撮影そのものは一、二分で終わりました。実にあっけないものですが、そうでないと困るでしょうね(笑) あとは部屋で待機します。
 主治医の先生が来てスキャン写真を見せてもらいました。いや〜、これもまた面白いですね。肺や食道が黒く移っています。背中側にある白い点はトロッカーの管ですか。輪切りにされているので点のように見えますが、実際には上下に伸びた管になっています。
 で、診察結果として、やはり空気が少しばかりまだ残っているとの事。ちょっと吸引圧力を上げるそうです。ぬう〜、やはりそうそう治らないもののようで(笑)

■ おばちゃんパワー!! ■

 ゲームボーイで【風来のシレン2】で遊んでいたときのことです。手持ちのアイテムがいっぱいになったので倉庫に預けにいったんです。この倉庫の倉庫番は二人のおばちゃんで、一人は普通にあずかってくれる倉庫の番をしていて、もう一人はフィールド上に預けられる倉庫の番をしています。
『おばちゃんがアイテムを預かってあげるわよぉ〜!』
 エネルギッシュなおばちゃんたちです。そして、ゲームをしている僕の前におばちゃん助手(看護婦さんのお手伝いをしている人)が現れた!
「ほら××さん! ご飯ちゃんと食べな元気になんないよっ!」
『木の床のところ以外にアイテムを置いちゃ駄目よ! なんでって、おばちゃんのパワーが届いてないからだわよっ!』
 なんか、妙にマッチング。
「××さん、ほらずれないの! はっ、よっ、……この仕事は気合やで気合っ!
『預かったアイテムはおばちゃんがフルパワーで守るわよ〜!!
 おばちゃんフルパワー。いや〜、おばちゃんドライバーは非常に嫌ですが、回す所にエネルギー回しているおばちゃんは実に頼もしいですね!(笑)
 ありがとうおばちゃん! がんばれおばちゃん! あなたにかかれば僕らは元気です(笑)

■ コミュニケーション不全の人、退院 ■

 どうやらただの腸の検査のためだけに入院していたみたいですね。朝方、ポーダブルトイレをズギギギと押して進んでいたのはインパクトがありましたが……。まあ、退院出来てよかったですね。
 その後にはすぐ、別な人が入院してきました。どうやら今度の患者さんは透析を受ける人のようです。普通の人のようですよ(笑)

■ 友人が見舞いに来て ■

 昼を過ぎて現れたのが僕の友達です。彼はお菓子を持ってきてくれました! 生ものらしいので、二人でおいしくいただきながら談笑。まあいろいろと(笑)
 三時ごろにお母さんがノートパソコンを届けてくれました。紙袋に入れてその他機器もごっちゃにしていましたけれど。さらには共同病室内でゲームするには欠かせないヘッドフォンがない。MDウォークマンのヘッドフォンではコードが短すぎるし……。むう。まあ、持ってきていただけただけでもよしとしよう。これでウェブ日記用に日記が書けるぜ! 早く書かないと忘れてしまう……。まあ、初日の経験とかまず忘れないでしょけれどね(笑)
 で、友人は三時間ほど僕の傍にいて、それから去っていかれました。なんか、退院後に僕に何かの祭りの手伝いをさせようとしているらしいです。僕がこの身だから、大したことは出来ませんけれど手伝えることなら手伝ってみようかな?
 友達が去ったあとは食事のときにパソコンが邪魔にならないよう、片付ける場所を確保してからパソコンを立ち上げてまずは入院直前に入院生活のときのために落としたフラッシュを見て、音楽を聴き、ゲームをしたりしてました。月闇さんからいただいた今は亡きコンパイルのゲーム、なかなか面白いな……(笑)

■ お父さんが来て、お母さんが来て ■

 いつもどおりの夕方のお見舞いです。大抵この時間に来るんですよね。
 夕食を同席してもらい、歯を磨くのを手伝ってもらってばいならし、あとはパソコンのゲームに明け暮れる……。ヘッドフォンは僕が指定した場所になかったらしく、じゃあということで別の場所を探すように頼みました。明日までは短いウォークマン用のヘッドホンを片耳だけ付けてやることにします。ヘッドフォンの、長いほうしか届かないもので……(笑)
 そして、だいたい午後十時ごろに寝ました。午後九時に消灯って言っても、廊下しか消されないんです。部屋の電気は誰かが消すまでつけっぱなしです。大抵は巡回に来た看護婦さんが消します。
 パソコンを得た僕は消灯後も遊び続け、十時ごろ、部屋の電気が消されたあたりで寝ました。今日はゆっくり寝られそうです。
 大体、このあたりの時刻になると体の体温が引くなるみたいで、昼間は布団を跳ね除けないと暑いんですけれど、夜は布団を被らないと寒くて震えるんです。空調が効いているんですけれどねぇ……。

■ 経験は大切だ ■

 思うに、こういう経験っていうのは人間性を成長させるには必須なのではないかと思う。病院で苦しんでいる人を何を思うか、自分がベッドに寝転がり、暇をもてあましていて何を思うのか、助け合いとは? 片足なしで生きるということは? ぼんやり空を見ているしかないこととはどういうこと? 風から全く切り離された空間にいる事は? 風呂に入れないって辛い? 肺に穴が開くとどうなってしまうのか? お見舞いに来てもらうことって?
 こういう経験をしていない人は、おそらくはそういう人がいることを知らないからそういう人たちのことを考えずに好き勝手してしまう。政治家になれば国民の声を無視して自分勝手にやる。そういうことがあることを自分の肌を通して知っていれば、おそらくは何かが変わるものだと思います。これは「庶民的」では済まされない大切な経験だと思いますね。若いうちに経験出来て良かった。まあ、こんなのりんごの皮程度の経験でしかないと思います。それこそ、看護士にでもならないとね。
 こういう世界の存在を知れたことは、実に有意義だと思います。まあ、入院すればお金かかるし、親からしてみれば降った災難程度のものにしかならないのでしょうけれど(笑)

