八月一七日、金曜日の話 [◆]コミックマーケットに初参加
僕がマニュアルと公式広報サイトを担当している「 THE DAY OF SAGITTARIUS V 」のゲームが、この度コミックマーケットで販売されることになったと言う。つまりは今までネットワークでの無料配布だったのがCDに焼かれてサークルの机に並ぶというわけだ。だからと言って何か特殊な特典が付いたりするわけではないだろう。僕も昨日の昼までマニュアルの最新化をしていたぐらいだから、出品までの余裕のなさ――同人サークルにありがちな無計画によるギリギリ納品――は折り紙つきである。なにやら、製作者である方を含むサークルの人たちは本日は完全に徹夜したらしい。そのギリギリさたるや、まさしくコミケ参加サークルの風物詩……らしい。 コミケ出品に関しては、物ができてから参加応募したほうがいいんじゃないかと勝手に思うのだが、そうすると完成してから半年は待たされる上、ややもすれば社会的束縛に囚われてしまって身動きできなくなるのだろう。同人作品を作るにしたって時間が必要なのである。 さて、本来は八時三三分の新幹線に乗りたかったのであるが、起きるのが遅かったのとなぜかお腹の調子が悪くなったのとで少し出発が遅れた。しかし京都駅、八時五七分発ののぞみに乗り、一路東京の品川へ二時間一〇分の旅をすることになった。最近は新幹線の切符を自動券売機で買うことが出来るようになって便利になったものだ。指定席の券まで買えんのね。 自由席券を買って空いている席に座り、富士山でも見えないかなと期待しながら東京へ。本を読み、携帯でメールや掲示板への書き込みをし、窓から見える景色を楽しみながらずーっと座っているのは楽かもしれんがちょっと暇かもー。割と席は広く取られていてよかった。あと、座っているところは喫煙できる車両だったのだが、空気清浄もしっかり行われていて助かった。禁煙車両を覗いてみたら、人いっぱいでくつろげそうにはない。 名古屋から新横浜間、日本地図を見てこなかったことを悔やみつつ富士山が見えないかと窓の外を見ていたのだが、残念ながら曇っていて見えなかったようだ。やはり通路側に座っていたのが敗因だろうか。 十一時、新横浜で降りてこだまに乗り換え、品川へ。のぞみが品川に止まるための減速中、ちょっとの間グリーン席の椅子に座っていたり。これは気持ちいいわ。で、こだまで品川に着いたら駅を出てりんかい線へと向かう。新幹線の中で東京の地図を見ていたら、どうも品川から東京ビッグサイトのある人工島に行くにはりんかい線しか交通手段がないらしい。そのほかとなるとレインボーブリッジ側から回ってくる必要があるが、品川に降りた以上はそのまま行くかーとりんかい線駅まで徒歩で。途中で用もないのに品川ハローワークに寄ったりしつつ、またコンビニに寄って祝儀袋と冷えピタとお絞りタオルを買い、二〇分ぐらいかけてりんかい駅に到着。地下にもぐって二駅を移動する。国際展示場駅に着くと、なかなか人が多かった。みんなコミケに行くのであろう。 で、驚いた。 エスカレーターの壁 宣伝っ……! なるほど、コミケだわ。企業もこぞって宣伝するというわけですな。 駅を出て人の流れに任せて歩いていくことに。 コミケに向かう人々 おー、奥の階段が人でうねってるぜ。この辺りでまだビッグサイトにも着いていないのに携帯でメールの送受信が出来なくなったため、携帯での伝達をあきらめる。おそらくは通信回線がパンクしているのであろう。 ビッグサイト まずは地図を入手するためにカタログを買わないといけないのだが……。カタログ販売の旗を持っている人に販売所の位置を聞いて、販売所へ。 長蛇の列 カタログ販売所が遠い……。四列に並んでいても遠い。すでにここから戦いは始まっているということなんだろうか。カタログなんて当日販売を当てにするべきじゃないな。まあ、無理もないか……(地元のカタログ販売店は、すでにカタログは完売していた)。二千円のカタログは「人が殺せる武器にもなる」というのにふさわしく、分厚く重かった。タウンページよりはまだ小回りは効きそうであるが、攻撃力も確かに十分だろう。それぐらい分厚く重かった。この時点で「荷物は軽く」の計画は崩れ去ったことになる。 さて、ここで流れ行く人々を確認したのであるが、一日目だからか女の人が多い。一部の男性用トイレも女性用トイレにしているということなので、女性の来場者数はなかなか多いということになるのだろう。で、太っている人が多いとされるコミケであるが、ぱっと見た感じ痩せている人のほうが多い。