十月 四日、水曜日の話
就職活動・商社編

 今日は四社目の企業説明会です。

[◆]アンパンマンが羨ましい

 今日の説明会には履歴書が必要なんですけれどね……ええ、履歴書を作り始めたのが今日の日付になってからでして……一枚書き上げるのに一時間かかるんですが、最後の最後で文章が収まりきらなくて……しかも誤字までしてしまい、時計はすでに一時半を指してて頭が重く、説明会は午前十時からなので八時には家を出た方がいいだろうと……つまり、睡眠時間がすでに七時間を割っているわけですが。

 午前一時半の履歴書の書き直しは、本当に暴れたくなるような事件でした。説明会をキャンセルしてやろうかという考えも頭をよぎりました。ああ、TDoS の最新マニュアルを出そうとして零時までがんばってた自分が一番悪いんですが。大切なことを先にやっておけば苦しまなくていいのに、どうしてこう知りに火がつかないとまともに事に当たれないのか、自分のマイペースさが呪わしい。しかし、これも自分の姿だろうと思う。ああマイペース。

 で、眠気と集中力がもたない履歴書書きでなんだか頭に気持ち悪い何かが溜まっていくような感触を味わっていました。これがストレス。取り除くには寝るのが一番。しかし、起き立ては弱いのでまず間違いなく履歴書作成なんて出来ない。頭を交換したいと切に思う。この時ばかりは某グロ頭交換ヒーローが羨ましく思いました。あんなふうに頭をすぱーんと交換できて元気百倍になれたら、この先の人生は安泰です。

 そうして履歴書を書き上げたのが午前二時一〇分。時間がずいぶんと短縮されているのは、字のきれいさに対して完璧に手を抜いていたからです。読めればいいだろうという意識が六割を占めていました。そして、朝起きたときに飲めるよう眠気覚ましを机の上において就寝。何か用事があればすばやく起きられる自分の特性に頼って眠りに付きました。

[◆]一日査定?

 起きたのは七時。四時間睡眠ですが目覚ましよりも早く起きれてしまいました。それでも目覚まし設定時間の七時二〇分までベッドから動きませんでしたけれど。

 目覚ましがなったら起き上がって眠気覚まし内服液を飲み、朝食を食べました。が、内服液を先に飲んだせいか胃が荒れた様で食欲が出ない。ぬかった。とりあえず押し込んで準備をし、家を出たのが午前八時一〇分。電車に乗り込みます。

 そして、目的地に着いたのが午前九時二〇分と、四〇分も早く着いてしまいました。僕以外にはまだ誰もいません。会場を調べてみると、どうやら貸会議室を使うらしい。会議室というスペースを貸し出して商売している企業があるのである。場所を持っているだけでお金が入ってくるのは楽かもしれない……と思って、よく考えるとまったく同じ理屈で商売をしていて、なおかつ僕が良く利用しているところがありました。言わずもがな、2ちゃんねるです。あそこはネットスペースを来訪者に貸し出しており、そこに広告を乗せて儲けています。利用者の数が半端じゃないので、相当な収入になっているとか。そりゃー僕も自前のサーバでお金儲けが出来たら楽なんでしょうが……あれは無料だから作った意味があるんだよなーと思いつつ。

 とりあえず、携帯で掲示板を見たり本を読んだりトイレに行ったりして待機。お腹を壊したんですよね……。

 説明会開始予定の十時前になり、ようやく人が来始めました。僕はロビーにあるいくつかあるテーブル席の一つに座っていたのですが、来る人来る人誰も利用していないテーブルの席に着く。パーソナルスペースというものであろう。

 そして、十時五分、企業説明会の担当者が到着。どうやら、説明会は三〇分に始めるらしい。つまりは一時間以上も早く着いてしまったわけか……遅刻するよりはましだが。で、アンケートみたいな用紙に記入事項を書いて欲しいということで、カリカリと。

 十時半、説明会会場の会議室に案内されてまずは企業のVTRを。どうやら、経済番組において、その企業が取り上げられたときのものらしい。流石はくそでかい企業である。取材をしっかり受けているとは。

 中身は洗脳VTRというわけでもなく、分かりやすく企業形態を説明していた。なるほど、なんとなく僕に合っていそうではある。

 その後も説明を受け続け、なるほどねと思うこと多く。物流の世界というものを垣間見た感じです。で、どうやら説明会の後に面接査定に入るらしい。事前に見たスケジュール表には書かれていないことが堂々と行われることはすでに慣れた。問題なし。

 面接は早くやって欲しい、という人一名が優先され、その人はわずか五分ほどで面接室から出てきた。一人目のその人が面接している間、僕はテーブルにて相席になった人に話しかけて、就職状況やどこ出身かなどをリサーチ。二人いたのですが、Aさんは今回が十社目でBさんは二社目。まともな面接を受けたのはAさんが三回目でちょっと緊張しているらしく、Bさんは一社目が最初から社長直通面談だったらしい。なかなかダイレクトである。そしてお互いの出身地についてしゃべっていたところで次の人が呼ばれました。次に面接室に通されたのは僕。つまりは二番目。ありがたいね。

 面接内容は非常に簡単で、大学で募集していたアルバイトの話をし、企業に入ったら何をしたいかなどを聞かれ、それでおしまい。これは実績よりもフィーリングを見ている感じがたっぷり。あとで書類選考されるだろうが、基本的に合うか合わないかであるようだ。

 ものの見事に五分で終わり、ロビーにいた人たちに面接内容についてちょこっと話し、その場を辞しました。結果は二週間以内に報告されるらしい。

 帰り際、新潟中越地震の被災者でありいまだに仮設住宅住まいの人に送る支援金の募集をして欲しいと声をかけられ、行政に送る署名と千円を進呈。帰途に着きました。本当に被災地に送られるかどうか知りませんが。まあ、身分証明書は本物だったと思うし、一緒に渡された新聞のような報告誌も中身があるもののようなので、まあいくらかは被災地に行くでしょう。募金のような善意があると思われる行為は往々にして裏金のようなあくどいことの温床になるものです。金の流れを逐一追うことが出来ればね。

 さて、家に帰ったら……寝よう。あーでも、明日はゼミで大学に行かないといけないし、金曜日にはまた履歴書が必要な説明会に行くのでまた履歴書を書かなくてはならない。履歴書のコピー品で済ませられたら、一番楽なんだろうけれどなぁ。