七月三日、土曜日の話  〜入院四日目・今日もたくさんの人がお見舞いにきてくれました〜

 総勢六人! こんなにも見舞いに来てもらえるとは……。

■ 夢を見た ■

 場所は韓国。家族と共にそこにいました。「この国なら、一万円あればマンションが建てられるんじゃない?」「どーかねー」という会話をお父さんとしていました。そして近くの服屋に入り、
 ……なぜかおすし屋にいてお寿司を食べていました。かなり大きな店で、カウンター席もあればテーブル席もあります。で、食べ終えて勘定をしたいのだけれど言葉が通じない。一生懸命絵を描いたりして「何円ですか!?」と聞く僕。韓国語っぽいような中国語っぽいような言葉で首を振る店員さん。
 あ〜だこ〜だって言ってる間に、(英語で話せばええやん)って思いましたね。

 そこで夢が覚めました。なんだったんだ一体……。

■ 体調はバッチリ……ではないけれどね ■

 まあ、脇に管刺さったままですから(笑) 体調の経過を報告すると、今では肺の中の管の痛みも感じなくなり(これはこれでやばげな気がするが、それが普通らしい。体が『体に異物が刺さっているのは仕方ない』と慣れてしまったのだろうか)、レントゲンを撮れば見違えるほどに肺は広がりました。けれどもまだ隙間があり、予定を早めて吸引をやめる……ということにはならず。「残念やったね〜」と吸引機とトロッカを再接続する看護婦さんにう〜んと唸っておきます。
 入院二日目では便秘の気があったのですが、今ではしっかり出るようになってとりあえず自分が今いる階の中ぐらいならばある程度歩き回れるぐらいになりました。それにしても見て廻っただけでは、僕を除く入院患者の全てが高齢者の人でした。若いの僕しかいない〜〜!!(泣) 入院といったら病弱な女の子との出会いだろ! 入院が長くて髪の毛が長い! 美容院に行かないから当然髪の毛の色は黒だ!
 なぜいないんだ〜〜〜〜!!?(暇のあまり暴走してるだけです。しばしお待ちください)

 ……ふぅ。とりあえず、肺んところに管が入っている以外ではもう元気です。パソコンで遊んでます(笑)

■ なべなべと月闇さん参上 ■

 十二時の昼食が済み、一時を廻った頃にその二人が現れました。いや〜、嬉しかったです。特に月闇さんなんか遠路はるばる……二時間かけて自転車で来られたんですか!? あいや〜、お疲れ様です。
 見舞い品の和菓子やみたらし団子、こだわりのあるバナナをもらい、月闇さんからはゲームの資料集を見せてもらい音楽CDを貸してもらい、なべなべは僕の念を受け取っていたのか【げんしけん】四巻をしっかりと持ってきてくれました。それこそ我が下僕だ!(腕を組んで感涙)
 それからいろいろと無駄話をしていました(なべなべはしっかりこちらが話の軸を持っていないと内容がレッドゾーン(下ネタ)に近づいていくのが玉に傷。元気ですなー。月闇さんいるのに……周りにも人いるのに……)。
 雰囲気で言えば、こんな感じ。


元ネタは【げんしけん】四巻、斑目君の主張より(笑)

 ……あっはっはっはっはっ、こんな科白が飛び出したわけじゃありませんよ? いや本当。本当ですって!
 無駄話のあとは真剣に僕のウェブページのこと、漫画や小説に必要といわれる[テーマ]の意義について、ゴスロリの世界等々について語りました。この二人が僕の見舞い客の中では一番滞在時間が長かった。四時間半ぐらいいたのかな? 「鋼の錬金術師をビデオにとらなきゃ」となべなべが席を立ち、さらに月闇さんがついていくことになり、そこにお母さんと妹が来て入れ替わりということでなべなべと月闇さんは去っていきました。なんか、「夜の病院を知りたい。アニメが終わったらまた来るわ」と頼もしいことを言って去っていきました。待ってるぜ!(笑)

■ お母さんと妹、そしておばあちゃん ■

 入れ替わり立ち代りに現れたのはお母さんと「一週間程度の入院なら行かなくてもいい」と言い切ったいう我がナイス妹。そして母方のおばあちゃんでした。わざわざ来ていただけるとは……。
 おばあちゃんは本当にいい人ですよ。昔っからいろいろと世話焼いてもらいましたし……我儘言いまくってたもんな〜(笑) まあ、このような事態になってしまい、何でもかんでも“悲しんでしまう”のが嫌なところですが(もうちょっと前向きというか明るく考えて欲しい)、見舞いに来ていただき、ありがとうございます♪
 とりあえず状況確認だけにして、お母さんに歯を磨くのを手伝ってもらい、三〇分ほどで三人は帰りました。で、なべなべにメールを打つも、なかなか来ず。どうしたのかな? と思っていたら、九時ごろ(消灯時間)になべなべから夜のお見舞いは注視した胸のメールが来ていることに気がつきました。まぁ、そっちのほうがいいだろうなと思います。今日来ていただいた二人には感謝のメールを送りました。

■ そして最後にお父さん ■

 何気に毎日来ているのがお父さんです。最近、運動不足に嫌気が差したようで、運動がてら僕の見舞いに来ます。僕の見舞いをしつつ休憩して、様子を見てから帰ります。話すことは少ないですが、思い返すとなにやら微笑ましいような気がします。なんというか、流石は我が家の中心人物だなぁという感じです(笑)



七月の日記を読む
日記案内所に行く
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