十二月一六日、土曜日の話 [◆]内定をもらった企業は黒いらしい
企業の話において、「黒い企業」、「ブラックな企業」と言えば、労働者を奴隷のようにこき使う企業のことを言う。一生懸命働いても休日がもらえなかったり、ボーナスがほとんどなかったり、事業そのものがやばかったりといろいろと言われる。僕が内定をもらったのは、来る者拒まずのブラック企業らしい。 どの企業なのかは名指しはしないが、フリー百科事典「ウィキペディア」に単体で載せられているあたりは一応は大企業の顔を見せてはいるが、離職率(新卒採用者が三年間のうちに退職する割合)は九割を超え、労働条件と待遇は嘘っぱちもいいところで、営業するにしても嘘を並べ立てて商品を売ると言う詐欺的商法。日本最大級の電子掲示板、2ちゃんねるにおいてこの企業専用の板があるのだから驚きだ。ソニーやトヨタの専用掲示板すらないと言うのに。つまり、それだけこの企業に対する不満が渦巻いていることになる。利用している社員が多いようで、ほとんどが愚痴や文句や内定者への警告だったりするから薄ら寒いものを感じる。 このことを知ったのが内定をもらった二日後で、父親が発見した。今現在では「ここの内定は辞退したほうがいい」と僕に勧めてきている。で、できれば僕だってこんなところには行きたくはない。だが……もはや十二月も半ばにさし、就職活動を続けるのも厳しくなってきている。選択肢として残すのもやむなしではないかと思うが……なぜかは知らないが、本日、母親から「何であんたはこんな企業に行こうとするの!?」と誰が行きたいと言ったんだと感じるような発言をしてきた。 簡単に言えば、内定を辞退しないのは行きたいと思っているからだと思っているらしい。このご時勢、新しい内定先を探すのも一苦労だなぁと感じているところに「こんな企業に入れるために今まで高い学費を払ったりしてきたんじゃない!」とヒステリックに叫ばれても、「老化が進んでるなぁ」としか思えなくなってきている。高い学費を払うことぐらい、育てようと思ったときに覚悟してろよ、予想できなかったわけではあるまいに。つーか、高い学費を払っていたって言っても、そのどこら辺に親の影響力が出ているのか分からない。大学での講義に親の意見が含まれているわけではない。お金を出したから親の考えが子供に反映されるなんて、どれだけ視野狭窄なんだ。 まあ、言葉をそのまま返すならば、「高い学費を払ったのに子供が能なしなのは、あんたらが(教育に関して)能なしだからじゃないか」と返すことができるが、そんなことを言った日には殺し合いに発展しかねない。殺しても殺されてもいいような気がするが。意見の対立どころか思想の対立なわけで、そこに妥協の二文字はない。僕は親のおもちゃじゃないっつーの。 親は心配してくれているのだろうが、遠からずとも当たらずなことしか言ってくれないので賛同しかねることが多々にあるのだ。そのほとんどが命令、もしくは脅迫であることもあるのだろうが……(資格を取れ、や誰に飯を食わしてもらっているのか、など)。親は心配していると言うが、そのほとんどは僕自身の個人特性を無視したものであるため、どうにも押し付けがましいものになる。私たちがお前を育てたと言う割には、僕のことを理解していないと思われる部分が多すぎる。他人の理解など完全にはできないと言われたら、それでよく育てたって白々しく言えるなと思うところである。 教訓:金を出しただけでは育てたとは言えない。 金を出したってことは、子供の教育を他人に委託したと言うことで、子供の考えおよび行動に親の影響を与えるものではない。結局、家で子供にどう接しているかだよね。 [◆]内定を辞退すると仮定する
さて、気がかりなのはここを蹴ったとしてその後の就職口である。一応、まだ門を開いているところはあるが、どんなもんだろうねぇ。うまく入り込めたらいいのだが。とりあえず、この時期に専門的な知識を持ち合わせていない僕には営業か事務しか職種はないであろう。SEなどに行きたいところであるが、知識が足りないので雇ってくれまい。このあたりが昔と違うんだよなー、今の企業には新人を育てるだけの余力がない。なんでだろう? まあ、理由は複数に分かれていろいろあるのであろう。稼いで成長することに力入れすぎて、新人に目を向けられないのかもしれない。人件費を削減したいのかもしれない(どうにも、手間がかかることには必ず費用が必要になるらしい)。とりあえず、就職活動をしたことを踏まえると、どこも余裕はあまりなさそうだ。余裕のあるところってどこだろうね。能無しでも教育を施してくれるところは。 そういう意味では、大学って何のためにあるんだろうねー。勉学のため、という割には微妙な位置づけのような気がする。やはり、一流でもない大学だとこういうことになってしまうのだろうか? 大学の四年間は、僕の興味的欲求を満たすには十分な環境ではあったが、働くということに関しては何か役に立つようなことは数えるほどしかない(企業実習と企業合同説明会ぐらい)。 大学で学んだことを仕事に生かせればいいのだろうが、社会心理学が生かせられる業種ってどこだ? 広告か? しかし、あまり広告といわれても思いつかないのだが……。 犬の散歩をしながら思いをはせてみる。就職が楽なところはどこだろう。労働者側の要求を無視した上で、就職が楽なところというのは人の頭数が求められているところになる。つまりは人手不足の場所。日本で言えば第一次産業、農林水産業がこれに当たるだろう。逆に人が有り余っているのが第三次産業で、物質的なものを扱わないサービス業である。大学を出たら大抵はここに行く。 農業でもやればなー、と思うのであるが、仕事は楽しそうでも金銭的にはうまく行かないだろう。日本の農作物は総じて値段が高く、売れにくい。中国やらアメリカの輸入品に押されっぱなしである。また土地も必要である。これの確保は難しいだろう。 第一次産業も難しい、第三次産業も難しいとなれば真ん中の第二次産業であるが、ここは製造業である。労働条件は一番厳しいのではないか、という気がとてもする。体力もないパソコンオタクには厳しいだろう。甘えてもいられないのだが……。 とりあえず、調べ続けるしかないか……。 |
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