デブキモオタ(太っていて汗をだらだら流している変態っぽいオタクのこと)はステレオタイプ(世間的先入観)でしかないのだろうか。 さて、ひとまず目的地を確認して移動を開始。ビッグサイトは東京の国際展示場なだけあって通路などは広く取られているが、コミケに来た人々はそれすらも不服とするぐらいに溢れていた。西館から東館への連絡通路なんかひどいもので、ただの通路のはずなのに動けなくなるのである。信号でもあるのかと思うほどに小刻みに流れていくのである。しかも、連絡通路は天井が低く空気の流れが悪かった。暑い。 と、言うわけで周りを見ていたら割とコスプレをしている人などもいて、コスプレは覚悟がいるなと隣の女の子コスプレイヤー見ていたら視線に気が付いたのか目が合った。と、言うわけで「ひどく暑そうですね」と声をかけると「暑いです……」と答えが返ってきたので手持ちの冷えピタを一枚進呈。割と喜ばれたようだ。会話成功のついでに去年のコミケなどについて聞いてみると、どうやら初参加らしい。 と、その後ろにいた男の人が去年のコミケについて教えてくれた。どうやら、「今年の一日目は異常だ。こんなに人が詰るなんて」とのことらしい。原因はお盆からずれたことかも、とのこと。わりと予定がうまくはまった社会人が多かったということなのだろうか。この人にも冷えピタ一枚。 ようやく連絡通路から出て目的の東第二ホールへ。案内員の人に道を尋ねると「そこの第一ホールから入って左です」と答えられ、訪ね終わった直後に「第一ホール入り口は混雑しているため、第二ホールへお回りください」ってアナウンスが。おいおい、僕は第二ホールに行きたいんだよ。 係員の案内は無視して第二ホールへ。 第二ホールに入るとふむぅ、コミケって言うと京都で行われていた同人即売会と仕組み自体はまったく変わらないらしい。ただ、規模が違うだけで、そんなに迷うことなく目的の机を見つけました。東“W”57a、Next-soft+ サークル。そこに、THE DAY OF SAGITTARIUS V はありました。Next-soft+ 自体はハルヒとはまったく関係のないサークルで、出品物はまったり系(?)恋愛ノベルゲーム一本。TDoS がここにあるのは、本当に客人として参加させてもらったかららしい。 THE DAY OF SAGITTARIUS V…… C++ TDoS 製作者である 204 氏と会いました。一年間、ただひたすらにネットの掲示板とゲームサーバ上でしか会話をしたことのなかった人。確かに実際に会って見れば、見た感じは普通の人となんら変わらない。でも、この人は確かにやってくれた人で、かけがえのない人である。少し失礼かもしれないけれど、誰でも英雄になれる、人の求めることを行いさえすれば。そういうことを実感しました。 ゲームソフトを受け取っていくばくか話した後、僕の 204 氏が作った作品への評価として妥当と思われる額のお金を封じた祝儀袋を渡し、またサーバ管理の感謝の印としてクオカードをもらったりしました。ありがたいものです。しばらくしてせっかくコミケにきているのだからと他のサークルをまわる旅に出まし。た コミケは一六サークルが入れるブロックが二列三六行、それが三ホールあり、全体で三四五六サークルが入れるらしい。ただし、これは試算で実際には二つのスペースを一サークルが取っていたり、16サークルも入らないブロックも会ったりするので、実際には三三〇〇辺りかと思われる。 買いたいものを買いえばいいか、と思っていたのだが、早々欲しいと思えるものは見当たらず。所詮は個人願望の塊といったところか、僕の目にかなうものが見当たらない。驚いたのは、自分の扇情的なコスプレ写真集を販売しているサークルがあることで、自分の体をコミケで売るとはなかなか強かだなぁと思った。とりあえず、有名どころのサークルをちょいちょいと見て回る。有名どころのサークルの出品は大抵は徹夜組に買い取られるため、僕ごときが買えるとは思っていない。が、話を聞くところによると転売目的に人を集めているところもあるらしく、これはますます買えない。 買ったのはアイディア勝負の鉛筆とか、情報を得るために適当に買った同人誌とかだけだった。さしたる出費にもならん。 大体見終わったところでコスプレ広場へと移動。東ホールから二階連絡路を通って西館に行き、一度一階に降りてから蛇行するように設けられた柵の通路を通って四階直通のエスカレーターへ。なんともアンバランスなものだが、面白い構造をしている。