十月一六日、月曜日の話
久しぶりに一日が長かったように思う日

 やはり、一日が長いかどうかは頭が寝てる時間が長いか起きてる時間が長いかによるんだ。

[◆]午前十一時、企業にて一次面接

 本日の午前十一時より、大阪の情報サービス業の企業にて一次面接。すでに三回目なので向こうまでたどり着く時間も把握していますが、一時間以内に着くと分かっていても実際に残り一時間ぐらいで家を出るとちょっと心落ち着かず。遅刻するよりは三〇分早く着いた方がましではあるから、もう少し早く行動するようにした方がいいかも。まあ、何事においても。

 電車での移動中は先週木曜日に借りた自己効力感に関する本を読む。大体、一〇分で5ページ程度であり、218ページあるから大体四四〇分、七時間二〇分あれば全部読めることになるが、こんなのは単純計算であり実際にはどれだけやる気が持つかということも考慮しなくてはならない。実際、土日の間に読んだページは〇ページ。まだ四〇ページしか読めてない。

 必要な箇所だけ読めばいいというが、パラ読みしてみるとどこもかしこも重要そうだし、どうせ読むなら全部読みたいところ。やる気がもつかどうかを考慮に入れなくてはならないが。家にいる間は何も遊べんかも。

 さて、十一時五分前に企業を訪問して待合席に通されると、先に三人の人がいた。話を聞いてみると全員が同じ十一時に面接を受ける模様。待ち時間中におしゃべりはご法度のような雰囲気は漂っているものの、かまいやしない。情報は集めておく必要があるし、なんと言っても「コミュニケーションが大切!」と謳っている以上、お互いを知る程度の情報交換ぐらいはさせていただきたいものだ。企業側に悪い? そんなこともさせてもらえない企業なんざ、こっちもお断りだっつーの。いやまじめな話、入社後も息苦しくなると思う。

 十一時から一〇分過ぎて、ようやく面接室に通された。しかし、面接室に通されたのは僕とあと二人の三人だけ。もう一人の人は何ゆえに取り残されたのか……推論としては、別口の面接を受ける、実は待機中の入社志望者を観察していた企業の回し者、という二つが考えられる。前者の場合は何かしら特別扱いを受けるものと思われる。すなわち、企業がすでに採用をほぼ決定しているか、不採用をほぼ決定しているか。ありえそうなのは前者で、この場合は僕たち三人は形だけ面接をして不採用のゴミ箱に放られる可能性が高い。まあ、それならわざわざ企業で面接はしないだろうから、起死回生の機会ということなのだろう。企業の回し者説については、今となってはわかりっこないので考慮しないものとする。

 採用担当者はずいぶん若い人が一人。僕たち三人はグループ面接ということになり、担当者の質問に答えていく形式であった。それぞれの回答を興味深そうに聞いてくれてはいたが、ずっと興味深そうな態度をしていたのが気にかかる。態度が最初から終わりまで変わらないのである。まあ、三〇分程度の面接で態度がころころ変わるかと言うとそうでもないし、むしろ不機嫌そうな態度をとる事なんて考えられないような気はする。

 この業界、この企業への志望動機や自分の長所、短所やらについて解答してその後に質問で一人からは離職率、一人からは内定後の研修について、僕からは仕事は別の契約企業さんのところに出向くことになるのか(勤務形態について)について質問し、面接は終了となった。結果は一週間以内に携帯に電話するという。

 面接が終わり、三人で身の回りについておしゃべりして駅にて別れました。もう会うこともないであろう。



 そして、帰りの電車の中で携帯電話を取り出して。

 社 会 の 窓 全 開 であることに気が付いた。

 アチャー(ノ∀`)

 もしも採用担当官が気が付いていたら、僕がどんなに心に響く演説をしていようともすべて水の泡であろう。自分で気が付いて笑う笑う。人生、こういうことも大切だよね。あははははははは……。

[◆]あの論文、なんだっけ?

