四月 八日、水曜日の話
衝撃を受ける程度に完成した冷やかし

 冷やかし、表から見える分には必要な機能は揃いました。まだ完成とはいえないけれども。

[◆]チャットが必要な人、必要ではない人

 改めて確認するが、僕が作っている「冷やかし」はインターネットブラウザを通して利用するチャットサイトである。複数の参加者が会話できる場を提供することが目的であり、基本的にそれ以上のものはない。

 他者との通信はインターネットの本質であり、他人と通信するだけならブラウザチャットなんて単なる一手段に過ぎない。メールから始まってウェブページの公開や電子掲示板、冷やかしのようなページを再読み込みして発言を表示していくチャット、もっと高性能なプログラムを使って再読み込みを感じさせないチャットやパソコンそのものにインストールして双方向に通信できるソフトウェアなどがある。

 通信関係で高性能さで並べると以下のようになるだろう。

  1. 通信総合ソフトウェア (MSN メッセンジャーなど)
  2. チャット機能付き各種ソフトウェア (オンラインゲームなど)
  3. カメラつきIP電話 (SKYPE など)
  4. IP電話 (固定電話型 IP 電話機など)
  5. ソフトウェアチャット (IRC など)
  6. ブラウザチャット (各チャットサイト/ブラウザ使用)
  7. 電子掲示板 (各掲示板/ブラウザ使用)
  8. メール (各メールソフト、携帯電話メール)
  9. ウェブページ(ブラウザ)

 ざっとこんな感じか。冷やかしはブラウザチャットに入る。具体的な性能差を軽く言えばブラウザチャットはすぐ下の電子掲示板に利用者名の表示と自動再読み込み機能をつけただけで、そんなに性能差はない。大してソフトウェアチャットと比べるととんでもない差がある。専用ソフトをインストールする手間が必要になるものの、双方向通信であるためにタイムロスを生み出すことなく会話が可能である。ブラウザチャットのように再読み込みまでの時間を待つ必要はない。

 と、性能差だけで言えばソフトウェア系のほうが非常にいいもののように聞こえるが、不得手もある。先にソフトウェア系に言及すると、確かに即時応答で非常に便利なのであるが、専用のソフトをインストールしなくてはならないのがネックである。わかる人にならすぐに分かる程度の手間であるが、手間以外にはソフトは OS 依存が激しいので全ての人と気兼ねなく使えない場合もある(使えるものもある)。

 ブラウザチャットの場合はブラウザソフト自体は OS 依存はあるものの、ウェブページは世界規格で決められた言語を用いており、OS は関係ない。またブラウザは昨今では全てのパソコンに必ず一つは備えられている物であり、インストールのような手間は掛からない。アドレスさえ知っておけばすぐにでもアクセスできる手軽さがある。自分の所有でないパソコンを使用しているときでも利用できるというのは大きいだろう。人様のパソコンに関係ないソフトを入れて使用する人はほぼいないはずである。


 前置きが長くなったが、本日は冷やかしに関することでやや衝撃を受けたことがあった。

 最近はご無沙汰になっている「涼宮ハルヒのジャズ雑談らじお」。時々に顔を出していたりするのだが、年末年始ごろには仕事の愚痴ばかり書き込んでいて相当煙たかっただろうと思われる。僕もここに関しては避難所用に冥王サーバのスペースを貸し出していたりするので切っても切れない関係を持っている。まあ、最近はメンバーもよく分からない状態になっているのだけれども。

 そんなわけで、ちょっくらブラウザチャットでも一ついかがですかと尋ねに行った。ただ、売れるとは思っていなかった。何分、相手は既に掲示板をチャットのように使いまくっていると人たちであり、ブラウザを通した通信手段は事足りている人たちだ。いまさらチャットなんか必要ない。まあ、念のためである。

 そこで返ってきたのが「 IRC でチャンネル(チャット部屋)を作ればいいじゃん」であった。これまでの五ヵ月分の僕の時間がどぶに捨てられたような感覚を味わうこととなったが、落ち着いて考えなくても実に当たり前の話である。基本的にブラウザを通した意思疎通を毎日行なっている人たちだ。ブラウザチャットをいまさら前に出されたところで、それ以上のものでないと興味を持たないのは目に見えている。

 そして、落ち着いたあとで考えてみれば、つまりはそっぽ向かれてショック受ける程度には冷やかしは完成していると僕自身が感じているということである。主要部分の開発は終わり、あとは細かいバグつぶしと利便性の向上、そして利用者には関係ない部分の作成。利用者に関係ないがゆえにあとは純粋に僕自身の馬力次第という部分を作成しなくてはならない。前にみなぎってきたと大きく書いた部分である。

 どこかで満足してしまっている部分がある。いきなり開発速度が落ちた。というより、ストップしてしまった。

 理性では完成していないとわかっているのに、体がついていかない。いっつもこれだ。くそう。

 もう少し、もう少し。