で、コスプレ広場は……屋上かい; この炎天下で; 屋上は強めの日差しの中、コスプレしている人たちがいました。そもそも場所としてそんなに広くもないところで、所狭しとコスプレ衣装を広げ、また撮影をしまくるカメラ持ち。太陽の日差しをさえぎるものはなく、コスプレしているわけでもない僕も辛い。ここでコスプレをするには何かを越えた覚悟がいる。 コスプレとは、コスチュームプレイ、衣装遊びのことである。要するに着飾りのことで、コスプレと称する場合にはアニメや漫画など、架空の人物が着ている服装を再現している場合が多い。このほか、一部公務員の制服など、実際には職務を持っていないのに制服を着ることをコスプレという。日常的な服装でも、コスプレ広場に入ったとたんにコスプレと認識される場合もある(今のご時勢ならつなぎ作業服など)。で、大抵の場合、実用性を無視して造形のみを重要視しており、夏場の炎天下に冬服用コートを着込んでいるとか厚手生地のワンピースを着込んでいるとか、汗が外に向かって発散されないような状態になっている。実際、どのように感じているのか……脱水状態にならなければいいが。 コスプレのマナーとして、写真を撮る場合は声をかけてから。無断撮影はマナー違反とされるため、撮影はしないことにしてどのようなキャラクターがいるのかを観察。流行りものの涼宮ハルヒ(角川書店)やらき☆すた(コンプティーク)、灼眼のシャナ(メディアワークス)、ブリーチ(集英社)とか古いところじゃエヴァンゲリオン(角川書店:リリスやってる人がいた)、トゥーハートのマルチ(Leaf:18禁ゲーム)、セーラームーンのビーナス(講談社)とか、まあいろいろ。基本的に女性は着飾りに力を入れ(かわいらしい服、かっこいい服を着る)、男性は笑いネタを含めている人が多かった。スパイダーマンとかくそみそ☆テクニック(第二書房)の「いい男」とか。ちょっと写真に撮りたかったのだが、あいにくそれっぽいカメラを持っていなかったので。流石に携帯だとまずい、というかまともなやつは撮れんばい。ふむ、カメラかー。 まあ、一番いいのは実際に見に行くことであろう。写真として残しておくのも一つかもしれん。ちょっとカメラ小僧がうらやましくも感じる。 さて、運営が用意してくれた氷水にタオルを浸させてもらい、冷たいタオルで顔を拭きつつ歩き回り、そこそこ堪能しました。黒い長髪美人はコスプレイヤーに多いかもしれん。黒髪長髪のアニメキャラが増えたら、黒髪の人も増えるかもしれないねー。あと、見られることを考えているせいか、きれいに着飾っている人が多い。どうしようもない人もいるっちゃーいるが、及第点を与えてもいいであろう。素顔がどうであれ、この時だけはきれいな人も多かったということで。 と、そうするうちに四時になり、コミケ一日目が終了する放送が流れました。コスプレ広場にいた人も、企業ブースに並んでいる長蛇の列も、東京ビッグサイトの外でぐったりしていた人も、拍手を持って終了。お疲れ様でした。係員によるコスプレイヤーの追い出しに乗りつつごみを拾って退場。一度、TDoS 製作者のいるブースに戻ったのですが、すでに去られたあとのようでした。 ビッグサイト内でしばらく休憩し、東京に住んでいる知人に連絡をとることにしました。とはいえ、知人が利用している掲示板での間接的な連絡でしかないので、うまく連絡が取れるかどうかもわからない。時間はかかるでしょう。取れなかったら東京タワーにでも行くということで。 しばらくして東京タワーに行くことにして足を進めていたのですが、電車に乗る前に連絡が付いたので秋葉原で会うことに。一路、ゆりかもめ(自動運転列車)に乗って秋葉原方面へ。レインボーブリッジも見ることが出来ました。意外としょぼ(ry。 地図を見ていて思ったんですが、やはり東京というところか、秋葉原や渋谷、新宿がそんなに離れているわけでもない。土地の面積そのものは小さいのである。人口密度は高そうなのだが……。電車に乗っている時間もそんなに長くはない。これが通勤ラッシュのときなら相当にきついのだろうが……。いやいや、JR山手線で三駅か四駅乗ったごときで東京を知ったことにはなるまい。やはり、一週間は平日に滞在したいものだ。 秋葉原には六時半時に到着。知人は七時二〇分に到着するとのことで約一時間、電気街を歩いてみることに。ふむ、確かにメイドさんが売り子をしていたりするな……が、実際に見てみるとだからどうしたという気しか湧かないな……なにかすごく異常というわけでもない。