八月二四日、水曜日の話
睡眠努力画策中

 今日も総務部の人に「居眠りは駄目」と注意されたぜ! これで三人目、のこり二人。

[◆]睡眠が……

 僕は企業実習生の中で一番家が遠い。家を出るのが一番早ければ、家に帰るのも一番遅い。そして、起きるのも一番遅い。ギリギリまで寝ていたいからである。これでも六時半起きだ。
 そして、自分で言っていい物かどうか悩むのだが、企業実習生で一番国語能力とパソコン技術、そして対人技能が表に出されているのも僕である。おかげさまで「この本の内容を簡単にまとめたものを提出して」と言われたら、一番初めにまちがいなく僕に回ってくる。他の二人はどうにも渋る。それが果たして本当に能力が低いのかやる気がないので他人に押し付けたいのか、彼らの国語試験の点数を知らない僕には分からない。本当はかなり出来るのに楽したいがゆえに、本が苦手な振りをしたりパソコンのワードを使った事がなかった振りをしているのかもしれない。レジュメを作ってと頼めば本を一切変更を加えず丸写しにしてきたり、今頃多くの政治家が年金を納めていなかったという話について批判しているのも計算のうちかもしれない。

 が、それらの隠れた事情があったとしても、実際に能力を出してくれないと能力がないのも同然なわけで、能力が低いと判断される人に対してどんな仕事が残っているのか、いや残ってないしとか反語表現を使わざるを得ない状況なのである。果たして、僕は馬鹿正直なのだろうか。普通に頑張ってブラックコーヒー飲んで眠気を振り払い、胃もたれに苦しんでいる僕は「あいつに任しとけばいーやー」とか他の人に思われている頑張り屋さんなのだろうか。いや、別に頑張り屋さんなのはいいのである。どうせ、僕は自分のやりたいようにやってるだけだし。利用されるのは癪だが。

 まあ、怠け者の代わりに僕一人が頑張っていると仮定しよう。あくまで過程の話だが……それなら、全員が頑張り出したらどうなるのだろう。全員が怠けたら会社が潰れるという事実があるためにそっちは考えるのが楽なのだが……みんなが頑張ったら、かなりの成果を挙げられるだろう。そしてみんなで余った時間をバカンスにつぎ込みたいよ……ねむぅ。

 最近、午前中は本当に眠い。自分でも気持ち悪いぐらいに眠い。目を開けていることが困難なのである。起きてるのに必死。本を読まなきゃレジュメが作れないのに……会社には仮眠室が必要だよ絶対……。眠い頭で物なんか考えられないよ、それ以前に文字読めてないよママン……。
 ブラックコーヒーを飲む事で眠気は多少なくなるものの、今度は吐き気と戦わなくてはならない。昼食前に飲んだら腹がごろごろ言ってるんですけれど。
 これらの眠気は睡眠を充分に取る事で解消が可能だと思われる。せめて八時間。最低七時間。しかし、夜に帰ってくるのが八時であり、夕食を食べてお風呂に入ったらそれで十時になってしまう。十時に眠りについてようやく八時間の睡眠が確保できると言うのに、それからウェブサーフィンや音楽を聴いたりして余暇を過ごすわけである。時刻なんかとっくに十一時。しかし、この時点でベッドに入っても眠りにつけるかというとそうではなく、寝付けなくてあっちにごろごろこっちにごろごろ、である。

 そして次の日、「音楽なんか聴いているんじゃなかった……」と睡魔と死闘を演じるわけである。僕の両手にはブラック・BOSSの缶コーヒー(冷たい)。毎日三百円がコーヒーのために消える。しかし、コーヒーで押さえ込んでいるという事は純粋な体というか脳の要求を殺している事になるから、健康には本気で良くないと思われる。脳にも胃にも。
 どっかの誰がが「昼寝を一五分すると一晩分の睡眠に相当し、午後からの仕事もバリバリ出来ます」とか言っていたが、そんなもん寝られる環境も時間もないわっ! トイレの個室に篭って首をたらしているのが関の山です、ほんと。

 ……一番休息が取りづらく、一番通勤時間が長く(通勤ラッシュと呼ばれる時間帯の移動である)、そして一番働くことを要求されて、一番沢山コーヒー飲んでいる。ナンバーワンにもオンリーワンにもなりたくないよ、こんなの。家に帰ってから遊ばなきゃ睡眠を取れますが、それってつまり、一日を全て仕事に拘束されていることに……。

 あと五日かぁ……。