三月 三日、月曜日の話
パソコンという道具

 普段から使っているこのパソコン、実に特殊な道具である。

[◆]人間の情報の集大成、コンピューター

 コンピューターというものがある。これは人間が作ったものの中で最大最高の発明品であり、現代に、そして未来においてはなくてはならない道具になっている。現代の人間でコンピューターの恩恵にあずかることのない人間はおそらくごく限られた人間であり、どんなところでもコンピューターの情報処理により物事が動いていく状態となっている。今の世の中、あらゆる新しい発見、発明はコンピューターの手を借りて行われ、ありとあらゆる管理はコンピューターの元で行われる。普段の生活で目に入るものの中でコンピューターと一切関係を持たないものが存在するだろうか? 日本の中で、人の手が入ったところではそのような場所はほとんどないだろう。自然のままの場所は少なくなっている。

 さて、人間一人が個人として利用するコンピューターをパーソナルコンピューター、パソコンと言う。大抵の企業はパソコンを使って情報管理、開発、発明等を行っており、暇にしている人がネットサーフィンをするのもパソコンである。僕が日記を書いているのに使っているのもパソコン、僕の日記を読んでいる人が使うのもパソコンである。

 あまりにも目の前にありすぎてパソコンは変な道具であると言えば、変なことを言っていると思われるかもしれない。が、実際に指先の動きだけで言葉を綴ることができるなんて、あまりにも人間離れしている。実際、人間じゃないと言うのはさておき。パソコンは、あまりにも特殊な道具である。進化の過程で生み出されたものとしては最高級のものだろう。道具を使うことを前提に進化してきた人間としては当然発明されるものであっただろうし、最終的には人間がこんなものを使わなければならないほど弱い存在であると言うことの象徴でもある。それが単なる管理と言うものであるにしろ。人間は犬や猫、シマウマや像みたいに裸では生きられないんだよ。「弱いのが良かった〜♪」どころの騒ぎではない。

 そんなものを生きるための糧としている僕は、人間の中じゃ相当に弱い人間って事になるだろう。道具の扱い方はうまいかもしれないが、道具って言うのは使い込めば使い込む分、人間そのものを弱める結果になる。武器を使う人間と拳で戦う人間と、戦って互角だった場合は身体能力としてどちらのほうが上か? 何の補助も得ていないほうが上となる。マシンガンを持った人間と素手の人間が互角に戦いましたって、どっちがすごいかって言ったらねぇ。

 で、果たしてこの状況はいいことなのだろうか? 実際にパソコンを使っている人間として言わせて貰えば、あまりいいことではない。体力も落ちるし、さして経験が多くできるわけではない。病気にでもなったら大事になってしまう。治りが遅い。野菜を作ろうと思っても、はっきりした作り方がわからない。種を土に埋めればできるのだろうが、最適な土の環境とは? 水のやり方は? 種はどこから入手するのか? 肥料は? 他の野菜との兼ね合いは? さっぱり分からん。ネットで調べても、実際にやるまで分からないことのほうが多いのである。マニュアル通りにやってうまく行くのは挨拶ぐらいだ。大抵はマニュアル通りにやってもうまく行かないことのほうが多い。不測の事態はいつでも起こる。世の中、マニュアルすら読まない人間も多い。やはり、経験しないといかんよ。

 道具に頼りすぎず生きて行きたいものだ。背筋を伸ばして、太陽の光を馬鹿正直に受けて、大地をどっかりと踏みしめたい。こんな毎日毎日太陽の光も届かずエアコンの空調ばかりの椅子に座って体力が落ちてパソコンのモニターばかり見て目が痛くなるような環境、あまりにもかけ離れすぎているって。人との会話もほとんどないし。元気な職場にしたいって言っても、職種的に無理だろこんなもん。元気にしゃべりまわってたら仕事にならないもの。それはそうとしても、せめても終礼の時、お疲れ様でしたーと言いながら座るのやめようよ。気の抜けた高校生の礼じゃないぞ。……辞めてくださいといえるだけの権限は僕にはないので、ほったらかしであるが。あと、僕がいなくなったら挨拶がまともにされること、なくなるんじゃないかなぁ……。

 五日が過ぎてやっと休日になったと思ったら、睡眠不足がたたって昼まで起きず昼飯すら食べないこともある。頭がはっきりとしている時間は短く、勉強しようにもすぐに眠くなってやりたいことができない。休日のときにこそ、何もかも投げ出したくなる。投げ出してはいけないのに。

 心から投げ出してしまったとき、僕の夢は潰えた事になるんだろうなぁ。

[◆]ストレス大きそうだなぁと言われる訳だが

 僕の日記を読んでいる人からは大抵、「ずいぶんとストレス抱えてそうだな」と言われる。実際のところはどうなんだろう。僕の場合はこの日記という公開場があり、そりゃーもうべらべらと自分の考えていることを吐き出せているわけで、ただ単に人よりも愚痴れる環境が整っているだけではないかと思う。僕よりもストレスがない環境にいる人もいるだろうが、僕よりもストレスが大きい環境にいる人もいるだろう。他の職場で働いたことがないので比べることはできないのだが、きっとどこでも僕が感じるストレスは同じぐらいだろうし、ほかの人と大差ないように思う。どこ行っても、住めば都。

 ……まあ、住めば都といっても永住する気なんかさらさらないわけで、やっぱどっかで都にはなってないんだろうな。もう深夜残業も諦めの境地だし、最近はうちの職場もようやく残業時間登録なんかも始まったわけだけれども、いやてか今まで残業規定はあったらしいんだけれども先輩の社員であっても社則めくらなきゃ正確な残業開始時間が分からなかったりしたわけだけれども、残業登録したって残業代出るわけでもないだろうし。残業代なんか出していたら全員、すでに残業しすぎで会社つぶれるわ。何のために残業登録なんか始めたのか分からん。めがっさ中途半端だにょろーん。ソフトウェア開発って、やってもやってもキリないもんだから時間なんか怒涛のごとく必要だろに。キリをつける格好にしてくれたらいいのだが、顧客ごとにあわせて仕事ができるものだから、顧客が増えるたびに仕事が増えるわけで、顧客が増えれば売り上げも伸びるけれども人手が足りなく……。

 儲けを求めるソフトウェア開発会社に、幸せは来ない。


 さてここで、一番ストレスを感じているのは僕の愚痴に付き合っていただいている読者の皆さんだと思うんだけど、どうでしょう? 付き合っていただき、真にありがとうございます。