なじんでいるし。僕の感覚がおかしいのだろうかね。もうちょっと早い時間に来ないと分からないこともあるのだろう、たぶん。 ちょこっとPCパーツ店を覗き、同人ショップを覗き、エロ漫画店を覗き、何で日本は少子化が起きているのだろうと本気で考えたりもした。性欲は余ってんじゃねぇの? ……最近、性犯罪も多いな……結婚しない女の人が増えたってことか? メイド喫茶に寄ろうとしたら人が並んでて入れなかった。カウンター席なら空いているという店員に対し、無言で首を振る男性客。テーブル席でうなだれたいことでもあるのだろうか。とりあえず、僕は撤退。時間も迫っていたことであるし、二〇分程度は駅前で時間を潰すことに。 そして、知人と合流。知人には秋葉原のことを教えてもらいました。そのほか、ゲームセンターで知人がはまっているガンダムのオンラインゲーム、「戦場の絆」の様子も見させてもらったり。何回も通う以上は知り合いも出来るそうです。で、何か変な強制的つながりがあるようで……どうも、相手に勝つための戦術を保つために常に「いつものメンバー」が求められがちで、水面下では変な団体行動意識があるそうな。ふーん。 その後、秋葉原と呼ばれる地区を一周。思っていたよりも秋葉原とは小さな一部を指すようです。その地区の中に電気街が固まっているわけですが、時間が遅くなったこともあり、営業を終了している店が多かった。まあ、それだけ手早く全体を掴むことが出来たわけですが、ちょっと惜しかったかな。買うものは一つもないけれど。東京で買うのは流石にきつい。 で、知人お勧めのお店でトルコ料理のハンバーガみたいなもの? を食べ、これが意外とおいしくて満足いたしました。そういえば、僕の今日の昼ごはんって何だっけ? 食べてないな……。食べながらいろいろと他愛無い事をしゃべったわけですが、まあいろいろと知ることが出来てよかった。 九時前になり、大体の秋葉原探索も終わったところで知人と別れました。今度は喫茶店にでも入ってゆっくりしゃべりたいものです。そして秋葉原から東京駅に行き、新幹線乗り口についたら次に来るのぞみが大阪行き最終ということで、あわてて切符を買いました。一万三千円の切符を買おうとして、二千円突っ込み、一万円突っ込み、千円と間違えて一万円を突っ込んでお釣りが大量に出てしまったという慌てぶりです。そんなにあせらんでもまだ一〇分もあるのに。 新幹線のぞみに乗り、一路京都へ。外は暗いので景色を楽しむことは出来ないわけですが、かと言って本を読む気にもならなかった。やはり、そこそこ疲れていたようで。また、のどが渇いていたのですが、なぜか新幹線内でのお茶などは買う気にならず、ひたすらに家の水への渇望が生まれていました。家の水が飲みたかった。生まれ育ってから飲み続けた京都の水を体が欲していました。はやく喉の渇きを潤したい。 二時間後の十一時半頃、京都駅に到着。まっすぐ地下鉄の駅に降りることが出来たので切符を買って地下鉄ホームに行くと、次に来る電車がまたしても本日最終の電車だった。ギリギリである。で、最終便の地下鉄に乗り、地元路線に乗り換えて自宅近くの駅に到着。零時。 家に帰ってから、精神的にはそんなに疲れていなかったものの、水を大量に飲んでのどの渇きを潤しました。やはり、この水を超える飲み物はない。うむ、うまい! 家のお茶のほうがペットボトルのお茶よりも数倍うまい。これが家に帰ってきたってことなんでしょうかね。 吹き出た汗をふき取りつつ、部屋に戻って服を脱ぎ、ベッドに倒れこみました。まあ、そこそこ疲れていたようで、すぐに眠りました。 [◆]東京行き総括
東京はお金さえあればそんなに遠くもない、結局のところは「日本」でした。新幹線での旅が感覚を麻痺させてしまっているのか、それほど遠くに来たという感覚もなく、万一東京に移り住むことになろうともすぐになじむことは出来るだろうと思います。ま、東京そのものには住めず、周辺の県に住むことになるんだろうなぁ。 お金があればいつでもいける土地。お金がなければ遠い土地。ふむー。それを悪いことと考えるか、移動するのに乗り物乗ってんだからお金は必要と考えるか。お金のない学生さんには辛いところであろう。コミケにいけないにしても、近場の同人即売会で我慢するしかないのであろう。 次の京都での同人即売会っていつだっけ? 暇つぶしに行くのも面白かろう。 |
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