四月一九日、水曜日の話
採用人数、若干名

 採用枠は二名……。

[◆]出版界の門は狭し

 僕の現在の希望としては、小説や本を出版している会社への就職なのであるが、実はこの業界はとんでもなく採用枠が少ない。大手になると二月で募集を締め切ったところも多い。どんどん募集期間が早まっている現代、ぼけっとしていたらあっという間に就職浪人になってしまう。夏までに内定の三個か四個は欲しいところ。

 今の世は〇七年問題、いわゆる団塊の世代の一斉退職による人手不足が起きており、若い世代は引く手あまたという非常に好都合な時期であるらしい。が、それも行きたい職種を限らなければという話であり、行きたい職種を限ると行けるか行けないかわからないと言うのが実情である。とりあえず、僕の場合は。

 ひとまず、就職したら三年は身動きが取れなくなるだろうと僕は踏んでいる。しごきにしごかれて家には寝るためだけに帰るようになるに違いない。睡眠を六時間とったら、ゾンビのように起きては会社に行かねばならないだろう。労働基準法なんてなんのその、サービス残業にこき使われて体重も5Kgは減ること請け合い。僕の今の体重ですら55Kgで太れと言われているのに、さらに痩せるのである。わはははは。

 企業側は説明会で休暇保障を謳うが当てになりはすまい。そもそも〇七年問題というのはベテランがいなくなるということでもある。会社にしてみればすべての行程において社員の質が一気に落ち、必死で働いて何とか動く程度ということになるかもしれない。新人にとって、その環境は過酷なものになるだろう。採用されて万歳、というのは現状では早計かもしれない。まず、楽はできまい。

 スーツの上着の内ポケットには、大学生であれば音楽プレイヤーが入っていたのに就職すれば栄養剤が内ポケットのスタンダードとなり、必死で働いているうちに三〇歳を超えて婚期を逃し、一人さびしく働いては燃え尽きて、ある日過労でぽっくり逝くのである。なんて悲惨な人生! されどそれもまた人生。人間の人生とは、かくも千差万別でしかしその終わりには死しかないのである。生はすべての者にとって不公平であり、しかし死はすべての者に公平である。そして最後に僕は言うだろう。「疲れる人生だった」……。

 ……。ハッ(゚Д゚〃)

 ごめん、なんかトリップしてたよ。就職に対して不安要素が強すぎてなんともはや。

 えー、まあ、過労死がどうのこうのは置いといて、現在、小説などを出版している会社で、なかなか有名なメディアワークスの資料を取り寄せました。昨年度と今年度の採用実績数が二名というのが激しい競争率を感じさせます。ただ、競争率が高かろうが低かろうが、新卒の人しか募集しないようなので今期を逃すとメディアワークスにはまず入れなくなります。面接も四回あり、最終面接は七月中旬。面接は東京なので京都と四往復しないといけないことに。もちろん、最終面接の前に落とされる可能性はあります。

 まあ、就職先はメディアワークスだけにあらず、求人表を見たりしていろいろ回ってみることにします。

[◆]そのときKazui殿にあった

 メディアワークスに送る学業成績証明書と卒業見込み証明書を学生部で買い、実は卒業見込み証明書は学業成績証明書を兼ねていることを知ってしょんぼりしつつ(損したお金は百円)、学生部を出ました。そしたら、初代大学学長の銅像を挟んだ反対側からタイミングぴったりで姿を現したのは、僕の親友たるKazui殿(旧ハンドルネームはぜんがー殿)でした。まさしくばったり。ふふふ、どうやら僕たちはそういう宿命にあるらしいな(  ̄ー ̄)*キラン

 まあ実際、本当にぴったりだったために驚きましたけれど、おかげさまで次の講義が終わったらおしゃべりしようということになりました。万歳! これは本当に運がいい。今期はいける!(何が? まあ、何かが)

 次の学生補佐のアルバイトを終えてKazui殿と合流し、もはや恒例のびっくりドンキーでの会食。実は僕は昼ごはんを食べていませんでした。というのも、僕の大学は昼休みが三五分しかなくて、昼休みが講義で挟まれているとゆっくり昼食が食べられません。やはり、飯はゆっくりと味わって食べたいものです。

 Kazui殿はパフェを食べつつ、僕はハンバーグを食べつつ、おしゃべりをしていました。しかし、息巻いていたわりにはそんなに会話がまわらなかったかも知れません。得体の知れない疲労感があり、覇気が足りない。Kazui殿とのせっかくの会食をこんな様で終わらしたくないと思いつつ、自分に対して物足りなさを感じたまま会食を終えました。むぅ〜、悔しいですね。

 Kazui殿もいろいろと会社説明会を回っており、それはなかなか手応えのあるもののようです。対して僕は企業説明会の情報もほとんど調べてない体たらく。FF12やってる場合じゃないなぁと思いつつ、しかしこうした自分の態度は変わるまいという自信もありました。早い話が、「馬犬 目 ぽ..._〆(゚▽゚*)」ということです。

 自分の能力を生かせる仕事というのが、はっきりと定まらないんですよね。コンピューターには少しは知識があるけれど、飽きれば失速するという欠点を僕は持っています。つまり、効率にむらがある。また、睡眠時間のほうも何もしていなくても最低八時間、疲れると一〇時間は睡眠が必要なことが多く、それが短縮されると一日全体の効率がかなり落ちます。今の世の中、まともに休養を取れる仕事といえば、それこそ収入の不安定なものしかなく大学を出た強みが生かせません。

 僕のパソコンに強みのある人はシステムエンジニア(SE)関係の仕事に就く人も多いようですが、これもまたひどい“使い切り”の職場だといいます。働かせるだけ働かせて、使えなくなったら切り捨てる……その職場に自分が耐えられるかどうか。あと、飽きずに済むかどうか。

 不安を並べ立てても仕方ないというのはあるんですが、とりあえず、企業説明会に行かないとな……。