八月二二日、土曜日の話
友人と夕食を食べる

 「飲みに行こう」ってメールが来たもんだから、てっきりお酒を飲むものだと思ってた。

[◆]友人と夕食を食べる

 木曜日の夜に「土曜日に飲みにいこう」というメールが来た。基本的に僕の友人には酒を飲む人がいないので、約一年ぶりに会うこの友人から「飲みにいこう」なんて言われて、「あいつもさぞ社会の中で揉まれて不満が溜まってるんだろうなぁ」と思った次第である。上の人たちに連れられて飲みに行ったりして、酒の味に快感を覚えてしまったのか。

 てなわけで、それならそれで飲もうじゃないか、と約束を交わし、土曜日の午後七時ごろに合流して焼き鳥屋で夕食をとりました。おりしも、先週魚釣りのあとに行った焼き鳥屋と同じチェーン店でした。それならばある程度、店の勝手が分かっています。先週食べなかったものを頼みますか。

 一年ぶりに会った友人は一年前と比べるとさっぱりした印象がありました。眼鏡からコンタクトに代わったせいもあるだろうし、肉体的にしごかれているせいもあるだろうと思います。ちなみに、職場からはあまり人ごみの中にいかないように言われているらしい。なんともすれば、街を見渡してもそんな印象を持たないのに現在、新型インフルエンザが再び大流行しているからです。前と比べて、誰もマスクしてねー。僕もしてない。

 それはともかく、一年間会わなかったわけで積もる話もあるかと思ったのですが、意外とあまりなかった。お互いに生活は一年前と大して変わってないし、特にイベントらしいイベントもなかったようで、お互いの仕事の話とかしてました。僕の仕事はプログラマーであり、何を売るのかといえばコンピューターソフトウェアと答えるのですが、具体的にどういうものか理解しにくい様で。

 最初にどっさり注文しておき、お酒を飲みつつしゃべっていました。ここで夕食そのものについて言及すると、焼き鳥屋なので焼き鳥を頼むのですが、今回、焼き鳥を頼んだのは僕のみで、友人はご飯者を二つほど。僕が頼んだ焼き鳥は全て二人前ずつなので量は十分(一人前は串二本)。がつがつ食べていったのですが友人はあまり食べず、二人前ある焼き鳥をひとりで食べたものもありました。友人に言わせれば、「痩せている人に大食いは多い」とのことだそうで、僕は自分自身ではそうは思ってませんがかなりの量を食べているみたいです。「コンビニで飯を買うって言ったら普通はパン二つぐらいで済ますもので、さらにそこにおにぎり二つ食う奴は普通、いない」らしい。うーん。

 飲みに行こう、と言う割にはお酒は一杯しか飲まず、後は水で澄まし、店を出ました。カラオケにでも行くかなと思っていましたが、その後は近くの鴨川まで歩き、夜の川沿いの道を散歩しながらいろいろなことをしゃべっていました。

 鴨川と言えばそこかしこにカップルがいる名所であり、彼氏彼女がいない人間には行ってはいけないところと苦笑いされる場所ですが、それはともかくとして。人気の無いところにある椅子に座り込み、二人に共通の友人の話とか政治の話とかしてましたが、最も長く話が続いたのが恋人という存在についてです。

 現在、二人とも一人身ですが、口では彼女ほしいと言いつつも実際にはなんにも行動していません。嘘です。友人は今年のはじめごろにも彼女ができそうでできなかったとか。それはさておきまして、実のところ口で言うほど恋人が欲しいとは思っていない、というのが二人に心のうちに共通して存在しているようです。口で彼女が欲しいと言うのは、周りの雰囲気からこの年頃であるならば彼氏彼女がいて当然である、と言う圧力を受けていて、とりあえず言っているだけではないか。そんな気がするわけです。

 友人の場合は分かりませんが、僕の場合は例え彼女ができたとしても遊ぶのがせいぜいで、結婚するところまではいけないでしょう。収入の問題上。一人暮らしもできてない時点で敷居は高いです。アフィリエイトでできる限り稼ごうという意思も最近はなんだか希薄で、冷やかしが完成すれば取り付けるだろうけれどもあまり収入には期待していません。

 このままあっさり三十代に入ってしまうんでしょう。そう思うと少し寂しい気もしますが、仕方ない。僕にはそれらを手に入れるだけの力がなかった。それだけです。

 少し強く雨が降ってきたところで帰る事にしました。途中でゲームセンターに寄ったりもしつつ、十時ごろに電車に乗りました。

 あとの人生、どのように進んでいくのやら。


塊素第一情報区画 http://hades.worlds-walkers.org/~Block/