 そのメールが届いたのは企業の面接が終わり、電車に乗り込んで帰路についていた最中であった。

「大学の図書館に行き、他大学の図書館を利用するための紹介状をもらってくれない?」

 卒業論文協力者からのメールであった。大学付近の駅ならとうに通り過ぎている。それ以前に、他大学図書館に関する仕事はそっちがやるはずなのだが。

「紹介状を発行するのに一日かかるそうだから、先に申し込みだけして欲しいんだけれど。こっちは今日は忙しくて」

 と、言うことらしい。まあ、論文を読むついでに大学に行くかなぁ。で、図書館で紹介状を申請するには、他大学の図書館においてどの本を借りるのかを明示しなくてはならないはずであるが、その本の名前は?

「本のタイトルを書いた資料が手元にない」

 ……ああ、そりゃ大変だな……。

「だから、君も知らなかったら大学の先生の教室にて僕が読んだ論文を探して、その索引論文から探してもらわないとならない〜」

 資料をちゃんと確保しておけばそんな回りくどいことをしなくて済んだんだろうに。てか、僕自身は先生から渡された218ページの本を読まなきゃならないわけですが。ここに書くのもはばかられる愚痴が僕の頭の中を走り回ったことは言うまでもない。

 とりあえず、いったん家に戻って昼食を食べ、服を着替えて休憩、午後四時ごろに家を出ました。すでに日が沈みかけてますが、大学図書館は午後九時まで開いているので何とかなるでしょう。

[◆]使い捨てカメラと定期券の悲劇

 家を出て、まずは駅にて大学までの定期券を買うことにします。もはや、週に一日しか大学に行かなくていいや、という状況では無くなったので、定期券を買ってもいいでしょう。定期券があれば無駄なお金をかけずに途中下車も出来るし。

 と、言うわけで買いに行ったら、まさかの百円足らず。泣く泣く定期券は買えませんでした。何でお金が足りなくなったのかというと、面接からの帰り道で緊急用の正露丸を買ったせいです。あれでお金が足りなくなったんだ……。

 と、言うわけで郵便局へ行くことにしました。その途中で昨日出した使い捨てカメラの写真も回収しに行きました。残念ながら、使用期限が一〇年過ぎていた方はフィルムが感化して何も移っていない部分が大半、また変色してしまっていたようでまともには写っていませんでした。一〇年前の写真というからワクワクしていたのですが、ちょっとガッカリ。郵便局に行ってお金を下ろしました。

 それにしても、最近はお金の流出が多すぎる。機能もお金を四千円落としたのになぁ。そのあとに三千六百円分のお菓子を買い込んだのではあるが。一ヶ月はもつな。それにしても、お菓子を置く場所も無く机の上を占領しているし……僕の部屋は本当に物を置く許容量が足りないな。もう少し整理をつければスペースは開きそうだが、遊び(この場合の遊びとはのり代のような余白部分のこと)も含めてスペース、きっちりと収まっていないとスペースを確保できないようでは本当に確保できたことにはならない……いらん物を捨てればいいだけだけれどね。

 流石に、妹みたいに親の寝室まで侵食するような事態は避けたいしなぁ。あれ危ないんだよね。夜、電気をつけずに通ろうとすると漫画で滑りそうになるし。ダンボールの角が痛いし。やれやれ。

[◆]論文、見つかりませんが?

 郵便局で下ろしたお金で定期券を買いました。

 まずは大学に行き、先生の研究室に行って資料がないかどうかを確認し、無ければ目的の論文を探して参考文献から件の本を探し出して図書館で利用申請、と。目的の論文の特徴が「赤い薄い本」というだけなので、果たして分かるのかどうか非常に不安である。先生は今日は大学に来ないしなー。

 一時間半かかって大学着。読書がてらというものの、電車の中じゃ座れないと本を読めないなと思った。自分の読みの甘さは筋金入りである。で、研究室に行き、守衛さんに鍵を開けてもらって論文を探し始めるが、赤い薄い本と言われても赤い薄い本は「血液型と心理学」しか見つからない。ちょっと読んでみると科学的な血液型分析(血液型によるたんぱく質の違い)や過去の研究者の研究を再施行してみたりという内容で、結論的には血液型と性格はあまり関係が無いというまとめらしい。現在の心理学の主流的結論である。へー、その昔にはO型を外交官にすべきであるなんていう学説もあったのか。見向きもされなかったようだが。

