五月一一日、水曜日の話
ROにどれだけ時間をかける?

 うーむ、ROでの活動がやばくなってきているな……。

[◆]ROの事で頭を悩ます

 RO内部の話はRO手記の方に一任するが、普段生活している中で、久しぶりにROの事で頭を悩ませていた。接続時間の事についてである。
 最近、ROの方で僕の作ったギルド(組合)が崩壊の危機に晒されている。最終的に僕一人が持ち答えれば崩壊なんかしないので、これは多少大げさであるが、僕一人しかいなくなればほとんど壊滅と言ってもいいだろう。

 現在、僕のギルドには六名いる。二、三日前までには七名いたのであるが、一人抜けてしまった。おそらくは、あまりにメンバーがログインしないので見限られたのであろう。残った六名の内、二人は僕のキャラ、二人は最近全く姿を見せない人のキャラで、一人は失業の間際、一人は二アカウント持ちで僕のギルドがメインではない。最近はギルド表を見ても僕しかログインしていないことが多い。

 じゃあ、新しいメンバーを入れればいいじゃん、と大抵の人は思うであろう。ここで壁になっているのが、僕自身の接続時間なのである。僕は知っての通り大学生であり、世間からみれば休みも長く暇していると思われそうである。だが、僕の今までの大学生活を見ていると、高校生の方が暇そうである。
 なぜか? 大学生は暇と言ってもものすごく不規則だからである。月曜日は昼から出ればいいような体たらくだが、水曜日は火曜日夜更かし厳禁で対応せねばならないほど早くに起き、帰ってくるときは午後九時でぐったりしている。ここにゼミの用事やらが挟まれば何が暇なのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。

 そういうわけで、最近の接続時間は授業の予習時間などを削ってしてもせいぜい二時間である。しかも、午後十時からだ。これで接続時間が短い、ログインしていないと言われたら、ほぼ僕のギルドに対して解体宣告が為されたようなものである。お前にギルド運営なんか無理なんだよ、と言われている様なもので、軽いショックを受けている。

 僕のギルド名は「Worlds Walkers」である。僕に対して通な人ならば、このギルドがただ単にROに留まっているだけのギルドでない事が判るはずである。「Worlds Walkers」とは、このセクト運営をしている「Block Element部隊」の正式名称である。まあぶっちゃけ、僕個人にしか関係のない話であり、どーでもいい話ではあるのだが、僕個人に関係しているという事は僕にとってはどうでもいい話では済まされないということである。このギルドを作れた時にはもう感動物だった。感涙しそうになったものである。いままで僕の頭の中にしかなかったものが、仮想世界とはいえ、形になったのだから。

 だから、このギルドが壊滅する事は避けたい話である。しかし、避けるためには接続時間を増やさなくてはならない、ということになる。接続時間を増やすためには大学を休まなくてはならず、しかも一日休めば事足りるような代物ではない。早い話がニートじゃん。


 ふざけんな!


 どこまで思い入れがあってもROはゲームであり、現実世界が侵食されることなど僕は許さない。ニートにまでなってROをプレイする気はない。と、言うよりは、ゲームを目的にニートになる気はない。
 こうなると、つまりはROのWWの崩壊は防げないということになりそうだ。まあ、のんびりとやるしかないんでしょうね。なるようになりますよ、きっと……。

[◆]明日はゼミ説明……?

 この話は午後六時、同じゼミ生からの一通のメールから始まっている。
「先生が明日の午後六時からあるゼミ説明に出てって言ってますよ。リーダー、僕はバイトで行けませんがガンバッテ」
 いつ僕は君のリーダーになったんだという疑問はさておき、事情がよく判らない。ゼミ説明とは何か? いや、おそらくはゼミの説明を新二年生辺りにするのだろうが、僕らの時には普通の演習時間に行って様子を見るだけだった。なぜ全日制学生の授業は全部終わった午後六時? そこまで行くと、かとなく内部向けではなく、外部(会社、企業、他大学)向けのゼミ説明の気がする。

 で、その時はアルバイト中であったのだが私用メールでゼミの先生にこっそりメールを送った。まあ、アルバイトの方はやる事はやっているので大丈夫だろう。
 その授業中に返信はなかった。

 家に帰って来てさてセクトの更新を、と思っていると僕の携帯電話に電話がつなげられたようである。出てみるとゼミの先生で、明日のゼミ説明は四回生がやるので、三回生は出なくてもいいという事らしい。四回生が出る時点で外部向け説明であった事がもろにわかる。そんなところに僕が出て行ったら、嘘八百を並べ立てるしかなかった。なぜかと言うと、僕ら三回生は社会心理学の本を読んでいるだけで、目立つ活動はしていないからである。「本を読んでます。それだけです」では、ゼミ説明として気まずいどころか場違いの域にまで行ってしまいそうである。

 あとは、明日の授業で使うプリントに不備があったらしく、それを確認する作業を電話でやり取りし、つつがなく電話接続は切られた。
 詳しい説明を明日聞くか……。