一月 九日、水曜日の話
今日は会社に泊まりだー

 泊まるぜひゃっほう!

[◆]会社に泊まる

 正直、午後九時を過ぎた段階で家に帰る気がだんだん無くなってくるんですけど、いかがなもんでしょう。九時を過ぎた段階で家に帰ってもご飯食べて寝るだけしかやることもなく、睡眠時間も七時間あるかないか。それならば、いっそのこと会社に泊まって十分な睡眠をとった方がいいと思うわけですよ。夕食ももはやあまり食べる気が湧かないし、カロリーメイト一箱で十分です。……夜中に空腹で目が覚めそうな気もしますが。

 とにかく、十分な睡眠時間を取れて遅刻する心配もなく、ご飯はコンビニ食ですがそこそこ食べれる。ただ、準備をしておかないと歯を磨けないことが少し気にかかる。コンビニに売ってたかなぁ。この日記を書き終えたら買ってくることにします。ついでに朝食も買っておこう。

 泊まると決まれば家に電話した後に適当に漫画を読んだり。会社の他の人が置いている雑誌を読んだりしてます。いやー、スーパージャンプもエロい漫画載せてるねぇ。「少女漫画の性描写が過剰」とか言ってられないんじゃないの? スーパージャンプが少年向けかと言われると悩むところではあるが。エロい漫画もあったが、どっちかというと固い漫画が多くてあまり気になる漫画はなかった。ただ、昔少年ジャンプで「ジャングルの王者ターちゃん」とかを連載していた作家さんの漫画があって、まだ漫画を描いてるんだなーと思った。なんか、不老不死の女の子を手に入れたらしいじじいが女の子の巨乳を舐めまわしてた。「不老不死の生物の莫大なエネルギーが流れ込んでくるようだ」って、単にエロで興奮しているだけじゃないかこのじじい。

 その他、色男な日本の侍みたいなのがヨーロッパあたりで女王たちをかどわかす話とかいろいろ。エロ漫画ほどのエロはないにしても、ま、エロに分類されるであろう漫画が載っていた。がんばれ。

[◆]仕事が遅い

 今回、僕が会社に泊まることになったのは、単に僕の仕事が遅いからである。必要なデータをすぐに出すことができない、プログラムの修正がとても遅い、気が付いたら別のプログラムの修正をやっているとか指示されていない改造をしているとか仕様を間違えているプログラムを作っているとか、最近はそんな理由で遅くまで残っている。最近はさぼりに非常階段に行くこともトイレに行くことも非常に少なくなった。前は一時間に一さぼりだったが、今は気が付いたら四時間ぐらい経っているのが普通になっている。もしかしたら、常日頃からの行動が何もかも遅くなっているのかもしれない。2ちゃんねるを見ることも少なくなったしなー。

 こんな調子で気が付いたら一年が過ぎようってところです。一年を過ごした割にはさして成長した感じがない。プログラムのこととかは確かにかなり分かったが、ただそれだけ。人付き合いなんかめっきり減ったし、太陽の光を浴びることも少なくなった。通勤時と昼飯の時しか外に出れねぇ。素晴らしきかなソフトウェア企業。営業に回されない限り空調完備の屋内にひきこもりです。寒くてお湯が手放せない。

 仕事が遅くなり、しかし仕事として回されることはせっぱつまってくるものが多くなって周りの社員さんたちも僕に対して苛立ちを感じ始めているようです。なるぬべるかな、急いでいる所の肝心のプログラマーがのんびりキーボードたたいていたら僕の後ろで「早く調べて!」と突っ立っていたくもなりましょう。焦り出してからバグの見つけ方の教え始めるような状態で、おなか減ったと思いながらすでに発見して修正済みのバグに対してバグの修正を要望されたりするとやる気もマイナスです。相手の剣幕からして「そのバグ、すでに修正済みです」とはとても言えず、とにかく聞いたり。

 一つの僕の悪いところは、僕自身が作ったプログラムの中身をあんまり覚えていないところにあったりする。最初に仕様の説明を受けて、プログラムをさっと形だけ作り、さっと忘れてしまう。残されているのは不完全な仕様書だけで、しばらくした後にそのプログラムの中身について問われても僕はちんぷんかんぷんな答えしかできません。忘れちゃってるわけで。今日なんか特にひどかった。システムエンジニアの人が指示していないと断言する間違った仕様のプログラムを僕が作っていたりするもんだから、「今日初めて問題になっているプログラムを見ました」という二人のプログラマーの人を合わせて僕と三人で「この仕様はどうだ、あの仕様はどうだ、そもそも正しい仕様は何だ」と押しあいへし合いで大変です。

 いま思い出しましたが、このプログラム、作られた当初はそもそもテスト用のデータが足りなくてテストがまともにできなかったんだよなー。「テスト用のデータはすぐに入れる」とシステムエンジニアの人が言って、そのまま放置されて気が付いたら本番稼動になってた。まともにテストされてないものが納入されたわけでそりゃまともに動かんでしょうよ。作った当初よりもプログラム記述の知識はさらに増えていて、効率的かどうかは知らないがきれいなプログラムを組めるようになった今、昔のプログラムの散々たるや。「こんなの一瞬でできるできる」とのたまっていたシステムエンジニアの人は現在、プログラムの納入先で涙目です。電話の声に覇気がないというかイラつきが感じられる。Delphi に触ってまだ半年もたってない人間に何を期待しているんだと言いたいが、そんなこと言ったら会社が傾きそうです。

 ところで、システムエンジニアって別にプログラムできなくてもなれんだね。プログラマーのさらに上の存在だと思っていただけに、システムエンジニアとは何か、改めて調べる必要があるかもしれない。まあ、昔はベーシック言語とかアセンブラとか組んでました。その時代にシステムエンジニアになって、システムエンジニアになった後のプログラムは知りません、というところだろう。現在、僕の直属のシステムエンジニアの人は六十歳近いです。

 昨日、「学ぶことは苦しむことだ」と日記に書いたが、あれって本当だろうか。真実には違いないと思うが、ここ数日、苦しんでいる割にはあんまり学んでいるという気がしない。どちらかというと、体がぼろぼろになっていく感じがする。これじゃ、献血にも行けやしない。

 僕自身の仕事の速度はかなりのんびりしたものです。おそらくはうちの会社の速度の五分の一と言うところ。しかも、僕はとても危機感を感じにくい人間であるため、切羽詰っていても、夜遅くまで起きることはあっても仕事が早くなることはない。つーか、夜遅くなると仕事のペースがさらに五分に一程度に遅くなるので、夜遅くまで起きているのも勘弁したい。会社に一年付き合っていて、会社の速度に染まらないというのであれば、いよいよもって会社は僕を切ることを考えるでしょう。困ったことに、会社から切られること自体もさしたる危機感を感じないものです。「このままいけば、会社を辞めてもらうことになる」と切り出されたら即座に「じゃあ、辞表の書き方教えてください。書いておきますので」と答えてしまいそうだ。

 この会社に限らず、おそらくは現存社会のほとんどのまともな会社と言うのは僕にとって健康に悪い。世に言うブラック企業は言うまでもないが、とりあえずまともなことを仕事にしている会社は駄目だろう。かといって、裏の世界も駄目である。僕の場合、危機感がなさすぎてすぐに死ぬことになるだろうし。それじゃあ面白くない。

 やはり、新しい体制を作るしかないね〜。ないならば作るしかない。道理である。新しい体制を作れるかどうか試してから死ぬ方がまだ嬉しい。なんか最近、同じことを日記で書いてるような気がする。仕方ない。ほかに考えることもないし。

 ……ところで、おなか減ったな……。