二月 二日、木曜日の話
メイド喫茶観察記

 ようやく、「死ぬまでには行きたい場所」リストにも載っている「メイド喫茶」にいく事ができました。

[◆]メイド喫茶

 この度は友人であるぜんがー殿がメイド喫茶に行くという情報を入手したために「僕も混ぜろ」と連絡を取り付け、本日、メイド喫茶に行く事に相成りました。わくわく。

 昨日の夜、MSNメッセにて参加者である僕とぜんがー殿と友人一人で検討をしました。地域は大阪の日本橋。この地域にメイド喫茶が集中しています。その数は二〇店。(参考:日本橋メイド喫茶地図

 各メイド喫茶のウェブページを見つつ、どこがいいかを検討しました。その結果、「CAFE DOLL」というメイド喫茶にいく事に決め、準備を整えました。楽しみだ。



 と、言うわけで本日。大学にて集合し日本橋へと向かいました。メイド喫茶に向かうまでの電車の中ではぜんがー殿持参の「萌え占い」をやらせてもらいました。結果としては計算が間違っていなければ「シスター(司祭)」でした。……それしか覚えてないやw 几帳面とか打算的とか出てた気がする。まあ、それはいいんだが、困った事に僕は神を信仰していない。萌え占いというは個人の萌え属性を調べるためのものだから、要するに個人の趣味を出すものだ。他人が神を信仰していようがいまいが僕は気にしないが、いざ一緒になったとしたらいろいろと思想面で問題になりそうだ。神を信仰してないであの性格、ならいいかもしれんが。

 ちなみに、相性がいい萌え属性は「小動物系ドジ娘」、「江戸っ子」、「悪魔っ子」らしい。共通点は全員が何かしら目を引く目立つ人だという事か。相性が悪いのはなんだったかな……。

 そして日本橋につき、メイド喫茶の前にメロンブックスに寄ったりして欲しいものを購入。東方文花帖は……ないな。あと、東方ファンブックもちょっと欲しいのだが。最近、東方アレンジ音楽CDしか買ってないな……。他に買うものないけれど。

 さて、メロンブックスの対岸、メイド喫茶の「カフェ・ドール」に突入。ところで、二人ともなんでそんなにオムライスにこだわってんの?

 雑居ビルの1フロアを借りて営業しているカフェ・ドール。まあ、メイド喫茶というまだまだ新開拓地である商売では、しっかりした物は作れないだろうとは思っていましたが、それでも頑張っている様子。それはともかく。

 ピンク色のドアを開けるとドアについた呼び鈴が鳴り響き、メイド服を着た女の人が「お帰りなさいませ! ご主人様!」と声を掛けてくれるわけです。まあ、声をかけてもらうのは先頭をしきる我らがぜんがー殿に任せる事にして、とりあえず三人で座れる席を指定し、席に座りました。一応は禁煙を指定したのですが、禁煙席には三人で座れる席がなかったので喫煙席の方へ。この辺りから、この店に来る多くの人は一人ないしは二人でしか来ない事が伺えます。タバコを吸うのは基本的に社会に出ている人だ。
 惜しいのは、メイド喫茶で見るべき特徴である客層が、喫煙席に座った事でほぼ見えなくなることだろう。主要な客層は入った時にほぼ禁煙席に座っている事を確認している。

 内装としてはこざっぱりした印象を受ける雑居ビルの一室で、じゅうたんを敷き、厨房はレンガ造りの壁の向こうにあり、レースなどを壁にかけて精一杯メイド喫茶らしく見せています。壁にはケースにメイド服が飾ってあったりしました。メイド服はメイドが着てこそ意味あるものだろうに、やはり見て楽しむ人もいるのかな、と思います。全体的にはそんなに悪い印象は受けないですね。客を見るとまあオタクっぽい人から働いているサラリーマンみたいな人もいます。しかし、全体として明るい雰囲気があります。客のほとんどがうつむいてますがね……。

