十一月 六日、木曜日の話
夢の話

 昨日今日と夢を見たんだけど、これがまた僕好みの夢で。

[◆]夢の話

 大抵の場合、寝ているときの夢と言ったらすぐに忘れてしまうものなのだけれども、昨日、そして本日と見た夢はあまりにも僕好みの夢だったためにすぐには忘れなかった。多分、夢を覚える秘訣は起きたらすぐに夢の内容を何回も反芻することであろう。

 まずは昨日の夢から書いておこう。

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 高等学校。その校舎のひとつの屋上にて植物を育てていた。おそらくは稲だ。背の高い葉をつけてまだ穂は付いていない。周りには僕と同じく稲の手入れをしている生徒が数人いた。男子三人、女子三人。そして指導中らしい教師が一人。僕は唐突に屋上から隣のさらに背の高い校舎の屋上へと重力を無視した形で飛び移った。その屋上から見たのは、さらに奥にある校舎を食べている肉塊であり、どうも敵対しているらしいことがわかった。

 食べられて稲校舎の無事だ部分へとまた飛び移り、左手を振る。何もない空間から脇に構えて撃つタイプの大きい砲撃重火器を取り出して構え、引き金を引いた。跳ね上がる銃身と、肉塊のはじける様はかなりゆっくりで、銃身が安定を取り戻した後にさらに空へと飛び上がり上空からまた銃を撃ち――。

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 早い話が、超能力系戦闘ものである。この手の夢は実に僕好みであるが、さらに良かったのは一連の行動の主導権が僕自身にあったということである。第三者の目で見ているように自分の行動が勝手に決められていくわけでなく、そうしたいからそうなった。空を飛ぶのも銃を取り出すのも、常日頃から僕が妄想している事柄であり、いずれはそういうゲームを作ってみたいなと思っているところである。

 それでは本日の夢の話。

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 夜。その日は豪雨で暗闇の中を激しい雨が体を打ち付けていた。僕の着ている服装は世界群歩行者達の戦闘服であり、僕がいる場所は学校のプールだった。目の前には真っ黒な深い水溜りがあり、雨と風で波打っていた。

 念じる。水の上を歩きたいと。そうして黒いプールへと足を差し出した。水の上に足が乗り、さらに二歩目を出す。ぱしゃぱしゅと表面の水がはね、足の裏には泥たまりをふんでいるような感触が伝わってくるが、それ以上足は沈まなかった。プールの中央まで小走りに移動し、また念じる。開け、と。

 真っ黒なプールが一瞬にして燃えているような赤い色になった。そして、僕の目の前のプールの水が左右に分かれて、その下に別の世界へと通じる道をさらけ出した。雨の中、僕はその穴のような道へと飛び降りた。

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 この夢も一連の行動の主導権は全て僕にあった。あまり夢を見ているときには感じないんだけど、夢から覚めてみるとこれがまた愉快でねー。夢の中の主導権を握れるのってあまりないことだしね。

 また、このような僕好みの夢を見ることも稀である。覚えている限りでは今回で通算四回目だ。一回目は空を飛ぼうとビルの屋上から飛んだものの、うまく飛べずに下の民家に墜落すると言う夢で、二回目は夢の中の人物から自分の身を隠す能力の欠点を教えられる夢だった。

 機会があればまた見たいものである。いやほんと。


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