七月 三日、火曜日の話 [◆]ソフトウェア企業のサービス残業と現状
労働法律的に言えば八時間以上の超過分労働は残業となり、労働者との合意のもとで実施されるとされる。でもって、残業には残業手当がつくのが当たり前……とされる。 うちの会社は社則上では就業時間は七時間半となっている。つまり、それ以上の労働は残業となるわけだ。社則上。 問題はここから。社則には七時間半以上の労働は原則、課さないものと書いてあるが実際にはほとんど全員がサービス残業しまくりというかサービス残業することこそが日常となってしまっている。まぁ、社長が頑張れと言えばもうどうしようもないわな。労働組合もあほらしい人数しかいなくて、つーか社長に対抗しようとしたらたぶんそのまま会社を乗っ取れる。そんな規模の小さいところがサービス残業もなしに生き残れるかと言うと、おそらく即死する。こっちが働きたくなくても取引先からは夜遅くに電話がかかってくるのである。取引先がいる以上、こっちも休めないとはなんつーか無理が出るのも仕方ない。 ソフトウェア開発事業は確かに情報化社会を支えるのに重要な役割をはたしているのかもしれないが、その性質は商売するには相当な労力が必要になってしまう労働者泣かせの商品であることが、最近分かってきてしまった。例えば本やボールペンなどは、一度出してしまったら早々に修理されることはない。開発してしまえばそれっきりの部分はあるだろう。車などは単価が高くて売れるまでが大変であるが、修理されるのはとびとびである。利用者が多ければかなり大変であるが。 ソフトウェア、特に企業用になると開発したら修理に修理に修理。顧客に合わせた変更も非常に多く、出したら出したですぐに変更要請が来るのだからたまったものではない。四六時中使われるソフトであればこの変更要請は余計に拍車がかかり、いつまで経ってもパソコンから離れられない。たった一つのカンマ( , )があったりなかったりするが故にプログラムがまともに動かなくなるのだから、その精密さには涙を流す暇もない。つーか、涙を流す元気が出ません。 ソフトウェア業界がしんどいと言われる理由がよく分かる。手間暇がかかるだけで終わらず、一回作ったら延々と手間暇が掛かり続けるのである。利用者がいなくなるまで。特に企業にもなれば社会責任やら会社の信用やらで、途中で投げ出すことができない。顧客に多様性があればある程、完成の形も変わり続けるわけで何時まで経っても完成しない。 変化し続けることこそが、ソフトウェア開発企業にとって永続的に利益を得ることができる部分なのであるが……これは僕にとってはしんどすぎるぞ。人生をささげるぐらいに続けることができなければ、この業界で本当の意味でお金を稼ぎ続けることはできないのだろう。仕事のために人間は生まれてくるんじゃない、と社長にも言っちゃった手前、離職も考慮したほうがいい。 次ーはー、農業をやりたいです。マジで。少なくとも、のんびりはできるよ。植える時と摘み取る時と売る時が大変ではあるが。 [◆]心身ともにボロボロの瞬間
さて……本日は本当にしんどかった。何ともすれば、昨日は会社に九時までサービス残業し、家に帰ったのが午後十時でそこから夕食、ちょっと新しい携帯をいじっていたら時計は午前一時。睡眠時間が足りない。僕が家に帰った時にはすでに布団に潜り込んでいたお父さんがもうね、羨ましすぎてね、そのことを思い出すだけで元気がなくとも涙が出そうになるんですよ。ああ……流石は大会社の社員だよ……腐っても大企業、平社員であっても午後七時には確実に家に帰れるその環境が羨ましすぎる。 まぁ……僕がしんどい思いをしているのは、社会に出ることを舐め切ってまともに就職活動どころか会社研究をしなかった僕の責任なのであるが。いや、それ以前にまともに勉強しなくて大した高校、大した大学に行けなかった僕自身の能力の低さのせいであろう。磨けばもっといいところに行けたのかもしれないが、人生は一度きりでもう昔には戻れっこなく、現状、仕事に圧殺されてもっといいところに行くための努力をするための体力も奪われてしまっている。……いや、家に帰って音楽聞いてないで勉強すればいいのかもしれないが……。資格をたくさん取って、もっといいところに就職すればいいんだ。現状で打てる手はそれか。 自分の自由は自分で掴み取らなければならない。それが分かっていても、遊んでしまうのが僕という人間であり、だからこそ、いまここにいる。 くそっ! なんなんだ、この負け組感は! [◆]無理だろ……
ASP のプログラムに初めて触って三日。 「これらのコードがどうしてここにあるのか考えたら、理解できるでしょ」 無理です。まず、Javascript 言語に対する知識が圧倒的に不足してます。VBscript と SQL も。つまり全部。 「このコードが何を意味しているか分かってないと、プログラムなんてできないでしょ。分りなさい」 無理です。そのコードについて何の説明も受けていません。どうせ、「最初のあの時に説明したでしょ」とか言うんでしょうけれど。 「これと同じものを作れる?」 無理です。ASP に触って三日目の人間に何を言う。 ……ここの人たち、仕事はできるのだが人に物を教えるのが下手糞だ。意思疎通上の理解力が低い!(ここで言う理解力とは、受け取った言葉への理解と、投げた言葉が理解しやすい物であるかどうかを判断する力のことを言う) 「プログラムをしている人間に解りやすい言葉を使って説明して」って、こっちはまだプログラムの中身を理解してないのにプログラムをしている人間用の会話なんかできるかっ! 日常生活で会話してないのかこの人は? こんなんじゃ、『楽しい職場』は縁遠いな。果てしなく。壁から歩いて一五秒たらずで反対側までいけるような狭い社屋の中にいるのに、情報伝達すらもまともにできてないところだしな……雰囲気を変えて欲しいと言われても、社員にその気がないと思うし、無理っす。逆にはじかれてしまうよ。 やれやれ……二〇〜六〇歳の人がまんべんなくいれば、こうした環境になることは防げたのだろうか? 難しいねぇ。 |
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