 席に座ると、メイドさんが横まで来て片膝をついて頭を下げ、お手拭をわざわざ袋から取りだし、「おかえりなさいませ、ご主人様」と一人一人に渡してくれます。なるほど……確かにこれは席が一人ないしは二人まで、いや、基本的に一人でくる事を想定しているのか分かりました。だって、複数人で来たらそれだけメイドさんの「ご主人様」が増えてしまうわけで、おいおいあんた誰に仕えてんだよ、という事態になってしまいます。雰囲気重視のここではそういうのはまずいんじゃないですかね。そして、思うに喫煙席に座る人はそういう事を気にしていない可能性が高い。複数人用の席が喫煙席にあるのも納得できるかなぁ。
 「ご主人様」の区切りはテーブルで区切られてる模様。心理的な区切りですね。

 一応、ぜんがー殿と友人はそうしたメイドさんの挙動にあせっていた模様。僕は「あ、どうも」な感触でしたが。感心しました。やはり、メイド喫茶はただの喫茶店にあらず、コミュニケーションというか触れ合いが重視されている模様。

 さて、メニューを見る事に。お昼時なので昼食を頼む事にしました。メニューを見たあとにベルを鳴らしてメイドさんを呼び、注文しました。ぜんがー殿はどうやら計画通りにオムライスの模様。なんでそんな計画を作ったのか不思議だったのですが、メニューを見て理解しました。メイド喫茶って、オムライスやオムそばを頼むとケチャップやソースで何か書いてくれるそうで。まあ、僕は自分の感性に従ってハンバーグカレーを頼みました。メイド喫茶で見たい所は出される品質も入っています。わりといい加減なところもあるらしく。まあ、メイド喫茶が出現してからずいぶん経ち、物珍しさもかすれてきているこの御時世、メイドというだけでは客は来ない事は承知しているでしょうから大丈夫だと踏んでいます。

 さて、後ろの方に新しい客が来ました。うむ、日頃から部屋に閉じ篭ってそうな男。席に座り、しばらくして運ばれてきたのはピンク色のジュース。まあそれはいいんですが、メイドさんがジュースにシロップを入れて、かき回している!? そこまでやるか! うむむ、流石だ。さらに何か会話してますね。「昨日は〜〜ジュースだったのに、今日はこのジュースなんですね」とメイドさん。常連かよ……。
 と、友人が立ち上がって店内にあったブックラックから何か持ってきましたって、足跡残し用ノート!? てか、メイドさんとの交換日記もあるの!? うむむ、まさしくコミュニケーション。こうしたノートをおく事でリピーターも見込めるでしょう。流石だメイド喫茶。こういうのは普通の喫茶店ではできんな……。

 さて、料理が運ばれて来ました。ちなみに、厨房で料理を作っているのは店長の男の人らしい。ふむふむ。で、ぜんがー殿のオムライス。「ケチャップで何か描いてさしあげるサービスがあるのですが、いかがいたしましょうか〜?」とのメイドさんの声にしばし逡巡し、「お任せでお願いできますか?」ということで、メイドさんは少し悩んで猫をケチャップで描き始めました。……うまい!? ケチャップで見事な猫の顔が描かれてます。口の部分で何か失敗したらしいのですが、何に失敗したのかよく分かりません。耳の中の暗くなってる部分までケチャップで表現するというこだわり様。さらにはびっくり、オムライスの上ではなくお皿のふちに描かれた「にゃんにゃん」の文字。ケチャップでそこまで!? くっ、皿の上に描くという予想外の事に不意打ちをかまされた感じです。文字の形は描きなれているらしくかなり綺麗。この人、この道に入って経験積んでるな……。ただメイド服着てるわけじゃないと感心させられました。
 こうした絵を描くサービスについて、描く絵を注文してくる人は多いのかと聞くと、これが多いらしく、メイドさんにもなかなか描けない高難易度の絵を頼む人もいるらしい。が、絵そのもののジャンルはアニメや漫画に偏っているようだ。

 友人の方はまた別のメイドさんに犬の絵を描いてもらっていましたが、こちらも秀逸。むう、これは意外と馬鹿にできないところを見つけてしまった感じです。さて、肝心の中身はなかなかおいしかったです。量、味、ともに合格点をあげられます。ぜんがー殿の「絵が壊れていくのがなぁ……」という声が心底残念そうでした。ちなみに、店内での撮影は禁止されています。撮影がサービスの一つとなっていて、一枚三百五十円でメイドさん達と一緒に写真が取れます。

