九月一七日、土曜日の話
道後温泉、そしてしまなみ海道

 しまなみ海道とは、愛媛県今治市〜広島県尾道市を結ぶ橋の事です。瀬戸大橋と同じですね。

[◆]道後温泉

 五時に起きて五時二〇分。急いでホテルを出ようとしました。五時半に道後温泉が開門するはずで、五時半には門前にいないと太鼓が聞けない。てな訳で、誰もいない廊下を通ってホテルフロントへ。僕の泊まったホテル――多分、この辺りのホテルではどこでもやってるのだろうが――では、宿泊客に対して道後温泉無料チケットを配っています。それをもらう際に「開門は五時半ですか?」と聞くと、「いいえ、六時です」……。

 誰だ開門が五時半なんて事言ったの!ヽ(`Д´)ノ

 で、三〇分ほど道後温泉の門前で待ちぼうけ。道後温泉には「神の湯入浴のみ」、「神の湯二階席休憩所入場」、「霊の湯(たまのゆ)入浴と休憩所入場、皇族が入ったお風呂を見る」、「霊の湯入浴と休憩所入場、皇族が入ったお風呂を見て三階個室で休む」などのセットがあり、それぞれで料金が違います。神の湯入浴だけなら大人四百円。三階に行きたいなら千八百円掛かります。ちなみに、ここには夏目漱石が休んだとされる部屋が資料として残してあります。

 六時五分前になると沢山の人が詰め掛けており、チケット売り場でチケットの販売が始まります。ちなみに僕らがホテルでもらった無料チケットは神の湯の入浴のみの物だったので、霊の湯にも入るために千二百円を支払いました。なんで神よりも霊の方が格上なんだ(´へ`;)

 六時一分前になると開門します。しかし、太鼓の音がなるまで客は靴を脱いで上がってはいけません。「太鼓が鳴るまで上がらないでください〜」とおばさんが客を牽制しています。客も一番風呂に入りたいと思ってるせいか、やや前のめりになってます。そういえば、ここの太鼓って朝に六回、昼に十二回鳴るらしいですね。と、いうことは午後六時には十八回……

 どん。

 大して力強くもない太鼓の音が鳴ったと同時に客がなだれ込みました。係りの人がチケットをどんどん捌いて行き、とにかく僕らも奥へ。係りの人に案内されて霊の湯の休憩所に行き、道後温泉の浴衣を渡されます。貴重品等は係りの人が見ているので休憩所に置いていも問題がなく、とにかく霊の湯への階段をおりました。休憩所は二階なのに湯船は一階にあるらしいです。

 誰もいなかった。脱衣所には誰もおらず、どうやら霊の湯の一番風呂ができるようです。僕はちゃっかり脱衣所のロッカーの一番を陣取り、服を脱いでお風呂へ。霊の湯は大浴場という訳ではなく、二〇人も入れば一杯のような割と小さいお風呂で、湯の吹き出し口は大きな筒状に作られた石から出ており、作られた年号が彫られています。昭和……?
 さて、昨日、散々ホテルのお風呂で体を洗ったので、かかり湯だけをしてお父さんと供に浸かりました。

 きっく〜〜〜〜〜〜〜〜〜>>>

 ホテルの湯も良かったですが、さすが温泉、この温度はどうですか。さらに湯の成分のせいかぬめり感があります。お肌すべすべ……?
 効くっていうか、熱い。お湯がかなり熱い。一〇分も使っていればかなりゆでたこ状態になります。お風呂から上がっても浴場は半サウナ状態になっており、暑い。長湯はできません。

 お風呂から上がり、体重計があったので乗ってみたら僕の体重は54Kg。成人男性としては軽い。がりですなぁ、僕。僕の友達には50Kg割ってる男がいて、さらに痩せたいとかお前はどこのダイエット中毒女だというような人が居ますが……僕は60Kgは欲しいですね。家族の中で一番飯を食べているのは僕なのに、何で太らないんだろう。

 休憩所にて出されたお菓子とお茶を飲み、続いては神の湯へ。神の湯は霊の湯と比べ物にならないぐらいに大浴場です。お風呂もでかいっていうか二つある(男湯のみ)。で、入ってみた感想としては、霊の湯よりも温度が低く、温泉成分も薄い。神は薄い湯が好きだという宗教家でもいたんでしょうか。もしくは、人間の事は神よりも人間の事の方が分かっているから、霊の湯の方が上なんでしょうか。霊って言ってもそれが人間の霊なのか分かりませんが。もしかしたら犬猫、夏の炎天下にふと下を見ると車にひかれたセミと見せかけてゴキブリでした、というわけでゴキの霊とかかも知れません。まあ、もしそうだったら気持ち良い湯が出るとは思えないので人間ということにしておきましょう。

