四月 三日、金曜日の話
一年を振り返る

 さて、社会人二年目。何がどうなったのか。

[◆]一年を振り返って

 社会人二年目、やや落ち着いた中での仕事をこなしてきた。少なくとも電話対応にびびる事もなくなれば名刺を渡す際に手が震えることも少なくなった。未だに新人に何かを教えるという経験をできていないが、それはまた別の機会でいいだろう。新人が来る前にうちの会社は潰れるだろうし。会社の将来は社長の言葉が消え入りそうになるほどに暗いようだ。

 改めて振り返り、この一年で会社で技術的に得たものと言えば……ASP.NET VB 版と Oracle SQL ぐらいな物だろう。Oracle そのものはこの先利用することはないかもしれないが、SQL 構文の知識は必ず役に立つ。ASP.NET はWindows サーバでしか使えないことがあり、おそらく仕事外で役に立つことはないだろう。あとは…… Microsoft Visual Studio 2008 に触ることが出来たとかその辺りになってくるんだろうか。ソフトウェア自体に触ることが出来たのは大きいかもしれない。テキストエディタのようにしか使ってなかったけど。

 その他には、得てして世の中適当にできていることがわかった。気の抜けた仕事をしていても回るものは回る。自分の会社以外の会社を見てそう思った。あっちの会社に転職したらそこそこ楽な気がするよ。まあ、あっちはあっちで面倒そうではあるけれども。あんな会社でもうちよりは大きい。それが現実である。

 仕事とはなんぞや、と言うのもわかった。学生の頃は仕事と言うものに対して漠然とした想像しかなかったが、実際にやってみればなんとも仕事とは単純作業の積み重ねであることか。移動する、話す、書く、作る、渡す、もらうの積み重ねだ。他人が求めていることを代行して、結果として報酬を受け取る、それだけに過ぎなかった。そして、この動きの中では大抵の人が自分のために自分に対して仕事和すると言うことがほとんどないこともわかった。おおよそ、報酬がないからだ。人のために働かないと生活の糧を得ることができない。僕はそこに疑問を感じて仕方ないのだが……。人間として、もっと楽にやれる方法がありそうな気がする。間、そう思うのであればそれを実践するだけだ。

 あとは、ようやく独自の力でプログラムサイトっぽいものを作ることが出来るようになってきた。この一年での大きい進歩だろう。問題があるとするなら、言語が PHP であり、サーバ環境も Lunix の Apache で会社で学んだ知識がほとんど使われてないって事なのだが。PHP のプログラム作成の考え方などは会社で培ったものを使っているが、それだけでしかない。プログラムの作成の仕方にしたって渡された本を読んで、年末年始も休み無しで自分でプログラムを組んで培ったものが大半で、あとは上の人の好き嫌いで決められた決め事を守ってるだけだ。まあ、会社という場所でなければ基礎知識を勉強するってことができなかったかもしれないとは思う。気心の知れない連中がまわりにいる環境っていうのは気が抜けないもので、やる事はやらないといけない。連中のために貢献する気はないが、そこだけは会社に入ってよかったと思う。気がつけば無駄話ばかりして作業が進んでないということにはならない。

 一年と言うのは実に時間が長いものだと思う。しかし、この一年、とても流れが速かった。昔っから働いていると流れが速く感じると言うが、それは忙しいという理由によるものではないことがわかった。単に疲れて頭の動きが鈍っているだけだ。自分の動き、意識の流れそのものが遅くなっている。それだけに過ぎないと言うことが体感的に認識できた。こんなもの感じていたら、本当にこれでいいんだろうかって気分になってくる。時間を無駄にしているような感触を拭い去ることができない。

 早く今の仕事を辞めたいという気持ちも強くなってきている。漠然と今のままではつぶされると言うのを感じてきたのだが、それに具体性を帯びてきたのである。今の会社の体制を考えれば、どう考えてもこの先会社に残れるのは部長より上の連中だけだ。若い連中への仕事の引継ぎなんてほとんどない。単なる作業員扱い。あとから入ってきた人間は全て作業員扱いする気なのだろう。

 ある意味ではありがたいんだけどね。会社の将来なんか担う気のない僕にとっては。自分のやりたいことを優先しなくてはね。

 とりとめのない一年の振り返りとなったが……。ま、なんだかんだ言って、積み上げられたものはあるってことだな。どこまで積み上げられるかが重要で、一年積み上げただけじゃ終わるわけがないものであるが、生きている限りは自分のいけるところまで行きたいもんだ。