十一月二二日、水曜日の話
就職できなかったらどうしよう

 あー、また企業に落とされたな。

[◆]フリーターやニートは欠陥品か

 近畿大学「フリーター、ニートは欠陥品。人生台無し。 復帰できません。2度とチャンスはありません」

 と、いうようなニュースというか話題を見つけたわけです。近畿大学はこのように言い切っているわけで。なるほど納得する部分もあります。結局のところ、新卒でないと苦しいんですよねー。最近はうちの親も「三回生の時から就職活動をしていれば……」とよくこぼす様になりました。まあ、僕なんか遊びまくって資格も何も取らず、四回の秋から始めたクチです。どこの企業も採ってくれません。感触的には筆記や面接で悪い部分があるわけじゃないようです。一番引っかかるのは資格かなー。どんなに今が景気が良くて企業が人を採りたがっていると言っても、戦力になる人しか採ろうとしないわけで。

 僕の場合、ソフトウェア企業を回っていますがどこも採ってくれません。おそらくは情報技術系の資格を持っていないためだと思われます。やれやれ。ソフトウェア系の企業に行くのはあきらめたほうがいいかもしれない。他の入社希望者に弾き飛ばされている。僕ほど怠け者でもないでしょうし……。

 怠け者。この属性は企業からすれば絶対悪です。働かない、働けない人間は不要物なだけで金を払いたくもないでしょう。よっぽど裕福で寛大な企業でもないとね……。そして、今の時期、そういうところはほとんど埋まっている。

 怠け者に取れる道は非常に少ない。

1.なんとか自分の得意分野で就職先を見つける。僕の場合はウェブページ作りだから、ウェブデザイナーか。この道は茨。相当に不安定であることが予想される。

2.従来の働き口とは別の道を見つける。要するに起業する、ということだ。起業といえば難しいように聞こえるが、簡単にはお金を得ることが出来ればいいのである。誰かが要求したことをこなし、その対価を得る。これで月十五万円も手に入れられたら十分に成功したと言えるだろう。ただし、この道も茨。収入がゼロでも文句を言う場所は自分の心の中にしかない。

3.人柄や学歴を捨てて、肉体労働に従事する。働いて収入を得るならば、最終的にはこれになる。農業でもやりますかね……。今まで勉強してきたこととか、全部吹き飛ぶけれども。

4.親に寄生する。この道は僕にとっては非常に楽だが、頭をショットガンで吹っ飛ばされても文句は言えない。むしろ、僕が吹っ飛ばしてほしい思うのではないだろうか。

5.自殺。この方法はメジャーではあるが、面白くない。まったく面白くない。特に僕自身が面白くない。野垂れ死にもひとつの楽しみであるだろうって思うような人間に、自殺なんて出来ません。

 基本的にこれ以外に道はないだろうなぁ。これ以外の道っつったら、突発的な環境変化に流されるしかない。つまりは完全に外的動向に振り回されるわけだ。突然犯罪を起こして警察に捕まるとか? 家族がカルト教団に入信しちゃったとか? いきなり戦争が始まって経済がぶっ壊れたとか。天変地異が起こってすべてが何かどうでも良くなったとか。神が訪ねてきてファンタジーが現実になるとか、異世界に飛ばされましたとか、悪の組織に無作為に誘拐されて改造されましたとか。もはや漫画の世界だよ。今、僕を取り巻く現実として、これらの可能性はほぼ、ない。無理やり数字のパーセントで表現したとして、コンマ以下だ。

 この日記を書き、僕が息を吸い、胸が膨らみ、胸がしぼんで僕が息を吐く、たったそれだけのことにも時間が流れているという、圧倒的な現実があるだけだ。自分が動かなきゃ、周りは何も動かないという、ただそれだけの現実が。空気の中を泳いでいるように現実感のない、しょぼくれた現実。僕はそこで生きているだけであり、生きているからこそしょぼくれた現実に付き合わなければならない。永遠に。僕が死ぬまで。ぶっちゃけ、死んだあとも付き合わなくてはならない気がする。

 とりあえず。目の前にある現実は。大学を卒業するまでに内定をどこぞからかっぱらって来ないと、社会的に死刑宣告をされるってことだな。近畿大学が言うには。僕はフリーターやニートの人が欠陥品だとは思っていない。だって、それでも生きている。誰かの迷惑にはなっているだろうけれども……。

 働かなければ生きてはいけない、この世界。では、働かない人たちは何を求めているのだろう。何を……待っているのだろう。

 実のところ、僕だって働いて生きることは、懐疑的なのだと思う。頭では分かっていても、心のどこかが働くことは生きるための目的にはなりえないことを感じている。何か……もっと他にやらなければならないことがあるような気がする。でも、具体的に何をやればいいのか分からない。やらなければならないこと、の対象が存在しない、という気がする。最終目標が今のところ存在しないので、そこにたどり着く方法分からなければ準備も出来ない、という感じ。もどかしい。

 ……何かを護らなきゃならないような気がする……。

 改めて考えると、ただの逃避という気もする……もう午前五時四七分だしな……。頭が死に掛けてる……。