九月 八日、金曜日の話
第一社、面接

 適性テストに受かったようなので面接になりました。

[◆]面接で何を見られている?

 初めての面接ということで多少余裕を持って企業の方に赴いたら、三〇分も早く着いてしまった。とりあえず、辺りをぶらついて時間を合わせ、企業受付へ。それでもまだ五分ほどの余裕があったのだが、通りかかった社員の方に人事部に連絡してもらってもいいと受けたので電話で人事部を呼び出し、待合席へ。しばらく待たされる。

 待合席の仕切りを隔てた隣では誰かと誰かが話していたが、どうも人事部の人らしい。「ろくな人が来ない」という声が聞こえていたが、新人のことだろうか。もしもそうなら、企業側も気を引き締めてことに当たっているのだろう。もしも新人のことでないならば……知らん。

 しばらく待たされて会議室に通された。中には人事部の人が一人いる。席の反対側に座るように言われて挨拶後に座る。面接開始。

 聞かれたのは先日に書いたエントリーシートの内容についてが大半。企業側もそれしか情報源がないのだからそうなってしまうだろう。言い方はオブラートに包んではいるが、基本的には履歴書から読み取れる人間性の粗探しのようだった。

「九月から就職活動を始められたようですが、春には何をしていたのですか?」
自分の好きなことをしていました。必修の課目を確実に取れるよう、勉強していました」

 この「春には何をしていたのですか?」という質問は僕にとっては弱点以外の何者でもない質問である。勉強していました、は建前としか受け取るまい。内心は遊んでましたと解釈していることだろう。僕だってそう思うわ。が、まさか遊んでましたと正面切って言う訳にもいくまい。いや、本当は思いっきり言いたいのではあるが。世間的に受けが悪いのが難点である。

「何か、プログラム言語を勉強されたことは?」
「HTMLだけです」

 ここはソフトウェア開発会社を受ける場合に弱点となる質問である。この質問、ノーと答えれば暗に「なんで勉強しなかったの? 在学中に資格ぐらい取れよ」というイメージが出てしまう。それを気にするか気にしないかで、企業の体質と余裕の程も分かろうものである。確かにプログラミングの勉強ぐらいしておいても良かったかもなー。何かと役に立っただろうし。今となっては後の祭りだ。人生にはセーブポイントもリセットボタンもないし。終了ボタンならあるけれどね。

 就職活動って大学生時代の功績がもろに出るなーと感心しつつ、エントリーシートの内容に関する質問が終わったらあとは通勤時間がどうしたとか、東京勤務になるかもしれないけれどいいか、とかの質問を受け、割とあっさり目に面接を終えた。ここはもう駄目だな。対応の雰囲気でなんとなくではあるが分かる。

 僕は技術屋である。体力仕事には性格的に向いていない。そしてめんどくさがりである。何をするにも大体が遅い。今まではそれでも何とかなってきたが、就職活動においてはあるものしか出そうにはないなぁ。まあ、いつも通りなのではあるが(笑)

 とりあえず、今回の面接で面接の雰囲気と企業の対応の姿勢をつかんだ。特に何かぬきんでている印象はなかったので、おそらくは平均的なデータとして扱えるだろう。今後もこの経験は利用可能だ。緊張する必要はない。あと問題があるとすれば、僕の態度かなー。ぐったり感がにじみ出ていそうで演技を交えなければならないかもしれない。ぶっちゃけ、今日も眠気覚ましを飲んでるし。早く寝てもこれだものな。

 さて、家に帰ってアスキーアート保管庫をいじろう。スーツじゃなきゃ、日本橋によるんだけれどなー。