06/03/01
〇六年 三月 一日 内部状況報告 No.2
現在のWWは新しく来た人には冷たい状況にある。というのは、現在のメンバーは基本的に自分達の狩りを重視する態度にあり、レベルの合うグループでしか動かない雰囲気がある。レベルが低いキャラクターを利用している人にも、同じ対応がなされる。これに伴い、いささか人のプレイスタイルにケチをつける場面がいくらか見受けられる。効率を求めている結果がこれとは、なんとも虚しい。
現在のメンバーはギルドの繁栄にはほぼ興味がないようだ。ギルドの経験値の話をすると大抵は無視される。その辺りの話題には触りたくないかのように。実際問題として、ギルドの経験値はプレイヤーによる経験値上納に関わっており、上納するとなるとキャラクターの育成が遅れるため、キャラクターを強くしたい人にとっては関わりたくない部分であろう。
打開案としては、新しい人を五人から一〇人、一気に入れることだろうと思う。新しいグループを構築せねばWWに入ってくる人は次々と辞めてしまう可能性が高い。僕一人でやるにしても、限界はある。要するに、内部分裂である。やってらんねー。
現在のグループを新しい人が来ても平気なようにする事はできるだろうか。望みは薄い。新人の育成は多分に労力の掛かる分野であり、それを嫌う傾向にある。人見知りが激しいという報告もあるので、新しい人にそもそも対応できない可能性もある。どないせーっちゅーねん。
そもそもメンバーを増やすと言っても、現在のメンバーにとっては壁の向こう側の仕事のような態度を取られている。本人達にしてみれば、メンバーが増えようが増えまいが、大した問題ではないのだろう。ギルドの繁栄に興味がないからだ。
まったく、WW細分化計画の事を話した時に、「そんな事をしたらただのソロギルド集団になってしまう」という言葉を投げかけられたが、じゃあ今はどんなソロギルド集団だというのだ。
……そーいえば、ずっと前に「私はWWを調査しているスパイです」みたいな事を全員がいう場面があったなぁ。あれってギャグじゃなかったんだろうか……。はぁ……。