 神の湯も堪能すると、休憩後に皇族が入ったらしい浴場を見ました。現代でも皇族が道後温泉に入りに来る事はあるらしく、しかし温泉がホテルの方に引かれたために道後温泉本館には皇族が来る事はないらしいです。道後温泉ができてから一〇六年。その前半の五三年の間に皇族は一〇回、ここのお風呂に入りに来たようです。
 で、その時に色々と話を聞いたのですが、浴場が全て一階にあるのはその昔、温泉の湯、そして岩を高いところに持ち上げる技術がなく、一階に作らざるをえなかったという事情があったらしいです。皇族の休憩所は金ぱく張りだとか、色々あったようで。

 その後には三階に上がり、坊ちゃんの間と呼ばれる夏目漱石が休んだ部屋を見ました。夏目漱石の肖像画があり、坊ちゃんのモデルとなった当時の教職員の方の写真があったり。しまった、マドンナを確認するのを忘れたぜー「*゚д゚」

 さて、ようやく道後温泉にも入り終わり、ホテルに戻った七時半に朝食。そして部屋に戻って九時まで寝てたのでした。

 温泉に入って思った事……ラグナロク・オンラインに囚われてしまっている人は温泉に浸かりなさい。ラグナロク・オンラインごときの娯楽はかないっこないっす、これは。リアルの快感を味わいやがれ!

[◆]しまなみ海道

 愛媛県北、今治市(いまばりし)。ここからしまなみ海道が始まり、六つの島を隔てて広島県の尾道市(おのみちし)にたどり着くわけです。まずは九時半、レンタカー会社の人に迎えに来てもらってレンタカー会社の受付まで行き、受付をしました。実はレンタカー会社の人が迎えに来てくれる事を全く知らなくて、慌ててホテルを出ようとしていたという経緯があり、ずいぶん助かりました。

 無事にレンタカーを借り、一路しまなみ海道へ。で、この借りた車にはカーナビがついていたんですが……目的地を尾道市にしたら、しまなみ海道と全く正反対の方向に行けってナビゲーションしてくるんです。どうやら、料金の掛かる道を通ろうとしていないようで、しまなみ海道をとことん拒絶しているようです。カーナビを無視して道路の標識に従って走りました。

 しまなみ街道にたどり着き、橋前のサービスエリアで休憩。ガムなどを買っていざしまなみ海道。

 なかなかいい景色でした。ただ、運転しているのが僕のせいで景色なんか見てられない。うっかりガードレールに車をこすろうものなら五万円支払わなくてはなりません。ただでさえ、この車はオートマとは言え、シフトレバーがハンドルの横にあるという僕の触った事のないタイプなんだし。

 でー、後ろの方ではお父さんととが景色を見ているわけですが……どこに行くのかが分からないと僕としても不安です。ちゃんと指示してくれないと自分で道を決める事は不可能です。つーか、道順について全く考えてませんし。しまなみ海道は自動車専用道路であり、インターチェンジに乗り遅れるとそのまま突っ走るしかありません。

 さて、他の人もどこに行くのか考えてなかったらどうしたらいいのか。



 しまなみ海道はまだ一本の自動車道として完成しているわけではなく、六つある島の内、二つの島では自動車道を降りて島の一般道を走らないといけません。それとは関係なく、とりあえずインターチェンジから降りて飯を食べてました。どこに行こうかーという話でお母さんが「村上水軍資料館に行きたい」と言いましたが、資料館のある島は二つ前に通り過ぎてます。どこにあるか、ちゃんと把握してください。

 そんな調子で美術館に行ったり洋ラン栽培所に言ったり。どっちもなかなか良いところでしたが、どっちも本来の目的地をとおりすぎてしまったために急遽考えられた目的地です。やるせなさたっぷり。洋ラン栽培所で鯉に餌をやって充分楽しめましたけれども。いやー、すげーのなんの、橋の上に言っただけで一〇〇匹ぐらいの大小さまざまな鯉が口開けて押し寄せてくるんです。

 そして四時になり、レンタカーを尾道市のレンタカー受付に持って行って返しました。新幹線の駅で待つこと二時間、七時二分の新幹線に乗って京都に向けて帰路につきました。旅も終わりです。

 家に帰るまでが旅行です。新幹線を降りても切符がないと改札で足止めを喰らうんです。最後の最後で切符を落として鞄の中を引っ掻き回すお母さんの姿は疲れを倍増させるものでした。ここに来てなぜ無くす……。



 そして、家に帰ったら十時二〇分。急いでラグナロク・オンラインに接続してイベントに参加したのでした。