五月 七日、日曜日の話
山の中の土地の話

 聞くところによれば、うちの父方の祖父母は山の中に小さい土地を持っているらしい。

[◆]山の中の土地

 で、本日、僕の両親が父の祖父母をその山の中の土地へと車で送っていくらしい。というのも、今の今まで土地は買ったものの見に行ったことがなかったらしく、今回初めて見に行くのだとか。

 で、帰ってきた両親に話を聞いてみたのだが、山の中の土地といっても何か有益な広い土地があるわけでもなく、どうやら分譲地のように周りは他の人の土地で囲まれているという。山の中なんだから木々も多いが、立派な別荘を立てている人もいるそうだ。

 我らが土地に目を向けると、でこぼこの地面があるのみ。ちょっと前までは大きな杉が生えていたらしいのだが、なんでか祖父母は杉を売ってしまったらしい。おかけで土地は丸裸。「見に来ない間に知らない人が住み着いたら大変だ〜」と祖父がしきりに口にしていたそうだが、ならなんで杉を売るかな。杉が生えてたら普通は住み着かないだろう。テントぐらいは建てられると思うが、テントで寝泊りしているのは住んでいるとはあまり言わないんじゃないかな。

 祖母は祖母でお隣さんが我らが土地をじわじわと侵食しているのではないか(向こうの人がちょっと私たちの土地にはみ出して塀を立てたりしたらわからないわね〜)、と心配していたらしい。ここに引っ越してくるわけでもあるまいに。

 そういうわけで、わが家系ではだも使わなさそうな山の中の小さい土地は、誰かが勝手に住み着かないかとかお隣さんが土地を奪うんじゃないかとかの危険にさらされつつ、とりあえずそこに佇んでいるそうである。

 ……なんだかなー。