 僕だけ食後にコーヒーを頼んでいたのですが、ふと僕も交換日記を読ませてもらおうと席を立つと、厨房からコーヒーを出そうとしていたメイドさんがさっとコーヒーを引っ込めました。どうやら、席に座っているときに出すことが基本らしいです。そうでないと「コーヒーをお持ちしました、ご主人様♪」と言えないからなんでしょうね。席にいなかった、だから席に置いておきましたっていうのはNGなんでしょう。

 交換日記を読むと、初めてメイド喫茶に来たという人も多く、中には昔は別のメイド喫茶で働いていた人を追いかけてこっちにも来たという個人の追っかけもいるらしく、味について批評している人もおり、メイドさんの似顔絵を描いている人なんかもいて(これがなかなかうまい)、色々な人が来ているんだなと実感。わりと愛されている感じがします。

 さて、持って来てもらったコーヒー、勘違いでシロップとミルクを入れてもらわなかったので、しばらくブラックを楽しんでからシロップとミルクを入れてもらって混ぜてもらいました。「入れなかったり入れたり、極端ですね(笑)」とのコメントを頂いたぜ! まあ、メイドさんとの心理的距離は会話できる程度には近いですね。これは人付き合いの苦手なオタクな人にも気楽に来れる場所でしょう。居心地はいいですよ。

 コーヒーを飲んでいると「誕生日なんで……」とメイドさんと写真を取ってもらっている人がいました。うーん、一緒に写真を取りたいとは思わないが、女の人との写真を取れる場としては身近かもなぁ。まあ、化粧してるけれど今日のメイドさんは二人ともわりと綺麗な人ですし。オタク的ではあるが完全なコスプレでもなく、かといってストリップショーの写真撮影のようなあからさまなものでもない。バランスが取れていますねぇ。

 さて、おおよそのところを見終わったところで、コールベルをならし、会計を。今回、どういう風の吹き回しか友人君がおごってくれました。うわぁ、僕だけハンバーグカレーとアイスコーヒーで千三百五十円もするのに。この借りは必ず。

 最後はメイドさんに外への玄関を開けてもらい、「いってらっしやいませ、ご主人様♪」と言われて外へ出ました。

 外でのお互いの感想。うーん、どうやら僕達はメイド喫茶をかなり偏見に満ちた目で見ていたようです。言われているほど悪いところじゃなかったです。普通の喫茶店と違うのは応対だけですね。メイド服を着てる事は全く違和感なかったです。発生の根幹に二次元分化があるために、二次元の世界に立った上で物を見ている節があったようです。実際のメイド喫茶のメイド服はメイドだと分かるものの、何か違和感があるわけでもなく。もう少し手を加えれは普通の喫茶店でもいけそうな感じです。値段も問題なし。こんなもんでしょう。

 考えていたよりは、実に現実的でした。ご主人様、お嬢様と呼ばれるのに問題がなければ、一般人でも入れると思います。会話も楽しめるなら普通の喫茶店よりは行く価値があるかもですね。まあ、客層があれですが……。

戦利品のコースター
 戦利品のコースター。わりとしっかりした作りの、普通のコースターでした。ちょっとコーヒーの後が付いてますがアクセントっぽい?

 ちなみに。第二回メイド喫茶観察が開催されるかも。その時には四人で行くかもしれません。Ψ(`∀´)Ψウケケケ

[◆]その後は

 メイド喫茶に行った後は虎の穴に行ったりパソコンパーツショップ寄ったり。虎の穴、いつの間にか慣れてましたね。本日で三回目ですが、一回目に感じたようなめまい等はもはや感じませんでした。慣れっていうやつですかね……。ここでも東方のアレンジ音楽CDを買いました。それにしても、僕のお気に入りのCDが売り上げNo.1だったりすると嬉しいものがありますね。やっぱどぶウサギさんすげーわ。

 あと、東方シリーズ公式ファンブックを買った。割と面白い内容のようだ。しかし……虎の穴とかで買うときはいつも思うのだが、前の人が平気で一万千八百円の買い物をしているのをみると、なんだかなーと思う。別に毎日一万円の出費をしてるわけじゃないだろうし、この時のためにお金を貯めているのかもしれない。しかし、確実に金は流れていくよなーと思う。

 あとは三人でしゃべりながらデパートで財布をみたりしつつ買い物をし、帰路についた。なかなか疲れた一日であったが、かなり有意義な日だった!