 そんなことをしている場合ではない、他にもないかと探し回ってみるが、よく分からない。赤い薄い本ねぇ……。先生と卒論協力者にメールを打ってみるが、返信は期待できそうに無い。先生は今頃関東だろうし、協力者はバイト中だ。うむむ。

 しばらくして埒が明かないので電話してみる。電話すると意外と二人ともすぐに繋がった。先生側は「資料の在り処については卒論協力者に聞くといい」という返答で、卒論協力者の方は「赤い本、無い? 周りは緑色の本だらけで……心理学研究っていう本なんだけれど」。それは本ではなく雑誌論文だ。つーか、タイトルが分かってんなら先に言え! 「赤い薄い本」よりもそのタイトルを聞けばすぐに分かったのに。

 で、ようやく目的の論文の在り処が分かったところで、彼が言うところの論文が無い。この雑誌論文というのは、学会に報告された研究結果をまとめたものである。雑誌といっても週刊誌のようなものと一緒にしてはいけない、ひたすらに内容の濃い、研究者向きの研究資料といえるだろう。で、目的の論文はその中のキャリア自己効力というタイトル、もしくはその文字列を含んだ研究であるはずなのだが、キャリアのキャの字も含んだ論文が無い。部屋中を調べてると、まだ封を切られていない最新号が見つかった。『心理学研究2006年6号』。今見つかっているのは最新のもので『心理学研究2006年3号』だから、どこかに4号と5号があるはずである……。しかし、棚にも平積みされたプリントの下にもゴミ箱の中にも無い。雑誌論文は貸し出しが禁止されているので、誰かが借りているということは無い。貸し出し中の本を追跡するための貸し出しノートも見たが、論文を借りている人はいないようである。

 二時間研究室内を探し回ったが、得られるものはほとんど無かった。卒論で喘いでいる男が四つんばいで研究室内を探し物してても何も面白くない。これがスカートの女子学生だったら世間にも認められることであろう。あー、こういう感想はセクハラになるのだろうか。世の中も息苦しくなったね。

 時刻は八時前である。「見つからなかったら、図書館に行って電話で予約できないかどうか調べてくれないか」との連絡が入ったので、ひとまず論文探しは中断。電話予約が出来るなんてこと、図書館ガイド時には聞かなかったし、電話でどうやって学内学生であることを証明するんだ。学生証の現物が必要だろうに。バーチャルキャンパス(学外から学内ネットワークにアクセスできるオンライン窓口)の方でもそんなことが出来る機能はなかったと思うのだが。

 うだうだ言ってても仕方ないので図書館へ。閉館時刻まで一時間をきり、人のいなくなった図書館にて係りの人から説明を聞いてみた。僕は事前に研究室にあった図書館利用の方法についての資料を見つけて読んでいたのであるが、その内容はやはり正しかったようである。

「他大学の図書館を利用する場合は、申請して、向こうの大学の係員に探してもらい、本が見つかったという報告が来て、はじめて紹介状が出せる」

 この行程には二、三日かかるという。向こうの係員が忙殺されているかずぼらであるかのどちらかにより、処理が遅れるというわけだ。一日で発行できるものか。あと、当然ながら本のタイトルが分からないと申請すら出来ない。

 ここで、ようやく先生から新しい情報が。「研究室に無かったら図書館にあるはず」。すぐさま蔵書検索をして論文のある位置を確認した。実際に見に行ってみる。それにしても、図書館の資料の整理整頓は見事だ。図書館のようなスペースがあれば、一生資料の置き場には困らないね。図書館は公共の場所なので、公共の資料しかないのがあれだけれども。

 で、見つけた……あ、4号5号ある! でもよく見たら200年度って、去年のかよ。今年の2006年の心理学研究雑誌論文は最新で3号。4号、5号が無い。まだ入ってないのか? それとも、4号、5号は実は無くて、突然に6号に飛んでいるのだろうか。うーむ。

 どちらにしろ、他大学の図書館にあるはずの欲しい論文に関する手がかりは得られず、外部からも図書館が利用できるようになるという手続き申請だけをして図書館を去ったのであった。一日にいろいろなことやったなぁ……。