十一月 五日、土曜日の話 [◆]一種の非日常
うちの学園祭は、おしなべて大きいものではありません。うちの大学は建設された当時は短期大学として作られていたそうで、そんなに土地の面積が無く、大掛かりなイベントなどは二つ程度が限界です。屋台はサークルや部活がやっている食べ物屋台が中心であり、ゼミナールでの研究発表や出し物はありません。まあ、そんなに詳しく知らず、また乗り気でない人にとっては食べ物しか売っていないというのが心情でしょう。 そんなわけで、学園祭の期間は公認の休講日だという認識を持っている人が多く、学生よりも近所の小学生が走り回りじっちゃんばっちゃんが屋台の勧誘に財布の紐を緩めています。まあ、複数人で来るとそんなに楽しめないでしょう。こういうところは飽きたら終わりです。一人が飽きればどうしても歩き回れなくなるでしょうね。勧誘がうざったく感じるでしょう。 そんな中、ここ二日間ほど家に閉じこもっていたので、気分転換にと大学までやってきました。まあ、家を出たのがすでに午後四時前で大学に着いたのが五時過ぎという有様でしたが、屋台は割りと元気でした。この時間帯になると疲れている人も多いでしょうが、やっぱ売れるのが面白いようですね。 僕は最初、雰囲気に乗れずに屋台を避け、特設会場でやってるイベントを見たり人気の無い屋上に行ったりしていました。さすがにパソコンでオンラインゲームの情報を眺めていたときには「ここに来てまでこれかよ」と情けなくなったんですが、まあ一人で来てるんだしそんなものでしょう。去年は友達と来て、かなり早期に友達が飽きてしまってのんびり出来ませんでしたしね。 とにかく、屋台の並ぶ道を歩き、おいしそうな焼きそばを食べクレープを食べ焼き鳥を食べて豚汁を飲んでいました。途中で知り合いにも会いましたが、僕から見て「誰だっけこの人?」というような人なのに向こうは僕の名前もしっかり覚えていて、僕はそんなに印象のある人間なのかね、と差し出された焼き鳥を食べていたのでした。まあ、彼らとであった当時は僕は自分がどう思われようと気にしない、わりと自信過剰気味だったためにそうなってしまったのではないかと。 今は自信過剰ではなくなっているように思います。最近、自分が他の人から見てどういう人間なのか、そこに興味がありますね。まあ、聞いてみても回答が得られる場合は稀有ですが。また、僕の紹介文を書いてくれる人はおらんものかいのぅ。 そんな感じで午後七時ごろまで食べ歩いていました。同じゼミ生の人にも会えましたし、過去に僕が辞めた部活の新入部員さんたちとも会話をすることが出来ました。フランクフルト二本くれ。そんな感じで人ともしゃべれて、ひとまずは良かったと思います。思えば、すでに僕は三回生であり、四回生になれば学園祭に来れるかどうかわかりません。一回生の時は自治会に関わっていたために潰れ、二回生は早期に友達が飽きたためにすぐに帰ってしまいました。ここで楽しんでおかないと損かも知れませんねぇ。 |
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