十一月三〇日、木曜日の話
マジでやばかった

 気力の限界が見えていた……。

[◆]眠い眠い眠い

 本日は昨日に引き続き、卒業論文のための特訓と称してSPSSという統計分析ソフトの使い方の復習をしていたのであるが、やはり疲れる。昨日は午後十時半に終了、家に帰ったのが零時前で、結局寝たのが二時半ごろ。そして本日は一時に大学に来なければならないから午前十一時半に出発として十時あたりに起床……。

 僕は体質上、この時期は睡眠を八時間はとりたい。本当は十時間ほど欲しいのだがそんなことも言ってられないので八時間なのであるが、どうにも九時ごろにたたき起こされてしまった。七時間……普通の人ならば十分な睡眠時間であろうし、世間一般に「七時間しか寝られませんでした」と言えば「七時間“も”、だろう?」と言い返されることは間違いない。肉体が社会通念に合っていないのはどうしたものやら……。

 で、こうなると基本的に僕は睡眠不足に陥る。眠たい頭で大学に行き、眠たいまま作業をして眠たいまままた卒業論文に取り掛かったりすると、途中で意識が飛ぶように眠ってしまっても僕自身にはどうしようもない。そもそも気力が底を付いているのである。気力を増やすためには運動をすればいいんだろうか。やっぱ、運動は必要だな……。

 で、簡単に意識が飛ぶような状態なのに明日には朝から企業面接があり、その後には別の企業の企業説明会があり、そして朝のほうの企業には専用のエントリーシートを今日中に書かねばならず、それなのに午後九時から酒飲みに行くってどうなんでしょう。僕にはほぼ死刑宣告に等しい。明日の企業面接は間違いなく綱渡りもしくは落ちる。酒を飲んで気力が回復するならばいくらでも飲むのだが、そもそも胃の粘膜を破壊するような液体で気力が回復するはずもなく。「おいしいものを食べて気力を回復しよう!」と先生は言うのだが、こちらとらここ最近ずっと持ち続けている吐き気のために食が進まず、豆のみを食べ続けることしか出来ない。ものすごく眠い。僕の気力を回復させるには、食べるよりも寝る必要がある。

 そもそも、この時点でまだ起きていられるのは、七時ごろに眠気覚まし内服液を飲んだためだ。もろに薬に頼っての覚醒状態なわけで、気力状態はレッドラインに突入している。もはや頭を抱えるしかない。話題にも参加できないので頭を抱えていたら先生も扱いに困ったようで、最終的には無視される運びとなった。他のゼミ生も「そっちには目を向けないと言うことで」と無視に徹したようだ。わざわざ声に出して言うな。そんなことよりさっさと宴会を切り上げてくれ……。

 頭を抱えながら予定終了時刻を十分過ぎても誰も切り上げの声を上げないので、僕が帰りますと言わねばならなかった。雰囲気を悪くしようがなんだろうが、早く家に帰って風呂に入って特殊な履歴書を書き上げて寝ないと、本気で明日の意識状態に関わる。つーか、場合によっては人生に関わる。就職できなかったらどうしてくれる。

 で、僕が帰ると言ったらようやく切り上げすることになったようで、お金を割り勘してそれぞれ変えることに。始終頭を抱えっぱなしの宴会。ほとんど金を出しただけじゃないか。今回の宴会と明日の企業面接。どっちもうまくやりたいところではあるが、二兎を追うもの一兎も得ずと言う諺が頭に反響する。宴会なんて行ってる場合じゃなかったのだろうが、断ることも出来ない。これがゼミ生のみのものなら速攻で帰っていたのだが。

 一時間半を掛けて家に帰り、すぐにシャワーを浴びた。親が何か言っていた気がするが全部「そーですね」で片付けた。余計な事を考えている余力はない。どうも、その態度が親にしてみれば「怒っている」というように感じられたようだ。そーですね。

 シャワーからあがったらエントリーシートを書いてすぐに寝た。出来る限りの睡眠時間を取る必要がある。もはや、六時間も眠ることが出来ない……。

[◆]ノートの走り書き・その1

 僕は絶望する。
 僕は自分の考えたことを他人に伝えられず、片っ端から忘れていく。
 自分の考えたことの十分の一も伝えられない。それだけの量を伝えるには、僕自身が情報になるしかない。多くの人が僕に接続する。僕は情報になりたい。
 ただ――情報になったらなったで、新しい思考が出来るのかどうか不明。所詮、脳みそがなければ考えられない。
 不自由で、なんと愚鈍なことか。

[◆]ノートの走り書き・その2

 世の中には食欲を満たしたい人と睡眠欲を満たしたい人がいるようだ。どっちにエネルギーの補給を求めるのか。
 食欲に求める人は文系で、睡眠欲に求める人は理系という気がする。
 それは、エネルギーをどこで使うかで変わるように思う。外に使い、人と遊ぶか、頭に使い、試行錯誤するのか。

[◆]ノートの走り書き・その3

 自分が動きたくないから、人を動かしたいのではないか。