七月二四日、木曜日の話
またまた怒られた

 ふむぅ、怒られる理由は僕自身に明確にあるだが、残念なことに怒られた度合いに比べて対処法はシンプルです。

[◆]命令不完全履行

 本日はとうとう怒られてしまいました。入社後、通算三回目になるかと思われます。

 今回のお怒りの理由は命令の不完全履行。つまり、言われたことを完全な形で実行しなかったわけです。実行しなかった理由は単に命令内容を正確に覚えてなかったことによる。よって対処法は命令をメモに取ること。そして、このメモを取れという命令は何回もなされていたわけで、実際のところと言えば仕様書を聞いている段階ではメモはしっかり取れているが、突発的なものまではメモを取っていなかったという状態になっていた。

 要するに、場合によって取っていたり取っていなかったりする訳で、それを悪いと見なすか仕方ないと見なすかは個々人によって変わるだろう。まあ、八割がた悪いと見なされると思うのだが。なんでこんなことを書くかと言えば、「仕様書についてのメモを取れ」と言われたことはあっても「命令のメモを取れ」と言われた事は僕の記憶上にはないからだ。おそらく、こんなことを言う僕と上司の間にはお互いに理解し得ない、もしくは認識できないような得体の知れない溝がある。

 自分で言うのもなんだけれども、本当の意味での「応用力」ってやつはないんだろうなぁ。本来ならばそれは中学〜大学辺りで学ぶべきものなんだろうけれども、僕は学ぶことが出来なかった。ゆえに、基礎力だけでがんばるしかなかったのである。「あるものしか出ない」というのは僕自身の真理として存在するわけで、それだけじゃ仕事はできないと言われたらもはや仕事を辞めるしか道がない。おだてられても時間稼ぎにしかならないのである。

 さて、ここで僕の取るべき道はそう多くはない。辞めることはほとんど確定済み状態になっているから、辞めたあとの生活をどうするか。小説投稿サイトはそのための足掛けではあるが、企業に再就職は難しい。再就職しても二年ぐらいか。フリーターよりは稼ぎはいいかもだが、人生としては微妙だ。というか、世界群歩行者達を設立したい。現在のどん底状態に加え、僕自身の能力が理想とは程遠いと言うのが設立の可能性を一割以下に足らしめているが、それはそうとしても。

 心置きなく、大地を踏みつけて太陽の光を浴びて空を見上げたいじゃないか!

[◆]その後の話

 怒られたからと言ってしょぼくれるわけじゃないのが僕のいいところなのか悪いところなのか。「私の言うことがぜんぜん分かってくれなくて、どうしたらいいのか分からない」と嘆く上司を前に「ご愁傷様です」と心の中でつぶやく僕はそこそこひどい人間だと思うのだが、怒られたからと言って傷ついてやる必要もない。勝手に気を滅入らせているがよい。

 で。そうは言っても当人よりも早くに帰る気が起きず、適度に遊んでいたりする。仕事? 七時を過ぎたあたりでどうでもいいよ。つーか、仕事に関してはネタ切れ起こしててやることがないんだってさ。つまり、仕事そのものは進んでいるわけだ。命令系統の齟齬に上司が滅入っているって言うのが今回、僕の叱られた全容である。……ここ数年間、新人来なかったそうだしなぁ。ていうか、今年は新人取らなくて正解だったんじゃないのか? 堪えられるのか、僕よりもさらに年下の世代に。僕程度で嘆いていたら、さらに若い世代に耐え切れないという気がするのだが……。いや、僕の能力が悪くないって言うわけじゃなく。僕以上に能力的に悪い人間ばかりになるのである。ゆとり教育っていうのは公的に頭が悪い人間を生産することなんだからねぇ。こんなことで上司に嘆かれていたら、若い人はさっさと逃げ出すぞ。最近はただでさえうつ病が流行ってんだから。うちの会社の未来はない。

 さて、なんか社長と顧問の人と僕以外は全員帰ってしまった頃。元社員の方が尋ねてきて、差し入れをくれた。熱々のコロッケである。うまいっ! が、社長と顧問の人は何かの会議で「邪魔するな」状態だし、僕が配慮足らずにも元社員の方と話をして、ウェブページのほうを教えてもらったりして、少し寂しそうに元社員の方は帰られました。

 禍福はあざなえる縄の如しか? 怒られたーと思ったら熱々のコロッケが食べられた。この世界は最高だ! ところで、このコロッケどうしよう。流石に全部は食べられないが、明日の朝には冷め切ってしまうだろう。うーん。ロッカーに入れておくか……。